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ある日の戦場にて

 聖華暦839年 12月


「………おい、どう思う?」


 高台でかがみ込んでいた俺は、遠方を指差した。

 指した先には聖王国の旗を掲げ、目立った場所にこれ見よがしの円陣を敷く鉄の巨人兵『機装兵』の一団。

 その数はざっと十機余り。

 円陣の内側には多数の従機と軽巡航艦一隻が見える。


 場所は帝国と聖王国の国境。

 フォーレンハイト領の南東部に当たる。


「どおって、完全に持久戦の構えでしょ。でも、おそらく陽動。」


「ちっ、生意気に俺と同じ考えか。」


 俺の後ろに立つソイツの言葉に口の端を歪めながら悪態をつく。


「それにしても、第六世代(ソルダート)ばかりだね……。クルセイダーもいないようだし。」


 ソイツの両目、その瞳が金色に変化する。

 これは遠視の魔眼によって通常では視えない距離を見通す時の特徴だ。


「じゃあやっぱり本隊を迂回させてるな。」


「……で、どうする? 一応、今回は貴方に指揮権があるから聞くけど。」


 ふむ……。

 俺はどうするかを考える。

 この部隊の暗黒騎士は俺とアイツの二人だけ。

 あとは重機兵デュークが三機と機装兵レーヴェが六機。それと従機ガイストリーパーが十二台。


 あの陣地を攻める分には申し分無い。

 ただし、敵に別働隊がいるのなら話は別だ。


 元々、偵察からの報告では、あと数機は機装兵がいるはずだ。

 その中には第七世代機(シュヴァリエル)も含まれている。


「……あ、見つけたよ。陣地から左方向400mの林の中に塹壕を掘ってる。草で覆って偽装してるね。機装兵四機、うち二機がシュヴァリエル。」


「よぉし、でかした。」


 あの陣地を攻めたら死角から挟撃する算段なのであろう。

 ならば、こちらも二手に別れて……。


「ここでじっとしてても埒が開かないから、レーヴェ二機とガイストリーパーを六台貸してくれれば、僕が仕掛けるけど。」


 コイツも同じ考えか。

 まったく、本当にコイツはいけ好かない。


「……ふん、良いだろう。だが、あっさりやられたら承知しないぞ。」


「そんな簡単にやられる気は無いよ。そっちこそ、僕達を捨て駒に使わないでよ。」


「そんな非道をするか。さっさと行ってこい、リコス。」


「じゃあ行ってくる。後ろを頼んだよ、ビクトル。」


 お互いに敬礼を交わしてそれぞれの魔装兵に乗り込み、起動させる。


 リコスの魔装兵『ノクス・ズィリオス」がレーヴェ二機、ガイストリーパー六台を伴って、高台を駆け降りた。


 さて、暗黒騎士(リコス)に釣られて出て来る敵を、さらに後ろから強襲するのが俺の役目だ。


 暗黒騎士ビクトルの戦いを、聖王国の連中にとくと見せつけてやる。

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