11話
「夕飯まで少し時間あるが、部屋で休んでるか?」
「屋敷の中探検したい!」
「良いね!柊も探検したい!」
屋敷の構造がどうなってるのか、ちょっとずつでも知っていかないと、もし此処から逃げなきゃいけない時にスムーズに出ていかないからね!
隅から隅まで調べさせてもらいます。
「それは構わないが、さっき雛菊が迷い込んだって場所あるだろ?」
「暗かったとこ?」
「そうだ、そこには行くな。危ない物が置いてあるから間違って触ってドカン!なんて事もなく無いからな」
いや、物騒すぎるだろ。
そんな危ない物人が住んでる家に置くな。
「分かった!」
「了解!」
「柊、見て見て!あそこに猫がいるよ!」
探検を始めて数分で雛菊が縁側で丸くなって寝ている猫を見つけて駆け寄って行く。
「雛菊、走ったら転ぶよ」
「大丈夫!ほら早く!」
雛菊はそういうと柊の手を引っ張って猫の側まで行き、隣に座ると小声で話しかける。
「猫さ〜ん、ちょびっとだけ触らせてくださ〜い」
すると雛菊の声に反応した猫が、ゆっくりと顔を上げた。
猫は雛菊の事をチラリも見た後は興味を無くしたようにまた、顔を伏せて眠りに入ってしまった。
「あら?これはどっちだろ?」
「触っても良いんじゃない?怒ってないし」
「そっか!じゃあ失礼します」
雛菊は猫に一声掛けると背中を優しく撫でる。
「ふわふわだ〜気持ちいい〜」
「本当にふわふわだね〜」
柊と雛菊は猫を起こさないように、声を抑えながら喋り、ニコニコ笑っている。
「その子は墨汁って名前なのよ。ちなみに男の子」
柊達が猫を撫でていると縁側の後ろの襖が開き、中から綺麗な銀髪の女性が顔を出した。
「「こんにちわ!」」
「あら、とっても元気ね。こんにちは」
「君墨汁君って言うんだね!よろしくね〜」
黒猫だから墨汁なのかな?
猫につける名前なのかなって感じするけど、この世界にも墨汁があるなんて、なんだか嬉しいな。
あれ?墨汁、右目を怪我してる?
「墨汁くん、目を怪我してるよ?」
「そうなのよ、墨汁は野良猫でね、だから外で喧嘩して怪我をしてくるの。その度に手当てをしてるんだけど、また怪我して来たのね」
「痛そう」
「野良猫だったんだね」
「そうなの、うちの子になる?って聞くといつも睨まれて威嚇されるから最近は聞かないようにしてるわ」
「お姉さんもここに住んでるの?」
「そうよ?ここは旦那さんの家兼職場だから、私もここに住んでるの」
旦那さんって誰の事だろ?
私達の部屋に違い部屋にこのお姉さんは居るから幹部の誰かの奥さんだろうけど……
「お姉さんの旦那さんって誰?」
「湊崎総一郎さんよ、もう会ってるかしら?」
「総お兄ちゃん!さっき会ったよ!」
「あらあら、もうお兄ちゃんって歳じゃないのに。ふふっ」
「お姉さんのお名前は?」
「言ってなかったわね、私は紫です。よろしくね、えーと…」
「雛菊だよ!」
「柊だよ!」
「よろしくね。雛菊ちゃん、柊ちゃん」
「「よろしくね!紫お姉さん!」
総一郎さんにこんな綺麗な奥さんが居たとは、まぁ総一郎さんもイケメンだもんなぁ〜
お似合いの夫婦だ。
「あっ!雛菊達探検の途中だった!」
「あら?そうだったの?」
「うん!そうなの、だからもう行くね!」
「危ない所に入っちゃダメよ?」
「うん!気を付ける!」
「それじゃ、気を付けて行ってらっしゃい」
「「いってきまーす!」」
柊達は紫に手を振りながら、その場を後にした。
次に柊達が辿り着いたのは、扉が無く暖簾が垂れている部屋でした。
そこは遠くに居てもガヤガヤと騒々しい音がしていました。
「ここは何の部屋だろ?」
「調理場だね」
「美味しい物あるかな!」
「つまみ食いする気か」
「えへへ」
柊達は調理場の入り口から顔半分だけ出して中の様子を伺うが、調理場は戦場と良く言ったもので、とてもつまみ食いなど出来る状況ではなかったので、2人は目を合わせ諦めて違う所に行く事にした。
のだが……
「お!そこのチビ助2人!」
「「ん?」」




