情なんて、ただの飾りだ・・・・・
そんな過去があるとは知らなかった。
シグナの言葉が、すべて正しいってわけじゃない。けれど、信じてあげたいって思う俺は本当に馬鹿だよなあ。
それで、すべてを許したわけじゃない。
単に情が移っただけだ。
「.....」
それとこれとは話が違う。
コイツは俺のすべてを奪ったんだ。
「紫縞君?」
池松の言葉で、自分を取り戻した。
「....なんだ」
「もう、みんな行っちゃうよ?」
え?....何処に.....。
気付くとシグナもすでにいなかった。
けど、それで丁度よかったのかもしれない。
「今日は外で晩御飯だー、って....。もしかして、聞いてなかった?」
「.........俺はパスするかな....」
「え?どうして?」
「今日は.....気分が悪い」
「え?!どこか具合が悪いの?!大丈夫?」
心配そうに池松が俺の頭に手を当ててきた。
「~っ.....俺は一人で考え「どうして?」
あ...?
「一人で考え込まないで、ってこの前言ったのにまだ頼ってもらえないの...?」
しょんぼりした犬のような顔で俺にねだってくる。
うぐっ.......。
そんな顔で見るな....。
「.....わかったわかった、降参降参」
池松の顔がぱああっと明るくなり今までにない笑顔を俺に見せた。
話す場所を移動してソファへと座る。
「で?何から話してほしいわけ?」
「全部!」
....あっそ。
俺は言われたと通り自分の過去の出来事や、真衣達に出会ったことを話す。
地面を見つめてしゃべる俺の隣で池松は泣いていた。
「ちょ、おまっ...泣くなよ!俺が泣かせてるみたいじゃねーか!!」
「う、うう....ごめっ―....」
どうにかして池松の涙を止めようと深いため息をついた。
「――っ.....?!」
照れている顔を見られたくなくて反対側を向きながら池松の頭を撫でる。
こんなことぐれーで泣くなよ.....はあ....。
「彼女って、何をすればいいの?こんな時、どうしたらいいかわからないよ...」
「.....さーな...俺もそんなの経験ねーから知んねー」
「....紫縞君って...今まで彼女、いなかったの...?」
「~~っわりいかよ!」
っち、なんで俺がこんなことに....。
チラッと池松に目をやる。
驚いた。
すごく、恥ずかしそうに笑って微笑む顔がとても可愛いと初めて思った衝動だった。
な、なんだよその顔.....ずりい....。
「~.....なんで笑ってんだよ」
「え?...だって、紫縞君、彼女の一人か二人はいそうだったから...うれしくて...」
......っ?!
そ、そんな可愛いこといってんじゃねーよ!!
あ~もう!!
なんだよこれ...。
俺の方がコイツにはまっちゃってんのか?!
嘘だろ....。
もしかして俺は――....。
「紫縞君?」
ドキィッ――...。
ん?池松は隣にいるんじゃ....。
今名前を呼んだのは、目の前にいる真衣だった。
いや、声まねしただろ、今!!
「なかなかこないから心配になってきたんだけど~....来る必要もなったみたいね~」
「....真衣....」
「いや....別に....どうとでも―....っ?!」
辺りを見回しても誰の気配もいしなかった。
気のせいか....?
そんなことおかまいなしにぐいっと真衣が俺の腕を引っ張る。
「気付いた?今さっきから何かいるのよここ」
「....ああ...とりあえずみんな集合した方がよさそうだ」
「え....?紫縞君?!」
一人置いてけぼりになりそうだった池松を引っ張り、俺達は人の多い街中へと走る。
ピピピ.....。
ん?携帯か....。
「なんだ?どうした明良」
「いや....っ....こっちちょっとヤバイから、後で行く!」
「わかった」
いつの間にか明良たちとはぐれて俺と真衣と池松だけが集合場所に残った。
街中となれば、大抵のものは襲ってこない。ほとんど闇の習性があるからな。
っとなればあとは.....。
何処からかバンッ、と破裂音を合図に一気に空が黒くなる。
っち....これじゃあ意味ねーじゃねーか!!
いったい、何が裏で動いているんだ.....?
「あ~ちゃん!尋ちゃん!ここはいったん引くわよ!!」
「はいはいっ!!」
池松が相変わらずトロイ走りなのでまたお姫様抱っこする羽目になってしまう。
「わ、わわわ!!」
「うるせえ、黙っとけ!」
「こっち!!」
何かが追いかけてくるものの、それは突然と止み、空はまた元の色に戻る。
....?なんだったんだ?いったい....。
「あ、の....降ろして....」
「ん?あ、ああ悪い」
言われたまま降ろして空を見つめる。
なにが、起きてるんだ.....?
疑問ばかりが浮かんだ。




