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異世界からやってきた褐色銀髪美少女のお世話をすることになったけど、よく見たらちんちんがついているんだが返品不可とのことで後悔してももう遅い  作者: なすび
2本目っ!

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46 女騎士さんのお仕事

「ん。行ってくる。寂しくても、泣いちゃダメ、だよ」


「それはこっちの台詞だ」


 本格的な冬が到来してきた11月頭。

 ボロアパートの隙間風に悩まされる季節がやってきた。


「ん。ぼくも、成長した。たいよう、いなくても、泣かない」


「どうだかな~」


「ん! 本当、だもん!」


 今日はルカが向こうの世界で仕事があるとのことで、まだら色に光り輝く便器から、マルガレーテとルナが、ルカを迎えにやってきていた。

 手狭なトイレの前で、ルカと別れの挨拶をしている最中だった。


 にしても――つい先週に、溜まった魔力で街を復興するために戻ったばかりだと言うのに。

 巫女様も行ったり来たりで忙しそうだ。


 まぁ、魔王も封印されて世界が平和になった後も、巫女という身分故に、イロイロとやることがあるのだろう。


「え~。ルカちゃんは寂しくないんだ~。わたしは寂しいかもっ♪ だからたいよう君とお別れのぎゅ~♪」


「ん。お母さん、たいようから、離れて」


「うふふ~♪ 息子の好きな人を略奪するのはたまらないわね~♪」


「ほんわかした見た目に反して性癖がエグイ!」


 ルカを迎えに来た先代巫女のルナが、俺の腰にしがみついてくる。

 それを引き剥がすルカ。

 なんだかムカデ競争みたいな構図になってんな……。


挿絵(By みてみん)



「(しかし、本当に経産婦に見えないなこの人妻……)」


 ルカと瓜二つだし、精神面含めてどう見てもロリっ子である。

 こうやってワチャワチャしていると、双子の姉妹みたいだ。


「それじゃあたいよう君、ルカちゃんのこと借りるわね~♪ 今日の晩には戻ってこれると思うからね」


「ん。行ってきます」


 そう言うと――褐色親子は、便器のゲートを潜っていくのだった。

 まだら色のゲートが閉じて、再び水の張られた白い陶器が姿を見せた。


 しゃあない。

 今日の晩までにトイレ掃除をしておくか。

 便器はゲートで覆われるので、便器の汚れが服につくことはないだろうが、綺麗な方が生理的に嬉しいだろうからな。


「ってあれ? マルガレーテ、置いてかれてるぞ?」


「問題ない」


「は?」


 ゲートが閉じてしまったが、居間にはまだ、ルカの近衛騎士であるマルガレーテが残っている。

 礼儀正しく背筋を伸ばしながら、畳の上に正座していた。


「本日は巫女様の被災地へ御行幸ごぎょうこうならびに、釣書つりがきを査収する御公務がある。そこでワタシは、これを機に巫女様が太陽殿の元で、どのような生活を送っておられるのか、調査する運びとなったのだ」


