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20話 奇襲

結局、俺は再び外に出て別のコンビニへ向かった。

違うコンビニにしたのは逃げるように帰ってしまった手前、同じコンビニに行くのは気が引けたからだ。


帰宅すると、すぐに買ってきたコンビニ弁当を食べ、スマホを手に取る。


「このままだと迷惑がかかるからな……」


俺はある程度の予備知識を得るため、ヴァルセリア・オンラインの攻略サイトを見ていた。

最近はAIを使って調べるのが当たり前らしいが、昔ながらの攻略サイトの方が俺の性に合っている。


テイムの条件、スキル取得方法、調べたいことはたくさんあるが、過度なネタバレを防ぐため最低限の調べ物だけすることにした。


「よし、こんなもんか」


一通り調べ物が終わると、スマホをテーブルに置きゲームの電源ボタンを入れる。


「まだ集合時間までだいぶあるけど……試したいこともあるし先に遊んでおくか」


ゲームにログインすると、すぐに村の中にある道具屋へ向かった。

店に到着すると、俺はストレージにあるモンスター素材を取り出した。ショートソードと銅の盾も含め、すべて売却する。


「はいよ、銀貨3枚に銅貨5枚、しめて350Gだ」


金を受け取ると、俺は店内のアイテムを一つ手に取り、個数を選択する。

そして銀貨3枚を道具屋の主人に渡し残りをストレージに入れる。


用事を済ませるとすぐに村を出て、モンスターを探しに駆け出した。


モンスターは村から数十メートルの場所にいたが、それを無視し、そこから数百メートル離れた場所にいるモンスターを見つけ、大木の裏に身を隠す。


スキル【生態把握】が発動するギリギリの距離まで近づき、モンスターを視界に収める。


(ルナールフ……か、狼みたいな見た目に特性は夜間での能力向上か)


夜に出会っていたら危険な相手だったかもしれないが、今は昼で周りに他のモンスターもいない。

クリスさんからなるべくピコの存在は隠したほうがいいって言われたけど、これくらい離れていれば大丈夫だろう。


俺は装備画面を操作しモンスターテイマー専用の装備欄をタップしてピコを装備する。

すると何もない空間が突然歪み、黒い穴が出現しピコが現れる。


ピコは突然呼ばれたことに怒ったのか、後ろ足で地面を踏み鳴らしている。

俺は先程道具屋で買った、一つ50Gの『モンスターの餌』を手に取り、ピコの前に差し出す。


モンスターの餌は逃走用にいて注意を逸らす消費アイテムだ。

しかし、モンスターテイマーだけは違う用途でも使用することができる。


ピコはゆっくり匂いをかぎ、恐る恐る餌を口にする。

一口食べるとよほど気に入ったのか、すごい勢いで餌を平らげ俺に擦り寄ってくる。


(こ、こいつぅ……まじで現金なやつだな)


テイムしたモンスターは種類にもよるが、このモンスターの餌を好んで食べる。

銀貨三枚の出費は痛かったが、モンスターの餌は大いに役立ってくれた。


(それにしても、まさか好感度なんてものがあるとはなぁ……)


ピコは餌を食べてご機嫌になり、テイムした時と比べ態度が軟化しているのがわかる。


(攻略サイトに書いてあった通りだな。これなら――)


俺はピコの頭を優しく撫で、小声で指示を出す。


「ピコ、あの狼みたいなの分かるか?あいつと遊んでこい」


ピコは何の疑いも持たず、ルナールフの元へ向かう。


(俺の予想通りならピコは決して役立たずなんかじゃない)


ピコのスキル【危機管理】。自分に敵意が向けられた瞬間、それを察知する能力だ。

大前提としてピコに対して敵意を持たないものには発動しない。


ピコは常に弱者として狙われている。

自分から誰かに近づくことはほぼなかったはずだ。

しかしそんなピコは今、自分からルナールフに向かっている。


ピコの素早さもあって、突然目の前に現れたピコにルナールフは一瞬動きが止まる。

そしてすぐに獲物と認識してうめき声をあげ始めた。


ピコは物凄い速さでこちらに引き返してくる。

俺は銅の剣を両手で握りしめ、ゆっくりとした動きで剣を上段に構える。


「キュッキュ~」


ピコが俺の前を通り過ぎる。

そしてその後を追ってくるルナールフの足音がどんどんと近づいてくる。


(まだだ、まだ……もう少し、、、ここだ!)


俺は上段に構えた剣を勢いよく振り下ろす。

振り下ろされた剣はルナールフの体を真っ二つに――することなく、尻尾だけが切り離された。


「しまっ――」


奇襲は失敗に終わった。反撃を警戒したが尻尾を切られたルナールフはバランスを崩し転倒していた。

俺は急いでルナールフの元へ駆け寄り、その体を剣で貫いた。


「な、なんとか倒せたな」


自分と敵意のある相手の間に、囮となる第三者を挟むようにして逃げるピコの特性を活かした奇襲。

慣れれば高確率で成功するこの作戦はかなり有用だ。


しばらくするとピコが俺の元に戻ってくる。


「ピコ~、お前やればできるじゃ――」


あ、この作戦はもうダメだ。

ピコがすごい形相で威嚇してる……


普段の可愛らしい鳴き声と違って今は「シューシュー」って変な声出してる。

囮に使ったのはやっぱりまずかったか……でもあんな美味しい作戦一度きりというのも――


俺は今にも襲いかかってきそうなピコの態度を見て、よほどのことがない限り辞めようと心に誓った。

18話クロウの台詞を一部修正しました。

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