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異世界からやってきた褐色銀髪美少女のお世話をすることになったけど、よく見たらちんちんがついているんだが返品不可とのことで後悔してももう遅い  作者: なすび
2本目っ!

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56 清の6時間

【前回のあらすじ】

夕陽の作ったクリスマス料理に舌鼓を打つ日比野ファミリーは、穏やかなクリスマスを送るのであった。

 チキンとケーキを食べ終え、小休止を挟んだ現在――午後3時。


 さてここで問題です。

 一家団欒でクリスマスの食事を終えた後にやることはなんでしょうか?


「お兄ちゃ~ん、コタツ布団、コインランドリーで洗ってきたよ」


「ん。たいよう、歯ブラシ、真っ黒になった」


 そうだね。

 大掃除だね。


 普段から清掃業に従事しているので、日頃から部屋の掃除はしているが――それでも掃除の手が届いてない場所はある訳で……。

 夕陽の提案で、大掃除をしようという運びになったのである。


「うへー。部屋の中も寒いよ~。ほら、手がキンキン」


 ――ピト。


「おいバカやめろっ!」


 さっきまでコタツ布団を洗濯するために、コインランドリーに行っていた夕陽。

 彼女はかじかんだ手を「えいっ!」と俺の首筋に当ててくる。


 仕返ししようにも、現在俺の指先は網戸の掃除で真っ黒になっているので、手を出せない。

 この状態で反撃するのは、流石にライン超えてるからな……。


「おー。温かい」


「ん。ぼくも」


「お前ら……俺が反撃できないばかりに好き放題しやがって……!」


 俺の足元で、使い古した歯ブラシで窓の溝を磨いていたルカも、夕陽に倣って俺の腹筋に両手を突っ込んでくる。

 貴重な体温がみるみる失われていくのを実感する。


 もう気分はイヌイット族に狩られたアザラシである(殺したての動物の体内で暖を取るアレね)。


「ふー、温まった~」


「ん。ほかほか」


「こっちはキンキンだけどな!?」


 下がった体温をコタツで取り戻したい所だが、残念ながらコタツ布団は近所のコインランドリーで洗濯されている最中であり、コタツテーブルは腹を横にして壁に立てかけられている。


 窓枠の掃除をしているので、通気性も抜群であり、室内でもダウンジャケットが必須の状態だった。

 ルカもマフラーを巻いたままだし、夕陽もダッフルコートを脱ごうとしない。


「手も温まったことだし、私キッチンの掃除するね」


「ん。たいよう、ぼくの使ってる歯ブラシも、使っていい?」


 夕陽もまた大掃除に加わり、ルカは使っている歯ブラシが真っ黒になったので、自身が普段使っている歯ブラシを持ってきた。

 まだ毛先はくたびれてないので、これを掃除用に使うのはもったいないが……まぁいいか。

 3本200円の安物だし。


「(ルカの使った歯ブラシか……番台ギャルに売り飛ばせば、銭湯の入浴券を10枚くらい貰えそうだな)」


 ――などと。

 一瞬よくないビジネスを閃いてしまったが、ルカの人権を考慮して即座に却下する。

 日比野家では異世界人の人権も尊重するグローバルスタンスなのだ。


「んじゃ、ルカは引き続き、窓の溝の掃除を頼む。俺は高い場所を掃除するから」


「ん」


 外した網戸を戻し、汚れた指先を雑巾で拭った後、俺は埃の溜まっているであろうカーテンレールの上を掃除するのであった。



***



 ――数十分後。


「ただいま~。コタツの乾燥終わってたよ~」


「ん。まだほんのり、温かい」


 概ね大掃除も完了し、憂いなく新年を迎えられそうな我が家に、コタツ布団が帰ってくる。

 夕陽が持ち帰ってきた、コインランドリーの乾燥機でほかほかになっているコタツ布団で、ルカの体を包み込んであげている。


「よし、コタツも復活したことだし、ここらで終わりにするか」


「ん~。まだ押入れの中掃除してないよね?」


「押入れはいいだろ。汚れてないし」


「でも折角なら整理しようよ。いらないものとか断捨離した方がよくない?」


「あー、まあ、確かにな」


 コタツで温まるのはお預けを喰らい、俺達は押入れの整理に取り掛かるのであった。


「ん。これは?」


「こりゃ使わなくなった腕時計だな。でもとっとこう。高校進学祝いに叔父さんが買ってくれたんだ」


「ん。こっちは?」


「おお。懐かしい。3DSのウルトラムーンじゃん。中学の時やり込んだなぁ」


「ん! ゲーム! やりたい!」


「残念ながら本体がないから無理だ。金なさ過ぎて売っちゃったんだよなぁ」


 押入れの中をひっくり返し、必要なもの、不要なもの、不要だけど売れば小銭になりそうなものに分けていく。

 気分はちょっとした宝探しであり、ルカは楽しそうに押入れから1つずつ物品を取り出していく。


「ん。見たことない、服」


 次にルカが押入れの奥から引っ張り出してきたのは、白いワイシャツ。

 殆ど使用感がなく、まだパリっとした質感だった。


 ラフな綿素材の襟シャツはよく着るが、これはビジネスタイプのフォーマルなワイシャツだ。


「へ~。お兄ちゃんこんなの持ってたんだ」


「真面目に就職活動しようとしてた時期があってな……」


 まあ案の定、高卒がネクタイを締めながらホワイトカラーに就けるはずもなく、文字通りお蔵入りしたしていたのを思い出した。


「わ~、やっぱサイズ大きいね。そうだ! ルカちゃん着てみてよ! 彼シャツってやつじゃんね」


「ん。着る」


「なんでだよ……」


 とはいえ、掃除の最中に発掘されたブツによって、掃除が脱線してしまうのはよくあることであり、ルカは喜々としてワイシャツを羽織ったのであった。


挿絵(By みてみん)


