tethering
テザリングって言葉は本当はデザリングのほうがかっこいいと思うんですよ。
「私たちは現在六人いますね?」
羽生河四ノは急に立ち上がってそう言った。奴が座っていた椅子が後ろに倒れてガタンと大きな音がなった。「まぁた面倒なことを考えているに違いない」私、和委志千雅は思った。
大体が、いつだって奴はそうなのだ。なんかのアニメとかだとキャラクター紹介をするとその中に必ず一人「ムードメーカー」っていうのがいる。奴はソレだ。それにムードメーカーっていうのは少々言葉が良すぎるし、カタカナでかっこよすぎる気がする。『面倒で厄介な疫病神』でいいと私は思う。むしろそれ以外には無い。まあそんなネガティブなことが、商業を目的とした品物でまかり通るとは思えないけども・・・。多分企業のイメージも悪いし・・・。
「なに一人で語ってんの!肘ついて偉そうに!」
羽生河四ノは私にしっかりとビシッと指を差して言った。それは結構な大声だった。
私は情けないことにそれに「おお!」って驚いた。やべえ、私は語っていたのか?
「・・・語ってた?」私は恐る恐る聞いてみる。成人を過ぎた大人になったのに、無意識で語ったりしていたら恥ずかしいのだ。親指をしゃぶるくらいは恥ずかしい気がする。
「おめえの顔みりゃわかる」
なんだ、決め打ちかよ?それでも私はホッとした。語っているなんてそんなんないよな。よかった。そういうのは解説の仕事だよな・・・。そうだよ・・・
・・・私、今これ解説キャラじゃないか!?
「さて、諸君。私たちは今六人いますね?」
羽生河四ノがガイナ立ちでそう言った。「どういうキャラだよ?」私はそう思った。ガイナ立ちはそうそうしていいもんじゃないぞ?そういうのは選ばれたやつしかできないんだぞ?やりたくても出来ない奴もいるんだぞ?お前はやっちゃいけないやつだろう?っていうか私たちの中でそれをやっていいやつなんかいないぞ?まあそうは言っても私も昨日(2014/06/14)自分ところでやったけど・・・。御苑のやつで・・・。
「六人っていうのはこの同一人物集団のことを言っているの?」
高瀬秋口が羽生河四ノを見て言った。相変わらず毒にも薬にもならないコメントだ。その普通さが他のやつに比べて常識人だと思われたくない。私たちの中で一番頭がおかしいのがコイツだと私は思う。
「そうざんす」
そうざんすってなんだよ?何のキャラだよ?
「で、何をするつもりなの?」
おい、お前いいのか?止めろよ?
「私たち六人だからさ、✡ができるじゃん!!」
「・・・なにそれ?」
これ↑言ったの私、解説の人。
「何って何さ?」
「それだから何?っていう話をしているんだと思うな。ね?和委志、そうでしょう?」
これは↑炉久井紙塚だ。炉久井はピクシブで活動している。この六月はあと四枚だから結構余裕なのだろう。発言に余裕が感じられる。
「そう、それ!」
それに比べて私っていうのはなんでこんなに余裕がない感じなんだろうか?
「✡?コレはダビデの星でしょう?」
「ダビデの星だから何!」
「六芒星の呪縛でしょう?」
「だからっ!?」
本当になんだ?だからなんなのだ?狂ったのか?若年性のアルツハイマーか?それとももっと深刻ななにかか?集中治療室か?安楽死か?羽生河四ノ、私たちは曲がりなりにもいままで助け合ってきただろう?それも今日で終わりか?最終回か?最終回で読者を稼ぐつもりなのか?残念だけど最近、私の方でそれもやったぞ?んで、それ意味ないぞ?私らの知名度がすげー高かったら効果あるかもしれないけど、ないぞ?ゼロだぞ?
「結界を作るって事かい?ねえ、台?」
「そうね塔、きっと結界なんでしょう?」
・・・・・・、
そうなの・・・?私は信じられない気持ちで羽生河四ノの顔を見た。そしてその瞬間後悔した。見るんじゃなかったと思った。だって奴の顔が口から出てくる言葉以上に言葉を語っていたからだ。
「あたり!」
奴の顔はそう言っていた。
しかも史上最高のドヤ顔だった。
それも昨日やったよ・・・。私はそう思った。
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夜も更け日も代わり丑三つ時になった頃。私たちは六人は揃って樹海にいた。
「・・・なんでここ?」
私は言った。っていうか私、昨日の即興を休んでまでこんなことをしないといけないのか?なんでだ?
