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「ちょっと寄り道してもいいか?」
帰り道、同じホテルなので二人で仲良く隣り合わせで歩いていると霧島さんが言いだした。
「かまいませんよ?」
すれ違う人や同じ方向に進む人・・・周りには、ほとんどが男女のカップルだった。
「霧島さん」
ちょっと先を歩く彼の腕を引っ張り話しかけた。
「なんだ?」
早かったか?と少しスピードを落とした霧島さん
「そうじゃなくて・・・私たちって傍から見たらカップルなんですかね?」
何も考えずに思ったことを口に出していた。
「・・・それはないだろう?年が離れすぎだよ。」
聞き取れないくらいの速さで霧島さんは言った。
私はその言葉を聞いていないフリをした。
「そこ、足元気をつけて」
しばらく沈黙が続いたその時いきなり前を歩いていた霧島さんが手を差し伸ばしてくれた。
「はい。」
素直に私は霧島さんの手を取った。
「もうすぐだよ。ほら、まっすぐ見上げてこらん」
足元に気を取られていた私は霧島さんの言葉で顔を上げた。
「わぁ・・・きれい」
そこは昨日、霧島さんと会ったチャペルの裏にある広場だった。
目の前に広がる青やシルバーの神々しい光、クリスマス期間ということでかとてもきれいなイルミネーションが施してあった。
「この地区のちょっとした穴場スポットらしいよ。」
周りを見渡せば、確かに穴場らしく人があまりいなかった。「でもなんで・・・」
わざわざ連れて来てくれるなんて・・・
「君が好きだろうなと思ってな。」
ちょっと照れくさそうに、そう言った霧島さん。