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社長と秘書と奴

5/9 少し修正しましたが結果は変わってないです。


ピリリリリ、ピリリr


画面を見ずに携帯を取り、男は喋り始めた。

「俺はモンスターだ」

「私は狩人だ」

「てめえを食ってやろうか」

「その前にお前を殺してやろう」

男はそこで一旦電話を切り、もう一台の携帯で相手に掛け直した。

「お電話ありがとうございます。早速ですが、どういったご用件でしょうか?」

「粗大ゴミをひとつ、いやふたつ片付けてもらいたい」

「それですと2~5かかりますが、よろしいですか?」

「構わん。期限は半年以内で頼む」

「分かりました。詳細は今から言うメールアドレスに送ってください」

「あぁ」

「○X□△・・・・・」




~二週間後~


「今日で日本と暫くのさようなら、か」

やり手と思わせる風格を纏う4,50代の男は溜息を吐いた。

「この景色も結構気に入っていたんだがなぁ」

髭を触りながら窓に映る景色を眺めながら更に溜息を吐く。

流石高級ホテルのスイートルームといったところか。

周りにホテルより高い建物はなく、眼下に広がる数多の建物。

身近で見るととても大きなものが小さく見える、というのはとても気分が良くなる。

ともすれば、私が頂点のような・・・そんな気分に。

「ま、今回の視察次第といったところかな?」

誰に問いかけるでもなく男は一人笑う。

グイッとグラスを傾けて残っていたワインを飲み干し、新しく注ごうとするとノックが聞こえた。


コンコン


「入れ」

「社長、失礼します」

そう言って入ってきたのは、男が会社を設立した頃からの付き合いであり、

優秀な秘書として今も頑張って貰っている柳洞寺りゅうどうじ君だ。

私が今飲んでいる位置、ソファーの後ろに立って彼は口を開いた。

「社長、今大丈夫ですか?」

「あぁ、後は寝るぐらいしか残っとらんよ。君も一杯どうだい?」

何処か緊張気味の彼に私はグラスにワインを注ぎ、渡した。

「あ、ありがとうございます・・・」

彼はグラスを受け取ったものの、一向に飲む気配がなかった。

「おい、どうした?何か」

トゥルルルルル、トゥルルルル・・・・


流石に何かあったのかと聞こうとすると、間の悪いことに部屋の電話が鳴り響いた。

「すまない、少し待っていてくれ」

「はい・・・」

気になりはするが、とりあえずは電話を取ることにし入り口に向かった。


「はい、3007号室の箕輪みのわだが」

「箕輪様、夜分遅くに申し訳ございません。お聞きしたいことがあるのですが、今よろしいでしょうか?」

彼の事が気になるが後で聞けばいいことだし、別に問題はないか。

「ああ。それで、何かあったのか?」

「明日の朝10時にチェックアウトとの事ですが、朝食の方はいかがなさいますか?」

「ん?それについては今日帰ってきた時に話したはずだが・・・」

私が疑問に思うと、ホテルマンは謝ってきた。

「本当に申し訳ございません!その事に対応した人物がまだ新人だったため、

教育が行き届いておらず内容を忘れたと申しておりまして・・・」

「あぁそうだったのか。いやいや、別に構わんよ。それで明日の朝食だが、なしで大丈夫だ」

私が答えるとホテルマンは心底安心したように息を吐いていた。

「申し訳ありませんでした!こういう事が二度とないように新人には言い聞かせておきますので!

では、夜分遅くに失礼いたしました」

「はい、お疲れ様」


ガチャッ


受話器を戻し、彼の元に戻る。

彼はグラスを片手に持って、先程の位置から動いてないようだ。

私はソファーに座り、残っていたワインを一気に飲み干した。

「しゃ、社長!」

それを見て彼は驚き声を上げた。

「私はただワインを飲んだだけだよ。それよりだ。

何か、あったのか?」

私の問いかけに彼は怯えた?表情で話し始めた。

「・・・・私、これまで内緒にしてきましたが、実は来月に結婚するんです」

「な、なんと!?本当かね!!それはおめでたい!」

彼の表情については疑問に思ったが、私はつい声を荒らげてしまった。

「いやー心配していたんだよ!20代の頃からずっと私に付き合わせてしまっていたからね。いや、本当にめでたい!」

しかし、めでたいはずなのに彼はずっと俯いていた。

いや、思い当たった。あぁ、なるほどと。

「そうか、そうすると私と一緒に視察には行けないな」

少なくとも数年は帰れないだろう視察に彼を連れてはいけない。

彼はビクッとなり、顔を上げ私を見た。

「すみません、社長」

「気にするなと言えるほど余裕があるわけではないが、それでも気にするな」

彼は本当に優秀な秘書だったのだ。だからこそ、ここで失うのは痛い。

「君が幸せになってくれるなら私だって幸せさ。君の変わりは適当に探しておく・・・さ」

あれ、少し飲み過ぎたか?眠気が・・・。

「すまない、少し、飲み過ぎたようだ。明日の朝、詳しい事を聞こう」

私はベッドに寝転び目を瞑った。

意識が遠のく中、彼の泣声が聞こえた。

「違う・・・違うんです・・・社長・・・・」

泣いている・・・彼は・・・初め・・・て見・・・た。

そうして私は意識を失った。



「うっぅ・・・しゃちょぅ・・・すみません・・・・」


コンコン


秘書が泣いているとドアをノックする音が聞こえてくる。

秘書は涙を拭き、立ち上がるとふらふらとした足取りでドアを開ける。

ドアを開けるとサングラスにマスク、茶色いコートと如何にもな格好をした奴が現れる。

「柳洞寺さん、目が腫れてますよ」

サングラスを外し薄ら笑いを浮かべながらそんな事を宣う奴に、秘書は腹を立てつつも何も言わずベッドに案内した。

寝ている社長を見て男は満足したかのように頷き、懐からサプレッサー付きの拳銃を取り出した。

秘書はそれを黙って見ていた。両手はきつく握られていたが。


パシュッ 


頭に放たれた弾丸はいともたやすく社長の命を奪った。

秘書はベッドから顔を逸らしながら奴に問いかけた。

「これで、俺とサキは見逃してくれるんだよな?」

「勿論ですよ」

微笑みながら言う奴を見て秘書は安堵する。

しかし、そんな秘書に向かって奴は容赦なく引き金を引いた。


パシュッ 


頭を撃ちぬかれた秘書だったものは力を失い、床に倒れた。

奴は拳銃を懐に戻すと何事もなかったかの様に部屋を出たのだった。




~翌日~


「・・テルにて本日の朝、箕輪グループ社長の箕輪みのわ 正人まさと社長と社長秘書の柳洞寺りゅうどうじ すぐる氏の遺体が見つかりました。発見したホテルマンによると、『チェックアウトの時間になっても降りて来られなかった為確認に行くと死んでいた』との事。

箕輪グループは近年海外進出に力を入れており、将来が期待されていたのですが、大変残念な結果になって・・・」


「報酬は指定の口座に振り込んでおいた、確認しておいてくれ」

「またのご指名、お待ちしております。それでは」

電話を切ると俺はニュースを流している街中の巨大モニターを横目に、人混みに紛れていった。



最初の方の電話のやりとりですが、とりあえず

ゴミ掃除=殺人

可燃ゴミ=一般人 不燃ゴミ=悪人 粗大ゴミ=有名人 生ゴミ=裏稼業・同業者

と考えてます


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