「ん」


「ブカブカなシャツと華奢な手足のサイズ感が最高! 骨格優勝過ぎる……! それに萌え袖!」


 夕陽はルカの彼シャツ(?)姿に、夕陽は黄色い歓声を上げていた。


「(いいよな、可愛い奴は。萌え袖しただけでキャーキャー言われて)」


「ん。たいようも、ちんちんは萌え袖だから、仲間」


「やかましいわ! だったら見せてやろうか!? 俺の本気勃起をよ!」


「え/// ま、まぁ/// 見せてくれるなら……/// み、見たい……けど///」


「夕陽には絶対見せないからな!?!?」


 やめてくれ妹。

 冗談で言ったのにガチっぽい反応をしないでくれ。

 どこの世界に妹に勃起したブツを見せる兄がいるんだよ。


 すぐ下ネタにシフトしようとしてくるガキと思春期にツッコミを入れながら、俺達は再び掃除を再開するのであった。


***



「おに~ちゃ~ん。この段ボール何入ってるの? 結構重いんだけど?」


 押入れの整理を再開して数分後。

 頭上から夕陽の呼ぶ声がする。

 夕陽は愛車の後部座席に積んでいる脚立をを使って、押入れの天袋(天井付近の収納スペース)の整理をしてくれている。


「あっ!? やばっ!?」


「っ!?」


 思ったより重かったのだろう。

 薄いけど底の広い段ボールが、夕陽の手かが滑り落ちる。

 天井付近の位置エネルギーを運動エネルギーに変換したソレの落下先は――ルカの顔面。


「危ないっ――ぐえっ!?」


「だいよう……!? 大丈夫……!?」


 俺は咄嗟にルカを押し倒す。

 同時に背中に衝撃。


 痛いってことは……つまりルカに当たるはずだった段ボールを、俺が肩代わりできた証拠なので、ほっと胸を撫で下ろす――直後。


「あ、ああ、大丈――」


「きゃっ!?」


「――ぐおおおおっ!?!?」


 再び衝撃。

 どうやら、落とした段ボールを空中でキャッチしようと、脚立から身を乗り出した夕陽が落下してきたらしい。


 俺は咄嗟に畳に肘と拳をつけ、ルカを潰さないように持ちこたえる。

 ゆっくりと目を開ければ――そこにはルカの綺麗な顔が目の前にあった。


「だ、大丈夫か……ルカ……?」


「ん。たいようが、守ってくれたから、平気」


「ごめんお兄ちゃん。でも、お兄ちゃんのお陰で助かったよ」


 一方背中には、夕陽がのしかかっている。

 声から察するに、俺がクッションになったお陰で、夕陽にも怪我はないらしい。


 しかし――もう俺の腕が限界だ……!

 美少女と美少年にサンドイッチされた構図で、前後から良い匂いが漂ってくるものの、歯を食いしばっていて堪能している余裕はない。

 50キロ前後の重りを乗せながらプランクをしているようなものなのだから。


「夕陽……大丈夫なら、どいてくれ……」


「お兄ちゃんの背中……大きい///」


「あっ! おいっ! 背中に乗ったまま頬ずりするな! 俺の背中を堪能するな! このままだとルカが潰れる……!」


 危機的状況からの救済で、変なスイッチが入ってしまったのか……?

 夕陽はうっとりしとした声を出しながら、俺の背中の上に体重を預けてくる。


「ぐっ! ル、ルカ……悪いが這い出てくれ……」


「ん。たいようになら、潰されても、いいよ?」


「よくねぇよ! 多分あばら折れるぞ!? 俺と夕陽で総重量120キロはあるぞ!?」


 お前を守るために踏ん張ってるんだぞこっちは!?

 親の心子知らずとはこのことか。


 ルカもルカで、危ない所を助けられたことで、変なスイッチが入ってしまったのだろう。

 顔を蕩けさせながら、目の前にある俺の胸板に頬を擦りつけてくる。


 変なスイッチ入り過ぎだろ。

 スイッチ2かよ。


 ダメだ……腕が限界で俺も変なスイッチ入ってるのかもしれない。クソつまらんこと言ってしまった。

 え? 普段からつまらないって? やかましいわ。


「ふんっ!」


「あたっ!?」


 その後俺は、上体を揺すって背中に貼りついた夕陽を振り落とし、ライトノベルのご褒美シーンみたいな構図から脱出したのだった。


「(腕も背中も痛くて全然ご褒美じゃなかったけどな……)」


 段ボールと夕陽を受け止めた時に背中を負傷し、夕陽を支え続けるのに腕に負荷がかかってしまったが、夕陽とルカに「痛いの痛いの飛んでけ~」とさすって貰ったので、ある程度回復したのであった。

 我ながらチョロい男である。


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