プロローグ

鼻に入ってくる草の匂い。オレにとっては新鮮なものだった。

昨日、ここ、父さんのふるさとに帰ってきた。オレが生まれてから一度も踏み込んだことのなかった土地……ここがそうなのか…。

家やビル、マンションがぐちゃぐちゃにつめこまれた都会と違って、ここは田んぼとかしか見えない。家なんか、点々として立っているぐらいだ。ここの人たちにとっては、これが普通なんだろうな。

オレは、ずうっと青い空を見て、草の匂いをかいでいたかった。いろんなことを忘れて、ずうっと………

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