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異世界からやってきた褐色銀髪美少女のお世話をすることになったけど、よく見たらちんちんがついているんだが返品不可とのことで後悔してももう遅い  作者: なすび
2本目っ!

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エピローグ 幼少期の終わり

 ――半年後。



 春の穏やかな気候も過ぎ去り、夏の足音が聞こえてきた5月。

 ぼくがたいようの所にお世話になりはじめてから、もうすぐ1年になろうとしていた。


「お、1センチ伸びてるな」


「ん。このペースなら、たいようの背を追い越すのも、夢じゃない」


「ルカが俺よりデカくなるのか……想像しにくいな……」


「ん。そしたら今度はたいようを膝の上に乗せてあげる」


「はは。なら楽しみにしてるわ」


 ぼくはたいようのアパートの居間、その壁際に立ち、たいようは壁に埋め込まれている柱に、ぼくの身長を記録していた。

 振り返れば、肉体の固定化を解除してから1センチ程背が高くなっていた。


 勿論賃貸物件なので、消しゴムで消せる鉛筆でつけた印だ。

 大家さんに怒られちゃうからね。


「(あれから色々あったなあ)」


 ぼくは半年前のことを思い出す。

 交血の義(巫女の結婚式のようなもの)に、たいようとお母さんが乱入してきた時はビックリしたけど、ぼくは心のどこかで、たいようが来てくれたことに歓喜していた。


 あの後、交血の義は延期の運びとなり、また同時に、異世界への転移ゲートの封鎖も延期となった。

 関係各所への説得――主にお母さんとマルガレーテの尽力のおかげだ。


 異世界と繋がる門を繋ぎ続けることは、あらぬ災厄を招く要因となりえるが、未だ人類は魔王軍との戦争の傷跡から立ち直れていない。


 ぼくは効率よく魔力を溜めるため、引き続きたいようの元で生活することになった。

 今のぼくは、まだ子孫を残せるほど生殖器官が発達していないからね。

 今無理に結婚する必要はない――そうやって神官団や諸侯の人達を説得(もとい丸め込んだ)訳。


 特に「政治的理由や、くだらない因習で、貴重な異世界へのゲートを封鎖するんだとしたら、わたし、ルカちゃんが交血の義をするたびに、また乱入しちゃうかも?」というお母さんの言葉が決定打となり、説得(脅迫?)は功を奏した。

 それから神官長であるマルガレーテも、神官側でありながら、ぼく個人(・・)の味方をしてくれたのも大きい。


 お母さんは先代巫女とはいえ、巫女の血族という点で今もなお莫大な権力を保持しているし、現役時代から御転婆姫と厄介がられてきたので、お母さんが本気で暴れると言ったら、それが脅しなどではなく、有言実行されてしまうことを知っている。

 誰も本気を出したお母さんを止めることはできない。


 なによりゲートを繋いだのもお母さんだ。

 お母さんが納得するまで、ゲートを閉じることは出来ないのだ。

 ぼくはお母さんの子として産まれてよかったと、生まれて初めて実感した。


 そんなお母さんにも、たいように告げた本心を告白した。


『たいようが見守っててくれるから、もう、大人になるのは、怖くない』


 ――と。


 するとお母さんは、急に大人びた顔をしながら「そう。偉いわよ。わたしは……その選択が選べなかったから、未だに子供の姿にしがみついたままだから」と呟いた。

 でもぼくは、お母さんが悩みに悩み抜いた上に、未だに肉体の成長を止めていることを知っているので、ぼくとは違う道を歩んでいる母親を軽蔑などはしなかった。


 それもまた、選択肢の1つで、そこにきっと正解や不正解はないのだから。


 そんなことを思い返しながら、くちゅくちゅぺっ――と、口内の歯磨き粉をすすいで口を拭う。


「ん。たいよう、おヒゲチェック、する」


「おう、頼んだ」


 たいようが電動シェーバーの電源をオフにしたタイミングを見計らない、ぼくは両手を広げた。

 たいようが身を屈めてくれるので、ぼくはたいようの首に腕を絡め、たいようの顔に頬ずりをした。


「ん。及第点」


「そりゃよかったぜ」


 ぼくは子供で、男で、別の世界からきた人間だ。

 だからぼくが本当に望む(・・・・・)ような関係に、たいようとなることはできない。

 こうやってたいようと肌を重ねるのも、親と子、兄と弟の関係の延長みたいなものでしかない。


 でも、ぼくが子供で、男で、別の世界からきた人間だからこそ、この関係が構築されたのも確かであり、ぼくは今のこの関係がとても大好きだった。


「(たいようが僕に優しくしてくれる理由の一端は、僕が“可愛い”からだと思っていた)」


 ぼくはたいようともっと特別(・・)な関係になりたかった。

 でもそれ以上に、たいようがそれを受け入れてくれるのか?

