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転生ミスで異世界へ  作者: たけのこ
第一章 
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第二話 魔法

 目が覚めた。

 どうやら朝が来たらしい。

 寝て起きたら日本に戻っているかもと思ったが、そんなことはなかった。

 少しがっかりしたが問題ない。


「下に行くか」


 ぽつりとつぶやいて部屋を出た。

 すると、いきなり何かに抱き着かれた。


「おはよ!」


 リダだった。

 朝から元気だな。


「おはよう」


 そう返して、一緒に一階へと向かった。


 朝食はパンのようなものだった。

 リダは夢中で食べていた。12歳らしいから、育ち盛りなんだろうか。




 ---------




 朝食後、俺はカインさんと一緒に庭にいた。

 この世界について知りたいことが山ほどあるからね。


「あの、カインさん、聞きたいことがあるんですけど」

「何かな?」


 うーん。どう質問すればいいだろうか……。

 いっそ、俺が転生者であることを明かしたほうがいいだろうか?

 ――――――――いや、言ったら怪しまれるかもしれない。

 家を追い出されたら、たまったもんじゃない。

 そうだ! 記憶がない設定はどうだろうか?

 怪しまれるかな? いや、きっと大丈夫だろう。


「実は記憶が曖昧でして……。この世界について教えてくれませんか?」

「うーん。この世界についてか……」


 やばい! 困惑し始めちゃった!

 もっと考えて質問するべきだったかな……。

 なんて考えていると――――――


「父さん。魔法の練習に付き合ってよ」


 そう言ってレイナが庭に姿を現した。

 ――――――――ん!? 今、魔法と言った?


「魔法と言うのは何ですか!!」


 俺は目を輝かせながらレイナを見つめた。

 当の本人は、若干引いている。


「魔法も覚えていないのかい?」


 隣にいたカインさんが、俺に聞いてきた。


「はい!! ぜひ教えてください!」


 俺は輝く目をカインさんに向けた。

 カインさんは、少し悩む素振りをした。しかし、すぐに口を開いた。


「レイナ、エトに魔法を見せてやってくれ」

「ええ!?」

「彼、記憶が曖昧らしくてね。魔法のことを忘れているんだ」

「はぁ、仕方がないなぁ」


 そう言って、レイナが俺の前に立った。

 待ってました!! と言わんばかりに、俺は熱い視線をレイナに向けた。

 彼女は、少しやりにくそうにしていたが、すぐに真面目な顔になって、手を斜め上に向けた。

 そして――――――――


「『水流弾(ウォーターショット)』!!」


 彼女の手の平に集まった水が、空に向かって勢いよく放たれた。


「す、すげぇ!!」


 俺は目を見開いて、驚きの声を上げた。

 それを聞いてレイナは少し照れている。


「俺もやってみます!!」


 そう言って俺も手を斜め上に向けた。

 きっと天使様のくれた能力は魔法に関係するものなんだろう。

 ここで俺がすごい魔法を放って二人を驚かしてやる! 


「『水流弾』!!」


 その言葉と同時に、俺の手の平から空を覆いつくすほどの水が――――――――

 出なかった。一ミリも。


「あれ!?」


 おかしいぞ! 天使様がくれた能力は魔法関係じゃないのか!?

 俺が、おどおどしていると――――――――


「すぐにできるわけないでしょ」


 レイナが俺に鋭い言葉をかけてきた。

 うう……、恥ずかしい……。


「これは基礎から教えなきゃダメかな」

「教えてください……!」

「いいかい? 魔法には種類がある」

「種類……」

「まず、五大属性魔法と言われる火魔法、水魔法、風魔法、土魔法、光魔法があり、それに加えて無属性魔法と言われる回復魔法、結界魔法、封印魔法、召喚魔法、呪法などがあるんだ。」

「そんなにたくさんあるんですね」

「ああ。さらに魔法にも階級があってね。それぞれ初級、下級、中級、上級に分けられるんだ。さっきレイナが使ったのは下級水魔法だよ」


 ふむ……、魔法と言うのは結構、複雑なんだな。


「つまり、俺は初級から学ばなくちゃいけないということですか?」

「その前に、属性調査をしないと」

「属性調査?」

「ああ。人は生まれつき使える属性魔法が決まっているからね、それを調べるんだ」

「なるほど」


 転生者の俺はどうなんだろうか……。できれば、全属性を使うことができるとかだったら良いんだけど。


 少しすると、レイナが何かの葉っぱを持ってきた。

 全部で5枚だ。これを属性調査に使うのだろう。


「さあ、この葉っぱを一枚ずつ手に取って魔力を込めてごらん」

「どうやって込めるんですか?」

「力を込める感じだよ」

「……。分かりました」


 そして、俺はカエンソウと呼ばれる葉っぱを一枚手に取り、思いっきり力を込めた。

 ――――――――しかし、何も変化はなかった。


「火属性に適正は無いみたいだね」


 ま、まあそういうこともあるよね! 

 ポジティブに行こうじゃないか。


 次にミズナソウを試してみた。

 結果は、反応なし!


 次はヒカリソウを試してみた。

 反応なし!


 ジメンソウを試す。

 反応なし!


 最後はフウマソウ。

 反応なし!


 ――――――――ふざけんなよ!!

 流石に全属性を使えるというのは欲張りすぎだとしても、全属性適正なしとか!!


「まあ……、そういうこともあるよ」


 レイナにも同情される始末だ。自分が情けない……。


「カインさん、俺っておかしいですかね……?」

「い、いや、稀に全属性に適正が無い人も生まれるんだ。……多分」


 なんか悲しくなってきちゃった。

 俺は選ばれし者では無かったようだ。


「属性魔法が使えないとなると、無属性魔法を習得するか、剣士になるかのどちらかだね」

「無属性魔法は、よく分からないので剣士になることにします」


 かっこいい魔法使いにでもなろうかと思ったんだが……。

 こうなっては仕方がない。俺はかっこいい剣士になろう!

 そう心に決めたのだった。



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