非常階段の下から
大学の夏休み。夜中2時すぎ。
友達2人と例の山奥の廃ホテルに着いたとき、虫の声も風もほとんどなくて、やけに耳鳴りがしてた。
駐車場に車を止めて、懐中電灯だけ持って中へ。
中はコンクリートの壁がカビ臭く、足元はガラスや瓦礫だらけでギリギリ歩ける感じ。
奥にある非常階段のドアを見つけた瞬間、急に背中がゾワッとして息が詰まった。
扉の前に立つと、鉄のドアがわずかに開いてて、中は真っ暗。
でも友達の一人が「動画撮ろうぜ」って言うから、スマホを構えて撮りながら入った。
非常階段は思った以上に冷たかった。
鉄の階段を一歩踏み出すと、**カン…カン…**と乾いた音がして、足音が響く。
息を呑む音、友達の荒い呼吸もマイクに入ってる。
数段登ったあたりで、下から**カツ…カツ…**と別の足音が聞こえた。
友達じゃない。全員上を向いてるのに、下から誰かが上がってきてる。
「やばくね?」と友達が小声で言う。 心臓がドクンッて鳴って、全身の毛穴が一気に開く感覚がした。
俺は恐る恐るスマホのライトを下に向けた。
階段の下の暗闇の奥に――
白い顔だけが、こっちを見てる。
目が合った瞬間、息が止まった。
友達の肩を掴んで「降りろ!!」と叫んだ。
全力で階段を駆け下りながら、スマホはまだ録画中。
画面がぶれて、「ああああっ!!」という自分たちの叫び声だけが響いてる。
非常階段を出たとき、3人とも膝が笑って立てなくなってた。
車に戻って、息を整えながら動画を確認した。
ぶれた画面の奥に、鉄柵の隙間から、ずっと顔がついてきてる。 それも一瞬じゃない、ずっと。
しかも顔の横には、子供のような手が鉄柵を掴んでる。
そのあとすぐスマホが急に電源落ちて、動画も勝手に消えてた。
それ以来、夜中に階段を降りるとき、背中から「カツ…カツ…」という小さい足音が聞こえる気がする。
振り向いても、誰もいない。
でも一番怖いのは、あの夜の動画の最後の1秒だけ、はっきり聞こえる女の声。
「まだいるよ」
今そこに
どうもこんにちは、こんばんは、おはようございます。
最近は暑いですよね、ワタシはよく怖い話を見たり心霊スポットに行ったりして凍えています。
せっかく心霊スポットに行ったからどうにかこの恐怖や心霊体験を伝えたいと思いこの作品を作りました。
流石に噂程度のことも入ってますが…
まあ話には実際に体験したことも入っていたりするのでどうぞ凍えていって下さい
ちなみに今回の話の場所はっきり書くと――
神奈川県相模原市に実在した「藤野町のホテル活魚」。
いわゆる「藤野町廃ホテル」や「藤野心霊ホテル」って呼ばれてる、有名すぎる心霊スポット。
数年前に取り壊されたけど、廃墟好き・心霊好きの間では今も伝説レベルで語られてる場所です。