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2008.2.14にValentine's Day企画に掲載したものです。
「お先に失礼します。」
就業終了チャイムがなるなりデスクの上をバタバタと片付け出勤簿に18時と記入し、ロッカーに向かった。
「あら、珍しい。」
ロッカーに行くなり、隣の部署で仲の良い同僚がオーバーリアクションで言った。
「本当に・・・あんたが6ピタで帰るなんて明日は雪かしら」
隣にいた同僚までもが楽しそうに言う。
「たまにはね。」
制服をそそくさと脱ぎ私服に着替えた。
「・・・何、その荷物」
ロッカーから取り出したボストンバックに目を奪われ声をそろえて言う同僚たち
「ちょっとね。それじゃーお疲れさまでーす。」
機嫌よく私は更衣室から出て行った。
『申し訳ございません。霧島は食事に出ていまして・・・本日はそのまま外出の予定で直帰となっております。』
やってしまった・・・・
昨日、確認した時には外出予定ナシと言っていたのに・・・
昼前に泊まっているホテルから事務所へと足を向け、あらかじめ登録していた彼の部署に電話をかけ唸った。
仕方ない、飛行機に乗りはるばる来て逢えないなんてバカすぎる。
びっくりする顔を目の前で見たかったが携帯に連絡するしかないか・・・
ふぅ~と自分の運のなさに呆れながら事務所の入ったビルから出た。
午後からの場所が遠くでなければいいな。と期待を込めて携帯に手をかけた。