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シオンの涙雲  作者: 居鳥虎落
第1章
22/30

22話

「それじゃあ私達はこの部屋で待機しているから、何かあったら直ぐに叫ぶんだぞ、良いな?」

「分かってる!助けてー!って言うよ!」

「分かってるなら良い、10分したら行くからな」

「了解!」



 牢屋の方に行こうとするとみんな心配そうな顔でこちらを見ているので、大丈夫と伝えると待機部屋に入って行った。

 万が一離れた所から見られてて、読唇術とかで会話読まれても嫌だしね。

 それにあんなに心配しなくても大丈夫!

 施設長は鎖で繋がれてるし、施設長は檻の中で私は檻の外にいる。

 それにいつも忍ばせてる、ナイフもちゃんとある!

 いざとなったらこれで一突きよ。



「おはよう!施設長、昨日振りだね!」

「…何の様だ、冷やかしにでもきたのか?」

「そんな事しないよ〜!お話をしに来たんだよ!」

「…話?」

「そう!大事なお話」


 そう、私はこの人に罰を与えなければならない。

 私との契約を破ったこの人にペナルティをあげないと、元々そういう契約だったからね。




「私との契約を破ったね」

「ッ!」

「破ったらペナルティが生じるってお互い了承の上で契約したはずだけど?…私の勘違いだった?」

「ちっ違うんだ柊!私は契約を破った覚えはない…ちょっと行き違いがあっただけなんだ!」

「行き違い?」

「そうだ!お前との、雛菊と2人でセットじゃ無いと売らないって契約は守っていただろ!」

「確かに私達は売られてない…でも売ろうとはしてたよね?……雛菊1人だけ」



 私の言葉を聞いた施設長は顔色がどんどんと白くなって行く。



「あなたが雛菊1人を売ろうとするから、私はそれを消す為に色々細工しなきゃいけなくなったじゃん」

「は?」

「あの気持ち悪いロリコン男爵に売ろうとしたでしょ?子供を甚振るのが大好きな商人にも売ろうとしたでしょ?…全部知ってるんだからね?」

「まさかあの方達が居なくなったのは、お前の仕業か?」

「そう!私です!」



 柊は満面の笑みを浮かべながら、自分のほっぺたに人差し指を刺してアイドルの様なポーズをとった。



「まぁ、正確には私はある人にお願いして消してもらったって感じなんだけどね?」

「ある人?」

「そ!名前は言えないけど、報酬次第で何でもやってくれる人!あの時の報酬は何だったけなぁ〜」

「おい、ひいらぎ…」

「結構な量お願いしちゃったから高くついた気がするけど、忘れちゃったなぁ」

「…お前、本当に柊か?」



 この人何言ってるんだろ?

 もしかして私がいつもと態度が違うから混乱してるのかな。

 そういえば、この人の前でこの喋り方するの初めてかも?

 この世界に生まれてから素で喋ってるの雛菊の前だけだから、疑問に思っても仕方ないか。



「何言ってるの?柊は柊だよ!」

「ありえない!柊はストレートに物は言うが、人を傷つける事を嫌っていたはずだ!」

「あぁ、それは雛菊だけだね?私は雛菊の真似してただけ」

「は?」

「私は雛菊の為ならどんな汚れ仕事でもするよ?他人なんてどうでも良い、雛菊が幸せなら他の人間がどんなに不幸になっても構わない」



「そのせいで誰かが死んだとしても、最後に雛菊が笑っていれば、それで良い」



 私はニコニコで施設長を見つめて、弾んだ声色で話した。

 この人と話してるといつも嬉しくなる。

 多少の悪い事はやってるけど、自分がまだ正常な人間で、この人よりは人間としてのレベルが高いのでは無いかと錯覚出来るから。



「い、イカれてる…」

「そう!私はイかれているの!"あの時"からずっと!」

「あの時ってなんだ」

「おっと、それは施設長には関係ない話だったね。う〜ん、あと3分しかないから手短に要件だけ言うね」

「要件…?」

「そう!ここに来たのは、契約の話ともう1つ…施設長の体調不良の原因の話をしに来たの」

「わ、私の病気のを知っているのか!?これは治るのか!」」



 相っ変わらず頭お花畑だなぁ。

 契約を破った人間に手なんて差し伸べる筈ないって。



「残念だけど治らないよ?それの解毒薬まだ作ってなかったんだよね」

「な、に?」

「元々、その毒にどれくらいの効果があるのか知る為の実験だったんだけど、思ったより効果あって良かった〜、これなら使い道ありそう!」

「…うそ、だろ」

「何が?」

「全部、お前がやった事なのか?」

「そうだよ?正確には私とある人の2人でやった事だね?」



 私がそう言うと施設長は唖然とした顔でこちらを見ていた。


「施設長覚えてる?私が健康に良いからって手作りのお菓子とか飲み物とか作ってたでしょ」

「あ、あぁあれはうまかったな」

「あれに毒入れてたんだよね」

「どうして」

「ん?いや、最初は効くなんて思ってなかったんだよ?面白いもの見つけたから使ってみよー!みたいなノリで入れてみたんだけど、あの毒大分遅効性があるやつだったみたいで今効いてきたみたい」



 私が毒とその毒を使った経緯を説明すると施設長は真っ白だった顔を真っ赤にして鎖が付いているのもお構い無しに私に飛びかかろうとした。



「……お前ぇぇ!殺してやる!俺の事ずっと騙してやがったのか!?」

「騙してたのはお互い様でしょうよ?まぁ私の方が一足早かっただけだよ。これからは人から出された物は飲み食いしない方が良いんじゃない?貴方はもう死ぬけど、来世で覚えてたら気を付けてみたら?」

「許さない!!呪ってやる!!殺してやる!!…ゴホッゴホッ」

「良い余生を……バイバーイ!」



 柊は執事がする様に深々とお辞儀をして笑顔で手を振り、檻を後にする。




 あぁー!スッキリした!

 毒の効果も実感できたし上々かな!

 毒の効果と総一郎さんが言ってた、調べても原因が分からないってやつも合わせて結構な収穫だな。

 完全犯罪やりたい放題!

 勿論、やらないけどね?







「柊!おかえり!」

「ただいまー!」

「丁度10分だな、怒鳴り声が聞こえたから今そっちに向かおうとしていたところだ」

「全然大丈夫だったよ!お礼を言っただけだし!」

「礼を言ったくらいで怒鳴り声を上げるほど怒るか?」

「分かんないけど、施設を出れてそうお兄ちゃん達に会えて幸せって言ったら怒られた!」

「あぁ〜、なるほどな」



 まぁ、全部今適当に考えた嘘なんだけど、なんか納得してるし良いかな?

 やっぱり雛菊にはお見通しみたいで困った顔をしながら笑っていた。


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