 年々可愛さを喪失していくぼくを、それでもたいようは変わらず愛してくれるのか?


 それが怖くて、ぼくはたいようの元を1度離れた。

 美しい思い出として、たいようの中に残り続けたかったから。


 かつては、成長しない肉体が嫌だった。

 魔王を封印する責任によって押し潰されそうな呪いだったから。


 小さな体躯は動かしにくくて、同年代の子がすくすく育つ中、いつまでも子供のままの肉体が嫌だった。

 でもたいようと出会ってからは、1日ごとに成長していく健全な肉体になるのが怖くてたまらなかった。


 背が伸びるのが怖い。

 声が変わるのが怖い。

 手足が太くなるのが怖い。

 ヒゲが伸びるのが怖い。

 性欲に目覚めるのが怖い。


 ――たいようとの関係が壊れるのが、怖い。


 たいようはそんな僕の背中を押してくれた。

 そして「どんな姿になっても、ルカは俺にとって大切な家族だよ」と言ってくれた。


 だから僕は前を向き、歩くことを選んだ。


 10歳で止まっていたぼくの時間は動き始め、11歳になった。

 その次は12歳になる。


 そしていつか結婚して、子供を作る。

 赤ん坊だった子供もいずれ成長して、喋れるようになるだろう。


 そしたらたいように紹介するんだ。

 この人はぼくの父親みたいな人であり、お兄ちゃんみたいな人でもあり、大切な友達で、そして――初恋の人だと。


 でも――それはまだ先の話。


 今の僕はそんな未来のことについて長々と思いを馳せるほど暇ではない。

 2度同じ日が来ることのない、退屈しないたいようとの変化し続ける日々を満喫するので、忙しいのだから。


「よーし、準備も出来たし、仕事いくぞ~!」


「ん!」


 玄関でサンダルを履き、木造アパートを出る。

 爽やかな風が、木の香りを鼻孔に運びながら、銀色の髪が揺れる。


 空を見上げる。

 眩しく輝く太陽が、「今日もお仕事頑張って」と応援してくれているような気がした。


 横を見る。

 玄関の戸締りを済ませたたいようが、「俺の顔になにかついてるか?」と不思議そうに顔をしかめる。


「んーん。なんでもない」


 いつか僕の背は伸びて、声も低くなり、ヒゲも生える。

 毎朝のおヒゲチェックもできなくなるし、同じ布団でたいようの上に覆いかぶさりながら寝ることは出来なくなるし、膝の上に乗って一緒にYouTubeを見ることもできなくなる。


 きっと、今みたいなワガママだって許されなくなる。

 いい年して可愛い子ぶってんじゃないよ、と呆れられるだろう。


 それでもたいようは、そんなぼくの成長を喜んで肯定してくれる。


 だから不安はない。

 二度と同じ日が来ない日々を噛み締めると同時に、早く大人になりたいという高揚感もある。


 どんな姿になっても、たいようはぼくを肯定してくれるから。

 変わらないものと変わるもの。

 その両方を等しく尊みながら、ぼくは今日も歩き続ける。


 いつも通りだけど、かけがえのない1日を踏み出した。


これにて完結です。

最後まで読んでくれた読者の方には、別格の感謝を申し上げます。

本当にありがとうございました<(_ _)>


もしよろしければ、ブックマーク、評価、感想など頂けますと嬉しいです(←承認欲求に生きる悲しきモンスター)


既にブックマーク、評価を入れて下さっている優しい読者の方には改めてお礼申し上げます。

ありがとうございました!

あなた方のお陰で、無事最後まで書き切れたと言っても過言ではございませんので……(涙



そして、こちらが最後のAIイラストです。



『これからもずっと一緒だよ』

挿絵(By みてみん)




それから、本作を書き終えたあとがきや、ちょっとした裏話的な記事を下記のURLにて、活動報告に載せましたので、よろしければそちらも合わせてお読みいただけると幸いです(チラシの裏みたいな話をダラダラ語るだけですが)


https://mypage.syosetu.com/mypageblog/view/userid/1658601/blogkey/3581308/

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