幕間 5 真鳥文書
幕間 5 真鳥文書
奇書である。偽書ともいわれる。
神代文字で書かれたというその書が語るのは、皇島国の隠された起源。
数万年前に沈んだとされる陸地から、多くの者がこの神州に移り住んだと言う。
その失われた地を「ミヨイ」と呼ぶ。
皇島国で近年流行している「大聖天教」は、この書を聖典としているとも言われる。
聖典は告げる、ミヨイが再び浮上する時こそ、神州が完成する時である、と。
神州の形は、世界五大陸を縮小し象徴したもの。
本州はユーラシアの、四国はオーストラリアの、九州はアフリカの象徴である。
そして、北海道は、北アメリゴ。
・・・では、南アメリゴを象徴する地は?
それが「ミヨイ」である。
一度は失われた地、ミヨイが再びよみがえる時。
神州の神々と、世界の神々が習合する時。
その時、神州は世界の象徴として完成し、神州は世界の中心となる。
明治初期から続く神州雛形論とでもいうべき思想の世俗的な広まりは、皇島国社会への影響を強めている。 そして、世界の中心であるべき皇島国の人間が最も優れている、そう唱える者の増加にもつながっていた。
それは、皇島国を支配する者たちからすれば、決して悪くないことであった。