「あー、つまり、家庭訪問、みたいなもんか?」


 俺が保護者として相応しいか、巫女様の神官長として抜き打ち検査させてもらう――って事か。

 そういうのはもっと早く言ってくれよ……。


 予め分かってたらもっと部屋の中掃除したのに。

 いや……それじゃあ抜き打ちにならないか。


「ははは……んじゃあ、お手柔らかにお願いしますわ」


「うむ。太陽殿が巫女様をたぶらかしていないか、巫女様が不在の内にしっかりと調査させて貰うぞ!」


「まぁどちらかというと、俺の方がルカに誑かされてるんスけどね……」


 マジで天性の人誑しだからアイツ……。

 元々子供の相手をするのは好きな方だけど、そういうの関係なく、無条件で要求を通らせるカリスマのようなモノを持ってるんだよな……。


 おかげですっかりワガママキッズになってしまった。


「で、ではまず……ハァハァ……巫女様が普段着用されている……ハァハァ……お召し物を見せて貰おうか!」


「いや絶対お前が個人的に匂い嗅ぎたいだけじゃん!!」


 頬を赤らめて涎垂らされながら言われても説得力ないじゃんね。


「(あー、これアレだわ。調査は建前で、ルカが不在の間にルカの残り香を感じて自分の欲求を発散しようとしているだけだわ……)」


「なっ! 莫迦ばかなことを言うな! 尊き御身分であらせられる巫女様に、粗末なお召し物を着せる訳にはいかぬ故、この調査は必要なことでだな……!」


「しゃあねぇな。ほい、これがルカが今朝まで着てたTシャツ」


「んほおおおおおお!! クンカクンカ……! すんすんすんすん! んほおおおお!! これが巫女しゃまの寝衣しんいか! おお、なんとかぐわしきかおり……!」


 洗濯カゴに入れてあるLサイズのメンズシャツを放り投げる。

 フリスビーを空中でキャッチする犬みたいに、シャツを手繰り寄せたマルガレーテは、ハリウッド女優顔負けの高い鼻にシャツを押し付けた。


 やっぱ自分の欲望を満たすためじゃねぇか!


「あ、間違えたわ。これが俺が着てたシャツだわ」


「殺すぞ貴様!!!!」


挿絵(By みてみん)



「ぐええぇぇ…………っっ!?!?」


「よくも汚物をワタシの顔に押し付けてくれたな!!」


「(テメェが自分で押し付けたんだろうが……!!)」


 あと汚物は言い過ぎだろ!

 と――ツッコミを入れたいの所だが……。


「(い、息ができねぇ……!?)」


 蕩けた顔から一変、般若の形相になった女騎士が、俺の首を掴んで持ち上げてきやがった。

 プランプランと、体重70キロの俺の足が畳から離れる。


 なんという怪力……!

 マルガレーテの魂胆は分かっていたので、ワザと俺のシャツを渡したのだが、予想以上の激昂っぷりに生命の危機!


「ぐえぇ……! ぜぇぜぇ……マ、マジで死にかけた……」


 三途の川に足首まで浸かった所で、なんとかギリギリの所で解放して貰えたが、あと数秒気道を締められていたら、両親と再会する所だったぜ……。


「(そうだ。コイツはこういう奴だったわ……)」


 ルカに絶対の忠誠を誓っている忠犬だが、その本性は凶暴な狂犬。

 普段は暴走してもルカが仲裁してくれるのだが……。

 今日はそのルカがいないときたものだ。


「(つまりコイツを怒らせたら……俺はマジで死ぬ!)」


 見た目だけなら絶世の美女だが、華麗なる剣捌きで魔王軍と死闘を繰り広げた歴戦の騎士。

 その気になれば、俺なんか一瞬で捻り殺されてしまうだろう。


 しかもその身に宿した(ルカに対する)欲望は、飢えた肉食獣と大差ない。

 ライオンと同じ檻に閉じ込められているようなものじゃないか。


 このアパートを事故物件にしないためにも、今日1日、言動には気を付けなければ……。


「ルカが帰ってきたら、言いつけてやるからな……!」


「なっ!? そ、それだけは勘弁してくれ……!」


 先生に言いつけるガキみたいなダサいやり方は取りたくなかったが、こちらとしても命は惜しい。

 リードのかかっていない狂犬に、せめて首輪だけでもつけようと、ルカの名前を持ち出す。


 これで命まで取られることはないだろう――――多分。


「…………」


 ルカにチクるぞと、脅し文句が利いたのだろう。

 マルガレーテは再び畳の上に綺麗に正座をした。


 しかしその青い双眸そうぼうは、一挙手一投足を見逃すまいと、俺へ向けてかっぴらかれている。


「あ、あの……そんな見られると、気が散るんだけど」


「お構いなく。太陽殿の普段の行動を観察するのも、今回の査問の一環いっかん故に」


「だとしてもだな……」


 とりあえず命の危険は去った。

 しかし、マルガレーテみたいな美人にガン見され続けていると、それだけで気が散って何も手がつかなくなってしまう訳であり……。


 あ、圧が凄い……!


