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「もぅ・・・」
霧島さんの言葉に拗ねて私はそのまま口を閉じてしまった。
「ないものねだりかな・・・俺にはそんな風に感情を表に出すことは出来ないからな。だからかな、君にどんどん惹かれていったのは・・・で、まだ続きがあるんだろう?」
しばらくじぶんの料理と格闘していた霧島さんが口を開いた。
「・・・」
いつの間にこんなに私のことを見ていてくれたのだろう。
そんなことをぼぉーっと頭の中で考えていた私
「どうした?」
伏せていた目を上げると心配そうに首を傾げこっちを見ている霧島さんと目が合った。
「いえ・・・さっきの続きは私もあんなかわいらしい式を・・・・ちょっと待って・・・さっき霧島さんなんて言いました?」
さっきの話の続きを話そうと口を開いてみたがなにかが引っ掛かっていた。
霧島さんの目の前に待ったと手のひらを向けた。
「ないものねだり・・」
霧島さんは私の問いにゆっくりと口を開いた。
「ううん・・もっとあと・・・」
なんだが、怖くなって私は霧島さんの顔を見ることを出来ずに再び顔を伏せてしまった。
「ちゃんと言ってやるから顔をあげないか?」
膝の上にあった拳をいきなりあたたかなぬくもりに包まれた。
いつの間にか目の前に座っていた霧島さんは椅子から立ち上がり私の隣にいた。
しかし、椅子に座っているわけではなく椅子の高さに合わせてその場にしゃがみこんでいた。
「ちょっ・・霧島さん、そんな所にしゃがまないで・・・」
「これは荷物とかではなくちゃんと手渡しをしたいと思って買ったんだ。」
慌てている私をよそに落ち着いた雰囲気を漂わせる霧島さん・・・
私の掌に小さな箱を乗せ、私に席を立つように軽く腕を引っ張り促した。
「ちょっと寒いけど、歩かないか?」
私は何も言うことが出来ずにゆっくり一度うなずくだけにした。
左手には彼がさっき握らせた箱がそして・・右手は、彼の左が繋がれたままだった。




