どうしてこんなことに・・・・・
大変です......今、紫縞君を殺そうとしていた人にお持ち帰りされて.....
空を飛んでますうううう!!ひいいいいぃぃぃぃ!!
「いやあああああ!!落ちるううう!!」
「やかましいぞくず、落ちたいんなら落ちるか?」
ほんとに落とすなんてえええええ!!
「ぎゃああああああ!!!」
猫扱いでもするように、首元の服を掴んで私は一安心する、が。
「ぎゃあああ...って、お前、もう少し可愛く言えねえのかお前。女なのに色気も何もねえなお前」
む.....今さっきから聞いてればお前お前って....コイツ最悪......。
シトをよじ登って上に乗る。アンパン〇ンが上に乗せる感じみたいに。
「ほら、早く戻ってよ!!」
「お前降り―.....!」
「わあっっ!!」
何も考えなしによじ登った私は馬鹿だった。
まっさかさまに落ちる私達は地面に落ちた。
~~.....いたたたた....。
起き上がろうとするけど、どうやら足を痛めたっぽくて歩けなかった。
「どうしよう.....」
石段の上に座り、落ち込んでいると声をかけられた。
「.....俺に命令する奴なんかほとんどいないぞ。ほんとお前、俺に首絞められたいのか?」
「会えないなんて....や.....」
もう.......たぶん紫縞君にも会えない......。
「泣くな、うっとうしい。泣くやつは嫌いだ。行くぞ」
「...ひくっ.....ぐすっ.....ぐう......」
「――.....?!」
泣いていたら、私は寝てしまった。
「........なんなんだこいつは......」
目が覚めた時には、どこかのベッドで寝ていた。
ここ、どこだろう.....。
あれ...?私あの後、どうしたっけ....?
周りを見渡すと、どうも人のいる気配がしない。
「あの~、誰かいませんか~?」
返事がない。とすると、ここは私一人なのかな....?
地面は木材の音がしてまだ新品っぽい?まだここ新しいのかな....?
ベッドが一つに窓が三つ、前と横にあって窓からは落ち葉が散っている。
わ......キレー....。
木を見ているとそこで寝ているシトさんらしき人が寝ていた。
....あの人、静かにしているとかっこいい?とは思うんだけど.....。
「ん....っ」
あっ!!
シトさんはずるッと木から落ちて、頭から土に突っ込んだ。
「っ~~~~ぷはあっ!」
私は急いで下に駆け寄って声をかける。
「だ、大丈夫ですか?!怪我は?!」
すぽっと頭が抜けて土まみれな顔でこっちを見てくるので、なんか笑ってしまった。
「ぷ、くくくくくっ....」
「.....今なにが....?なんで笑ってるんだ?」
「いや.......顔、土だらけですよ?」
ふふふ、こんな可愛い一面もあったんだ...ふふふ。
笑いながら顔を拭いてやると避けられた。
「....自分でやれる。触るな、気持ち悪い」
「.....あの、シトさん」
「シト?誰が勝手にそんな名前をつけたんだ。俺はちゃんとした名前が――....」
ぼわんっ――....。
ほえ?!
今さっきまではちゃんとした人間だったのに、シトさんは猫に変わっていた。
「んな~~~~~~~~~~~~~!!!」
叫び声が響いて耳が破裂しそうになる。
....ん?今...シトさんが猫に.....。
私の心の中は一つだけだった。
「か~わい~~~~~!!!」
ぎゅっと抱きしめると、猫のシトさんは何だかもごもご言って気を失ってしまった。
「はっ...シ、シトさん?!あわわわ!!」
「う、うるさい.....黙れ...あ、頭が痛くなってきた...」
「だ、大丈夫ですか?!ちょっと頭測りますね?!」
シトの頭に手を置くと、シトは何だか表情が今さっきよりも柔らかくなったような.....。
「さ、触るな!!....お前....恥じらいを知らないのか...?」
「え....?シトさん、恥ずかしいんですか?」
「――っ.....?!」
何だか今さっきよりも顔が、赤い....?
「いいっ!...お前はリビングにでも行ってろっ!!」
「??....はい.....?」
?どうしたんだろ...。案外シトさんって、恥ずかしがりやなのかなあ....?
....う~ん....なんかお腹すいたなあ...あるもので作ってもいい、のかなあ?
いいや、作っちゃえ!!
私は台所でご飯を作りに取り組む。
「.....今度は何してるんだ」
「あ、シトさん!すみません、なんかお腹減っちゃって...あるもので作って食べようかなって思って。シトさんも食べますか?」
あれ...ぬいぐるみから人間に戻ったんだ....折角可愛いかったんだけど、残念...。
「..........いらない」
「そうですか....じゃあ、私勝手に食べてもいいですか?」
「しるか」
あれ....案外素っ気ないとこもあるんだ......。
....なんか、今の言葉、紫縞君と似てた......。
.............ま、いっか!
自分で作ったって言っても、ちょっと作りすぎちゃったかなあ....?
ぱくっ―.....。
「ん~!!」
おいし~~!!
「..........」
ぱくっ――....。
「ん~!これもおいし~~!」
?あれ....シトさん...なんかこっち見てる?
「シトさんも食べますか?これ、私一人じゃ食べ切れなくて....」
「........いらない」
なんか、だんだん分かってきたかもしれない.....。
シトさんは、素直じゃないんだ!!
......昨日さらわれてここに着たばっかりなのに、私ってある意味.......?
なんかそう思ったら、むかついてきたかも.....。
シトがなかなか素直に言わないので私からそっちに行って、シトさんに食べさした。
「―――むぐっっ?!」
「無視する人は嫌いです、食べてください。.....どう、ですか?」
「..........うまい、じゃないと思う」
「なっ!それどーゆー意味ですかっ!!」
「.....うまく、はない、わけじゃないでもないかもしれない」
「???ほめてるんですか??」
「褒めてない」
「なっ、きっぱり言わないで!!」
なんだかんだ言って、結構楽しくないわけではない。
逆に私はシトさんとの生活を楽しんでいる?ような気がする。
手を止めて食事を眺める。
「お前、俺から逃げようとするなよ。逃げれば俺の餌食になるぞ」
座っていたシトは私に近づいて頬を触る。
..........。
無言で食事を眺めている私をどう思ったかは分からないけど、シトは不意に黙った。
「なんで何も言ってくれないの―....」
ボソッと言った私を見つめるシトは体を離した。