54 流石に今回ばかりは俺が被害者だろ!?
【前回のあらすじ】
朝起きたら布団の中に妹が潜り込んでいた。
クリスマス当日。
昨晩のサンタクロース異世界編で寝不足だった俺とルカは、お互いのクリスマスプレゼントを確認しあった後、再び温もりを求めるように布団に潜り込んで2度寝した。
そして再び目を覚ますと――既に時刻は12時になっていたのであった。
休日だろうと朝7時には起きるようにしている俺からすれば、こんな時間に起きたのは数年振りだった。
おかげで体がすこぶる軽い。
こんなに体調がいいのはマジで10代の時以来かもしれない。
「で?」
――で。
そんな元気はつらつな状態で何をしているかと言いますと――
「何か弁明はあるの? JKの柔肌を撫でまわした変態お兄ちゃん?」
「いや流石に今回俺は悪くないだろ!?!?」
「むー。でもお兄ちゃんに、凄い強い力で抱きしめられて、逃げられなくて……ビックリしたんだもん! ちょっとだけ怖かったんだもん! 謝って!」
――冷たい畳の上で正座していた。
いつも夕陽が来ると、ルカとのあらぬ誤解を抱かせてしまい、誤解を解くことから始まるのだが……。
今回ばかしは、俺は完全に冤罪だった!!
にも関わらず、俺は今回も畳の上で正座し、部屋の中央で腕を組みながらぷりぷりしながら俺を糾弾する夕陽という、いつもの構図が出来上がっていた。
こんなん痴漢冤罪みたいなもんだろ……。
布団に入ってきたのは夕陽の意思なんだし。
しかし残念なことに――現実の痴漢冤罪においても、男性側が己の無実を証明するのが難しいように、家庭内裁判もまた、兄の人権というのは妹よりはるか下に置かれてしまうのが常なのであった。
全国の妹や姉を持つ男子諸君なら分かってくれると思う。
家の中における妹や姉の暴虐さを……。
「ん。たいようにも、責任がある」
「そうだよ。お兄ちゃんが、急に私を抱きしめてきて……」
「そ、それはだな……ルカと勘違いして……」
「ん。無意識にメスの匂いを嗅ぎつけて、本能で手を出す、欲求不満の野獣」
「流石に言い過ぎだろ!?」
ルカは俺が夕陽と布団の中でくっついていたことに嫉妬しているのか……。
もしくは、俺が寝返りを打って布団を独占してしまい、寒さで目を覚ましたことで機嫌が悪いのか、夕陽と一緒に俺を批難している。
俺が欲求不満なのは、お前にも責任の一端があるからな……?
お前が四六時中隣にいるから、イロイロと処理できないからであって……。
まぁ……具体的に何がとは言わないが。
「欲求不満だとしても、妹に手を出すことはねぇから!」
「そ、それはそれで嫌なんだけど……!!」
「なんでだよ」
お前も欲求不満なのかよ。
普通嫌だろ?
家族から性的な目で見られたらよ……。
「だから安心しろ! 俺は決して、卑しい思いは一切ない! 冬の寒さで冷えた妹の体を温めるのは兄の義務! そもそも前提として、妹と同じ布団で寝ることに関しても、問題はないだろ!」
「ん。問題あるの、では……?」
「いや、家族なんだし別にいいだろ」
「……無自覚シスコン」
「…………そ、そうはっきり言われると……恥ずかしいよ、お兄ちゃん/// もう分かったから/// ビックリしただけで、怒ってないから/// それに、久しぶりにお兄ちゃんと一緒に寝れて……う、嬉しかったし……///」
「ん。こっちはブラコン」
なぜだろうか?
ルカが呆れ返っている。
とはいえ、俺の誠心誠意の叫びが伝わったのだろう。
夕陽は「も、もういいから/// 許したから!」と、赤くなった顔を隠すように、首に巻いた白いマフラーを持ち上げるのであった。
何はともあれ、今回もなんとか無事、夕陽の機嫌を取ることに成功したのであった。
ちゃんちゃん。
……。
…………。
………………。
いや。
でもよぉ。
やっぱ今回俺悪くないよな……?
「ところで話は変わるけどさ、お兄ちゃんとルカちゃんって、なんで同じ布団で寝てるの?」
「ぎくり……」
無事仲直りして一件落着。
今回も無事オチがつきましたさ――ちゃんちゃん。
と……締めに入ろうと思った矢先。
夕陽が思い出したように、そのことを指摘してくる。
黒目がちなつぶらな瞳は、ルカのようなジト目になり、批難の念を帯びていた。
「やっぱそういう関係なの? 太陽×ルカなの……!?」
「違うって! あれはルカが勝手に潜り込んできてだな、いつの間にかこうなっていたというか……」
「ん。たいようと、らぶらぶだから」
「やっぱり!」
「だから違うって!!」
ルカは夕陽に見せつけるように、俺の腕にしがみついてくる。
誤解させるような言動を取るな!
折角丸くまとまりそうだったのに!
「そっか……お兄ちゃんは小さい男の子にしか興味ないから、ピチピチJKに抱き着いても興奮しないってコトなんだ」
再び始まる家庭内裁判。
ああもう! いい加減にしてくれ~~~~~!!!!
夕陽みたいに叫びたい気持ちを抑え込み、俺は再びルカと夕陽の両方を納得させるような弁明をさせられるのであった。
ぜぇぜぇ……疲れた。
せっかくの2度寝で数年ぶりにやってきた絶叫調なコンディションを、気付けば殆ど消費してしまったのであった。
という訳で、今回はここまで。
次回、クリスマス編中編、お楽しみに!!




