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09.09.27に自サイトにてホワイトデー企画に掲載したものです。
「なにをそんなにそわそわしてるわけ?」
いつも通り勤務を終え自宅に帰るなり母親に突っ込まれた。
「なにが?」
バタバタと用意をしていた私は首を傾げた。
「携帯ばっかり気にしてる。」
母親の言葉にハッと我に返り、無意識に触っていた携帯のストラップから手を離した。
「そんなにあからさまにしなくてもいいのに・・・」
私の反応にクスクス笑いながら言う母親
なんだかバツが悪くなり私はさっさと部屋に行こうと腰を上げた。「待ちなさい。」
慌てたように声を張り上げた。
私は母親の慌てっぷりにまだ何か?と言う視線を投げかけた。
「そんなに反抗的ならあげないわよ」
フンッと鼻を鳴らすように挑戦的な母親に私は怪訝そうに眉をひそめた。
そんな私にニヤニヤと笑みを浮かべ隠し持っていたらしい小さな箱私に見せた。
「霧島祐馬・・・・」
その箱を見ながら呟いた。
私はニヤニヤしている母親を軽く睨みつけ手元から箱を奪い取った。
「おぉー怖っ・・・」
わざとらしくオーバーリアクションをする母親を横目に私は箱に貼ってある宅配便の伝票に見入った。
そこには確かに母親が口に出して言った名前が書かれていた。
「なになに悠夏の彼氏?」
丁寧に箱からテープをはがし箱を開ける。
「違うわよ。私の片思い!!」
横から気になるのか母親も覗き込んできた。
「ふーん・・・そのわりには悠夏のことをわかっているんじゃない??」母親がぼやくようにつぶやいていたが私の耳にはまったく届いていなかった。
箱を開けた途端に広がる甘い香と色とりどりの・・・
「綺麗だけど、それなに?」
「ドラジュ・・・ドイツのお菓子よ。手にした人には幸福が訪れる・・・そう言われているの。」
箱の中の彼女たちを見て私は口元を綻ばせた。