「うん、怖いねえ・・・」
秋口高瀬も私に続けて言った。奴も昨日アメブロを休んでしまっている。私たちにとって休みっていうのは、何もしなくてもいい日のことだ。私たちほぼ毎日組はそういうふうに一ヶ月に何日と決めて休みを取っている。誰のためでもなく自分のために。そもそも私の即興も高瀬のアメブロも誰のためでもなく自分のために続けていることなのだ。だから長く続けられるためにたまに休みを取っているのだ。それが、それがなんだこれは!?どうしてこうなった?どうして樹海に居るんだっ!丑三つ時にっ!?真っ暗だっ!冥穴みたいだっ!おっかねえっ!!
「じゃあ、それぞれの立ち位置にバミリをしているんでそこに立って?」
羽生河四ノは私たちの不安な感情など意に介さない様だった。なんだこいつ?とりつかれてんのか?私は心配になった。
「暗くて足元もよく見えないねえ?」
やっぱり炉久井紙塚は余裕そうだ。それがなんかイラっとした。ひと月十枚のノルマで今月あと四枚のやつは余裕だろうよ?そう思った。まあ、みんな好きでやってるんだから余裕も糞もないのだけど、でも今くらいはそういうこと(他者に対する不満)を考えてもいいだろう?逆に、今考えないでいつ考えるのだ?SAWの映画とかだって他人を殺しても生き残りたい奴の話じゃないか?
まあ、今のコレはどっちかっていうと「ブレア・ウィッチ・プロジェクト」だけど・・・まあ、どっちにしても怖い。今自分たちが一体何のために何してんだかわかんないけど、でもとにかく私は怖いです。仮に、これで怖くない奴は想像力が無い。
「そういえば塔、こないだの金曜日は13日だったかしら?」
「そうだね台。ジェイソンさんはこないだで眠ったのかな?」
「ええ塔わかっているわ。もしかしたらこないだまた起きたのかもしれないわね?」
「そうだねえ台、ハハハ・・・」
「うふふ・・・」
こんのクソガキどもっ!?
普通ジェイソンさんの話を今する!?このタイミングで?色々と神経が切れてんじゃねえのか?本当にチェンソーの音が聞こえたらどうするの!?
「それにしても塔、ここはなんか悲恋湖みたいじゃない?」
「ああ、そうかもしれないねえ・・・」
悲恋湖?なんか聞いたことあるな・・・。
いや、それよりもまず、
これを読んでくださっている心優しい皆様にお願いがあります。結構深刻なお願いです。こんなことをお願いするのは心苦しいのですけど他に頼める人がいません。ですのでお願いします。
明日、和委志千雅の即興と高瀬秋口のアメブロがなかったら、それは私達が死んだってことですからね。その時はお願いしますね?これを読んでいる方!お願いしますね!
ああ、なんでこんなことになった?私は廃墟にふざけ半分で行くカップルとかを下に見ていたはずなのに・・・。死んで当然だと思っていたはずなのに・・・。死んでこそだ!とすら思っていたのに・・・。コレじゃあ私たちも一緒じゃないか?もう私たちに彼等を笑う資格は無い。昨日まではあったのに、今日私たちからそれが失効しました。せめて、せめて、わたしゃ零みたいな感じでそういうことに巻き込まれてみたかったよ・・・。ちょうどそういうのが似合いそうな奴ら(田島岬塔台)もいるし、ちょうどいいじゃん?私1の最初に殺された人の役でいいからさ・・・。あれだったとしたら、あきらめもつくかも知れないのにさあ・・・。なんだよ?✡ってなんだよ?結界ってなんだよ?こんなことになるんだったら、助け合いとかどうでもよかった・・・。もう羽生河四ノだけ死ねばいいじゃん?霧絵みたいにさあ・・・。
私がそんなことを考えている間にも、羽生河四ノはバミリの他に地面に白いチョークで✡のマークを書いていた。
これ・・・金田一少年の二巻のやつじゃないか!
それを見て私の脳みそは勝手に当時あれを読んだ時の恐怖が再生された。そしてその記憶に釣り上げられて五巻の仮面の奴も思い出した。超怖かった。超怖いやつ。その当時あまりの恐怖に私はしばらく母親と一緒に寝たのだ。それくらい当時は怖かったのだ。
おしっこが漏れてしまうかも知れない。
・・・っていうかさっきの悲恋湖って、六巻と七巻じゃねえか!