「…………」


「…………」


「あー、コタツ使うか? 寒いだろ?」


「お構いなく」


「…………」


「…………」


「そういえば、今日ルカはなんの用事で向こうの世界に行ったんだっけ? ぎょうこう? とかつりがき? とか言ってたような気がするが?」


「部外者である太陽殿に仔細しさいを話す訳にはいかぬ故、申し上げることははばかられる」


「あ、はい……」


「…………」


「あっ、なんか飲む?」


「お構いなく」


 ……。


 …………。


 ………………沈黙が続く。


「(いや気まずすぎるだろ!!)」


 こんな空気の中で休日を楽しめる程、俺の神経は図太くねぇよ!

 貴重な休日をこんな緊張感で過ごしたくねぇよ!


 友達とグループでいる時はワイワイ雑談できるけど、2人っきりになると会話がなくなり、「あれ? もしかして俺って、コイツとあんまり仲良くない?」と気付いてしまった時の居心地の悪さだ!


「(ルカ~~~~!! 早く帰ってきてくれ~~~~!!)」


 まるでサイヤ人が襲来したときのクリリンのような心境だ。

 アニメ版だとマジでギリギリまで来ないんだよな孫悟空……。


 しかしまだ、ルカが向こうの世界に行ってから十分くらいしか経過していない。

 クソ……なんとかしてこの空気を打開しなくては……。


 マルガレーテも悪い奴じゃないし、義理硬い性格なのは分かってるんだけど、いかんせん、俺がルカに好かれているせいで、妬まれてしまってるんだよな……。

 まあ――彼女はルカが産まれた時からお世話し続けたのに、その最愛の主が、ぽっと出の異世界人に懐かれたら、面白くないのは理解できるけども……。


 実質NTRだからな。

 正確にはBSS(()の方が()()きだったのに)か?


 どちらにせよ、このままでは俺は勿論、彼女も退屈であろう。


「よし、ちょっと外出するか! マルガレーテも来るだろ?」


「し、しかし……ワタシのこの恰好は、この世界では浮くと聞いた。出来れば外出は控えて頂きたい」


 一見、俺の提案の拒否したように見えたが……。

 ほんの僅かに、その白皙はくせきの美貌に好奇心が宿ったのを、俺は見逃さなかった。

 やはり彼女も、この世界の文化に興味があるのだろう。


「服のことなら丁度アテがある。それに、普段ルカが過ごしている世界の景色を見たり、この世界の住民の生活を調べるのも、大切なんじゃねーか?」


「た、確かにそうだな。こっちの世界の風俗を調査するのも、重要なことかもしれない」


「そうと決まれば出発だ! おっと、剣だけは置いてってくれよ。銃刀法違反になるからな」


「わ、分かった」


 マルガレーテを怒らせたらそのまま斬殺されそうで怖い――というのが本音だけど。


「(確かに俺とマルガレーテは、間にルカがいないと共通の話題がなく、気まずい関係だ)」


 でも。

 だったら共通の話題を作ればいいまでの話。


 街に出れば何かしら友好を深められるものも見つかるだろう。

 アイスブレイクというやつだ。


 かくして、堅物女騎士に日本観光を楽しんで貰うために、アパートを後にしたのであった。





 という訳で――女騎士さん編スタート!

 太陽とマルガレーテの2人は、果たしてどんな休日を送るのか!?

 次回へ続く!


実はAIイラストを作る際、ルカとルナには微妙に違う特徴を入れています。

今回は2人が同時に登場するAIイラストがあるので、お気づきになった方も多いかと思います。

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