14話
「組長、雨音です。2人をお連れしました」
「おお、入れ」
「失礼します」
雨音さんは保弘さんとは違いしっかりと許可を取ってから襖を開けた。
やっぱりこれが正しい、上司の部屋の入り方だよね。
「雨音と虎徹ありがとな、手が空いてたら俺が雛菊達迎えに行ったんだが…丁度立て込んでてなぁ」
「いえ!何なんりとお申し付け下さいっす!」
「組長自ら行かれるなんてやめて下さい。絶対双子がビックリします」
「それもそうか」
此処は上司と部下の距離が近いな、ヤクザのイメージってもっとこう、怖い感じだった。
ちょっとでも軽口言ったら半殺しみたいな?
「雛菊達も急に呼び付けて悪いな」
「全然平気!あと洋服ありがと!」
「すっごく可愛いし、色分かれてて便利!」
「気に入ったなら良かった、お前らが今着てるのは、俺の奥さんが選んだやつだ」
「紫お姉さんが選んでくれたんだ!」
「後でお礼言いに行かなちゃね!」
「ん?何だお前らもう紫に会ったのか?」
あれ?昨日あったんだけど、紫さんに聞いてないのかな?
「うん!昨日縁側の方で会ったよ!」
「とっても綺麗で優しかったよ!」
「そうなのか、紫の奴言ってくれりゃ良いのに」
「忘れてたんじゃないっすか?」
「紫さんならあり得る」
「あり得るな、しっかりしてるようで抜けてるからなアイツ」
そうなんだ、でも言われてみれば確かに、おっとりした感じの人だったから結構天然入ってるのかもな。
「それで、柊達何で呼ばれたの?」
「そうだった!昨日俺の弟の話してくれただろ?」
「うん!」
「それのお礼するって言っただろ?昨日の今日で悪いとは思ったんだが、早い方が良いと思ってな。何か欲しい物あるか?」
「雛菊達お話ししただけだよ?何か貰う事してない」
「良いんだよ!俺は話聞けて本当に感謝してんだ、だから俺の為だと思ってお礼させてくれ」
そういうと総一郎は柊達に深々頭を下げた。
ヤクザの親分がただの子供に頭下げるなんて!
「わぁー!やめてー!」
「言います!欲しいもの言います!」
「ありがとな!」
柊達が慌てて総一郎の頼みを受け入れると総一郎は何も無かったかのように直ぐ頭を上げ、満面の笑みを浮かべた。
こいつ自分の立場利用しやがった。
「で、欲しい物あるか?何でも良いぞ!」
「物じゃなくても良い?」
「あ?そりゃ言ってくれりゃ可能な限り用意するぞ?」
柊と雛菊は顔を合わせ、再び総一郎の方を見る。
「「雛菊『柊』達のお母さん探して欲しい!」」
総一郎を真っ直ぐ見て声を揃えて言った。
「つまり何だ?自分を捨てた母親を探して欲しいってことか?」
柊達から母親の話を聞いた総一郎が顰めっ面で問いかける。
「違うよ!雛菊達捨てられてないよ!」
「捨てられてない!」
「でも話聞く限り、DV夫から逃げる為にお前ら置いて逃げたんだろ?」
「違う!雛菊達がお母さん守る為に逃したの!」
「あのまま一緒に居たら、お母さん殺されてた!柊達邪魔だから先に逃げてもらったの!」
お母さんだけを逃すのは簡単だけど、子供の私達を連れて逃げるのは簡単なようで、実は結構難しい。
お母さんは早くに両親を亡くしているから頼る家なんてない、ホテルを転々とするにしても子供は邪魔になる。
だからお母さんだけを逃して、私達は施設に行った。
子供の振りを辞めれば説明簡単なんだけど、辞められないし、取り敢えず無事かだけでも知りたいのに。
「お礼なんでも良いって言ったじゃん!雛菊はお母さんに会いたい!」
「総一郎お兄ちゃんの中では最低のお母さんかも知れないけど、柊達には大切なお母さんなの!」
柊達は怒ったような泣きそうな顔で総一郎に訴え続ける。
「分かった、分かったよ!一様探してみる…見つかんなくても怒るなよ」
「総お兄ちゃんが真剣にお母さん探してくれるなら怒らない!」
「うんうん!」
「真面目に探すっての…お礼なんだからお前らの望みは叶えてやる。でも見つかったのがクズ女だったら、一瞬会わせるだけで、引き取らせたりはしねぇからな。俺の持ってる力全て使ってお前ら2人を俺が引き取る」
「「え?」」
何ドヤ顔してんだこの人。
この人の持ってる力って王様出て来そうで怖いんですけど。
全く、お母さんは普通に良いの人なんだけど、この人なりに私達を守ろうとしてくれてるんだろうな。
「ありがと!でもお母さんは最高のお母さんだから!」
「そこだけは絶対に譲らない!」
「お前ら頑固だな」
「「総お兄ちゃんこそ!」」
3人で言い合って爆笑した。
爆笑してる3人を虎徹と雨音が呆れた様な顔をして見ていた。
「お礼の件はこれで終わりだ。で、もう1つ話とく事がある。お前らが居た施設のクズ居ただろ」
「もしかして施設長?」
「そうだ、アイツの裁判が決定した。その時に証言をしてほしいそうだ」
「え!雛菊達が?」
「柊達まだ子供だから、大人組にお願いした方が良いよ?」
「いや、お前らアイツの仕事手伝ってただろ?」
「してたよ!」
「でも書類を運んだりしてただけだよ?」
何で仕事手伝ってた事知ってるんだろ?
海斗さんとも書類運んでる時しか会ってないのに。
「いや、アイツ本人がお前達も手伝ってたから同罪だとか言ってたから隠さなくて良いぞ」
馬鹿野郎じゃん。
言ったら罪増えるでしょ。
「なんだバレてたのかー!」
「柊達捕まる?」
「捕まらねぇよ!言われた通りやってただけだろ?それに、あの施設に監禁されてたんだ。逆らったら何されるか分からない状態の事が考慮されるから捕まらない」
「「良かった!」」
子供で良かった、総一郎さんの話きっと大人だったらそうはいかなかったと思う。
「で、証言してくれるか?裁判官の質問に答えるだけの簡単な仕事だ」
「良いよ!」
「面白そう!」
「よし!じゃあ行く日声掛けるから心の準備だけしといてくれ」
「了解!」
「話はこれで全部だ、お前らから俺に言っとくことあるか?」
「無いよー!」
「…柊も無いよ!」
「じゃ今日はありがとな、また今度よろしく」
「「またね〜」」
「失礼します」
「失礼します!」
柊達はそういい、総一郎の部屋を後にする。