・・・漏れる。
「じゃあ、みんなそれぞれのバミリを確認したけ?」
・・・け?ってなんだよ?
「じゃあ、それぞれに隣の人と手をつないでください」
私たちは全員隣のやつと手をつないだ。しかし、
「・・・ねえ、四ノ、その前にさ、あの真ん中に置いてある物って何?」
高瀬がなにか言葉を発した。それで私も反射的に真ん中を見た。手はつないだまま。
「・・・」
✡の真ん中には何かが置いてある・・・・。
鶏肉だった。パックのだ。胸300グラムって赤い字で書いてある・・・。しかもマイフェイバリットスーパーのやつだ・・・。
「・・・鶏肉・・・」
なんで?
「和委志千雅っ!」
「は、はいっ!」
私が鶏肉を見て混乱していると、急に羽生河四ノに大きな声で名前を呼ばれた。私も反射的に大きな声が出た。近くの闇の中でバサバサバサっていう音がなった。
「キミ、昨日のバトルで必須要素の『鶏肉』を使い忘れたでしょう?」
「へ?」
昨日のバトルってあれ?即興バトルの事?2014/06/14のバトルのこと?だから何?
「キミ、感謝したまえよ?私は今、それを拾って使ってあげているぞ?」
はあ?誰がそれを頼んだの?
「・・・」
「だからコレは、君のための話だよ?」
「・・・何言ってんの?」
お前、本当に何言ってるの?
「キミ、それを気にしていたでしょう?だから私なりに優しさを発揮して、しかもそれを押し付けてみたんだよ?」
「押し付けて・・・」
「ねえ、迷惑でしょう?」
・・・迷惑だね。そうだね。たとえ優しさでも押し付けられたら迷惑だね?当たり前だよね?
「だから元気だしなよ?」
「・・・」
これが、元気出す状況か?
「鶏肉を使う話を考えたらこういうのしか思いつかなかったんだもの・・・」
「・・・私はあの話で最期、本当は二人でグリーンカレーを食べに行く話にするつもりだったんだよ?そこで鶏肉を出すつもりだった」
「ええっ?あれは植物系の主人公なのに!?」
「たとえ植物系でも菜食主義者じゃないよ?っていうオチをつけるつもりだった・・・。食虫植物とかもいるしね。まあ、時間がなくてああなったけどね・・・」
なんで私はこんなことを真夜中で丑三つ時の樹海で手をつないで話さなきゃならんのだ!
「ふうん。じゃあ、これが終わったらみんなでグリーンカレーを食べに行こうか?」
バカ野郎!!自分で作るわ。業務用スーパーとかに行って材料買うわ。
「元気になった?」
「元気になったね?」
私の手を両側から掴んでいる塔と台はそう言って両側から私の顔を覗き込んだ。
クソガキども黙ってろ!私は下を向いた。
くっそ恥ずかしい・・・。
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「じゃあ、和委志千雅が元気になったところで最後の仕上げです。皆さん、私の言葉を復唱してくださいね?」
何?まだやるの?何を?結界?結界って何をするの?
「ねえ羽生河、あのさ、結界って何をするの?」
「誰が結界って言った?」
は?
「さあ、みんあ復唱してね?大きな声でね?」
復唱するの?何をするの?結界って復唱するの?っていうか大きな声ってなんでよ?
「ベントラー、ベントラー!」
ええっ!何、何、何これ?
「スペースピープル、スペースピープル!」
ええ!マジでか?マジでかお前!?
そのとき私たちのいる場所は真っ暗だった。それなのに羽生河四ノがそれを叫んだらにわかに南東の空が明るくなった。そして、それは少しずつこちらに近づいてきているように見えた。
まさかの、まさかの『SILENT HILL』UFOエンドかよ・・・。
あ!だから樹海なのか?
え?でも、
樹海は山梨でしょう?
え?
しかし、
まあそんなこともうどうでもいいのか?
そうしている間にも例の光が私たちに迫ってきていた。
あの光がここまで来たらどうなるのか?私には想像もつかない。
で、
結局、なんだこれは?
私は思った。
でも次の瞬間には空飛ぶなにかが肉眼ではっきりと見えて、私たちは全員その光に包まれて・・・
テザリングっていうのがチャネリングに似ていたんで書きました。