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バレンタイン前日と幼馴染

作者: オレレモン

俺にはずっと片想いをしている幼馴染がいる。

幼稚園から遊ぶ仲でその関係は高校に入っても変わらなかった。

そんな彼女は毎年、バレンタインにチョコをくれる。

今年も「あげる」と伝えられている。

でも、なんで前日に?


これは2月13日に起きたチョコっと甘いお話です。

「これって、、」


下校のために下駄箱を開くと一通の手紙が入っているのを見つけた。内容を確認すると『ずっと前から貴方のことが好きです。放課後、体育館裏に来てください。』と書いてあった。


「これが、、かの有名なラブレターってやつか?!」


初めてラブレターを貰ったという状況に歓喜する。


「俺がラブレターを貰う日が来るなんて、、でも誰が書いたんだ?」


差し出し人の名前が書いてなかった。ただ、書いてある字には見覚えしかなかった。もう何年も一緒にいる幼馴染の字だ。


「まさか、あいつが」


意識すると心臓の鼓動が早くなる。


「でも、なんで今日なんだ?」


今日は2月13日。バレンタイン前日だ。


(バレンタインデーを間違えることはないと思うし、どうしてだろう?でも、今日入っていたなら。。)


「体育館裏、、行かないとな」


手紙に書かれた場所に向かうため靴を履き替える。


(ふーっドキドキする。まさか、ずっと片思いしてるあいつからラブレターを貰うとは思ってなかった。) 


目的の場所へ向かう俺の足は意識せずとも早かった。

 

         ◇ ◇ ◇


体育館裏に着くとその人物はもういた。


「来てくれたんだ」


やはり、幼馴染の彼女だった。


「それゃあ、な。『来てください』って書いてあったら来るだろ。待たせちゃったか?」


「ううん、そんなことない」


「そうか」


「うん」


沈黙が流れる。


(き、気まずい。)


手紙の内容をどう切り出したら良いか考えていると彼女から切り出しきた。


「それでね、手紙のことなんだけど」


びくっと体が反応する。鼓動が早くなるのを感じる。


「あっ、ああ。「ずっと前から好きです」ってやつ」


「うん」


「本当なのか?」


「ほんとう、、だよ」


「そうか」


「うん」


そう言うと俯いてしまう。


また沈黙が流れる。


(勇気を出せ、俺!今しかないんだ!言うんだ!)


「俺も好きです」


その一言がどうしても言えない。


俯く彼女を見ると抑えられないのか涙が落ちた。


(あっ、勇気を出して想いを伝えてくれたんだ。)


そう思った瞬間、口に出してた。


「俺も貴女のことがずっと好きです」


(今、、何を言った?!)


自然と発した言葉を意識すると心臓の鼓動がうるさくなる。


俯いていた彼女も顔を上げてこちらを見つめる。


「うそ、、じゃないよね」


今にも涙が溢れそうな顔をしている。


「嘘、じゃない。ずっとずっと好きだった」


「嬉しい、、嬉しい!あっ」


そう言った時には既に大粒の涙が流れていた。


「どっ、どうして、こんなはずじゃ」 


手で涙を拭っているが止まらない。


俺は彼女の顔を自分の胸に押し付けた。そうすると彼女は声を出して泣き始めた。


「ごめん。俺がもっと早く伝えていたらお前を泣かせることもなかった」


腕の中の彼女は腕の中で頭を左右に振る。


違う。


そう伝えているに違いない。


「ありがとう。お前のこういう優しいところが好きだ」


そう言うと頭に手を添える。そして、流れに沿って髪を撫でる。


彼女の身体がびくっとなったのが分かる。


慌てて頭から手を離し「嫌だったか?」と尋ねる。


先ほどよりも大きく頭を振る。


「じゃ、じゃあ続けさせていただき、ます」


再び頭に手を添えると撫で始めた。


         ◇ ◇ ◇


しばらく続けていると落ち着いたのか腕から離れた。


「ありがとう。それとごめんね。君の制服汚しちゃった」


「気にしないでくれ」


「私も君の優しいところ好き。さ、さっきとか抱きしめてくれたし、頭撫でてくれたし」


その言葉で思い返される自分の行動。


咄嗟でやったことだったので今になって恥ずかしさがやってきた。


顔が熱い。


何とか言葉を出す。


「その、本当に嫌じゃなかったか?」


「ううん、嫌じゃなかった。むしろ、、嬉しかった」


「そっそうか」


「うん」


少しの間を空けて「お願いを聞いてくれる?」と尋ねてくる。


「もう一度言って欲しい。「好き」って。お願い」


「っ!わ、分かった」


ふーっと呼吸を整え、彼女の目を見つめる。


「貴女のことがずっと好きでした。俺と付き合ってください」


「はい、私も好きです。よろしくお願いします」


俺たちは恋人になった。

      

         ◇ ◇ ◇


その後、一緒に帰ろうという話になり俺たちは帰途についた。


「どうして今日告白しようと思ったんだ?」


気になっていたことを聞いてみた。


「いや、だってこういう告白は明日するもんじゃないのか?」


隣の彼女は足を止め、恥ずかしそうに言うのだ。


「だって、今年のバレンタインチョコは恋人として渡したかったから」

読んでいただきありがとうございました。

どうだったでしょうか?

楽しんでいただけたなら幸いです。

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