7話
柊が肩車をされている頃、雛菊はと言うと。
「ケーキ!ケーキ〜!……あれ?ここどこ?柊もいない……もう、柊ったらまた迷子になったのね!しょうがないなぁ〜雛菊が見つけてあげなきゃ!」
雛菊は自分が迷子だと思っておらず、柊を探す為に屋敷の更に奥へと進んで行く。
「ふふふ〜ん!柊はどこかな〜?」
雛菊が鼻歌を歌いながら歩いていると後ろから誰かが雛菊の脇に手を入れて、ヒョイっと持ち上げられてクルッと体の向きを変えられる。
「およ?」
「おい柊、そっちは危ねぇもんが大量にあるから行くんじゃねぇ」
雛菊を軽々と持ち上げたのは柊と施設で出会った秋巴でした。
「雛菊は柊じゃないよ?」
「あ?どう見ても柊じゃねぇか、なぁ瑞生」
「確かにそっくりですが、本人が雛菊と名乗っているので、柊ちゃんの双子の姉の雛菊ちゃんでは?」
「あぁ〜確かにそうかもなぁ」
2人はマジマジと雛菊を見ながら話し続けようとする。
「お兄ちゃん達、柊に会ったことあるの?」
「はい。先程施設でお会いしましたよ」
「わぁ〜!そうなんだ!あのね、柊今迷子なの。早く見つけてあげないと今頃泣いてるかも……」
雛菊の話を聞いた2人は顔を見合わせて、苦笑いをした。
絶対にこの子『こいつ』が迷子だ。
2人の考えは言葉を発する事なく、一致した。
「柊〜お前の姉全然見つかんなぁけど…」
「どっかですれ違っちゃったのかも」
「マジかーしゃあない!1回玄関の方に戻ってみるか!もしかしたら、帰って来てるかもだろ?」
「そうだね、戻ろう!」
2人がそう言いUターンした時、後ろから明るい声が聞こえて来た。
「あっ!柊、みっーけ!」
「あ、雛菊だ!」
「マジか!」
急いで柊達が振り返った時には瑞生と繋いでいた手を離し、雛菊がこちらに走って来ていた。
柊も直ぐ、実に降ろしめもらうと雛菊の元に走って行き、そのまま2人で抱きしめ合った。
「柊心配したよ!どこ行ってたの?」
「私も心配した。玄関に入ったら、もう雛菊何処にも居ないし。雛菊こそどこ行ってたの?」
「雛菊はね、ずーっとあっちの方!柊が居るんじゃないかって探しに行ってた」
「そうなんだ、怪我とかしてなくて良かった」
2人が話をしているといつの間にか実達が側まで来ており、話に入ってくる。
「良かったな、柊!それにしてもマジでそっくりだなお前ら!」
「マジ並ばれると見分けつかねぇな」
「本当ですね。よく見ると柊ちゃんは瞳が蜂蜜色で雛菊ちゃんが空色なんですね」
「あっ本当だなぁ、目の色だけ違ぇのか」
「どっちも綺麗ですね」
「ありがと!」
「ありがとう!」
目の色は流石に隠しようが無いもんな。
本当は全く見分けが付かない方が良かったんだけどね〜
今度、目の色変えるコンタクトみたいなの作って貰おうかな。
性格の違いはまだバレてなさそうだから、それに関してはバレるまでは変えない方向で行こう。
「此処で立ち話も何ですから、そろそろ広間の方に行きませんか?」
「おお!そうだな、よし行くぞ!雛菊、柊!」
「了解であります!」
「えいえいおー!」
「元気だなぁ、お前ら」
秋巴の呟きを聞く事無く、実さんを先頭にして3人は歩き出した。