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14時か・・・チェックインはまだ出来ないな。
時計に目をやり、先に荷物だけホテルに預けることにした。
目的のない旅行だった。久し振りにまとまった休みをもらったからだ。
と、言ってもクリスマスシーズがとても近い連休。
周りにはカップルばかりだった。
旅行が好きで旅行会社に入ってもうすぐ3年。
憧れで入った職場
話でとても根性がないと続かない。
そう聞いていたが働きだして1ヶ月もしない内に私は脅し文句ではないことを悟った。
それでも私は辞めることなく仕事を続けた。
「・・・ここドコ?」
前もって調べていたお店。
夕食をと思っていたのに・・・手元にある地図を睨み付け、今日は諦めてとにかくわかる場所に移動しよう。
「わぁ・・キレイ」
角を曲がり目の前に広がった景色と建物。
まるで西洋にいるかのように勘違いしそうなガーデン・・・
そしてその中に建っているチャペル・・・何十段もある長い階段
視線をそっと階段から花嫁たちが現れるであろう扉にあげた。
「えっ?」
タイミングよく現れた二人の男性
二人ともスーツ姿で真剣に話をしていてこちらには目もくれない。
う~ん・・・なんてゆーか様になってる仕事の出来る大人の男って感じ。いつも見ていた姿はお互いにデスクワークだ。
すごく新鮮。
そう思った瞬間だった。
バチッ
階段の上から下を見下ろした一人の男とバッチリ目が合った。
なにもやましいことはないのにヤバッと思いその場から立ち去ろうかと頭を過った時、上から手をおいでおいでといったふうに仰いでいるのに気がついた。