記録と断絶
チャットGPT先生と設定を組み立ててたら
なんか凄いことになりました。
貨物船〈ヒナギク13号〉の船室に、静かな余韻が漂っていた。 つい先ほどまで再生されていた「日本社会動向総括:第73期報告(簡易版)」の音声が消え、スクリーンにはユルダ=オル式の青白いシンボルだけが静かに瞬いている。
「ふう……。だいぶ詰め込んでたな、あの簡易版。」
椅子の背もたれに身を沈めたハルオは、首をぐるりと回し、筋を伸ばした。 動画の内容自体は、彼にとっては既知のものでありながら、漂う情報の熱量は無視できないほどに濃密だった。政治、産業、教育、出生率、《イェルゼ=オルス》の判断傾向、新宗教の増加傾向、そしていまだ燻る旧時代的な価値観との衝突。
「まあ、俺の知ってる地球は……もう少し、埃っぽかった気がするけどな。」
その言葉に、傍らのツバキがちらりと視線を寄越した。
「確認できた? 今の日本の状況。」
「うん。こっちはもう“今の日本”とやらに二十年以上遅れてるからな、地球時間だと。さすがに一回は総括で整理しときたかったし。」
「情報の断絶を楽しんでるくせに、意外と真面目だね。」
「違う違う、そこが面白いんだよ。俺は“ウラシマさん”なんだから、知らないことがあって当たり前。そこを“ははあ、これが今の流行りか”って眺めるのが正しい姿勢なんだって。」
「……そういうの、ちゃんと分析されてるから選ばれたんだよ。ハルオは、距離のある時間を受け止められる。」
少し得意げに言ったツバキの口調に、ハルオは肩をすくめた。
「《イェルゼ=オルス》様のお眼鏡にかなって光栄だよ。」
そう言って笑うと、スクリーンに表示された次の推奨視聴項目が切り替わる。 「日本=ユルダ=オル 関係史:時系列まとめ(視覚強調版)」 ハルオは迷わず再生ボタンを押した。
年次報告の字幕が消えると、再生画面の中で女児の声が語り始めた。
《日本=ユルダ=オル関係史:時系列まとめ(視覚強調版)》
画面上部にタイトルが浮かび上がり、時代を追って淡々と整理された出来事が流れていく。
《2000年代初頭〜:日本国内で政治腐敗、冤罪事件、女性優遇策による逆差別が進行。SNSや市民間で長く議論されるも、国政は改善されず。》
《2027年:地球周辺宙域へ進出していたユルダ=オル宙界連盟が人類と初接触。複数国家と交渉を試みるが、虚偽や恫喝的な交渉態度に幻滅。日本政府は後手ながらも誠実かつ丁寧な応対を行い、ユルダ=オルから「契約を守る文明」として好印象を得る。技術交流が限定的に開始される。》
《2029年:ユルダ=オルは日本以外との交渉を打ち切り、スパイ活動防止のため日本にのみ軌道ステーションを設置。以後、接触対象を日本人に限定し、“保護すべき未成熟文明”として監視下に置く方針が決定される。》
《2032年:政権交代により岸鳩茂文内閣が成立。ポピュリズム・迎合的外交が加速し、省庁の機能低下とスキャンダルの頻発を招く。》
《2035年:岸鳩首相が国会で「選挙に当選したからといって、公約を守る必要はない」と発言。契約を宗教的に神聖視するユルダ=オルにとってこの発言は重大な価値観の否定と捉えられ、日本政府に対して「指導勧告」が通達される。》
《同年、ユルダ=オルは複数の啓蒙艦隊を日本に直接派遣。文明監査を実施。その過程で、日本国家が長年にわたり国民との社会契約を一方的に破棄・軽視していたことが露見する。》
《同年末、ユルダ=オル宙界連盟は以下の声明を発表:
「我々は“契約を守る最後の地球文明”である日本を、文明的誠実さの苗床として保護し、指導する。これは対等な介入ではなく、倫理的責務である。」》
《この事態を受け、在日外国人のほぼ全てが国外に自主的避難。日米安保は正式に破棄され、在日米軍は完全撤退。国際的には「ユルダ=オルによる思想支配」や「日本の洗脳国家化」が強く懸念され始める。》
《2036年:ユルダ=オルによる文明監査の結果、「啓蒙による修正が不可能な即刻排除対象」とされた人物群に対して、ユルダ=オルの法体系に基づく特別裁判が実施される。判決と執行は、ユルダ=オルの裁判専用AIによって迅速に行われた。》
《日本人口の約30%が死刑に処され死亡。主な対象は反社会勢力、行政官僚、司法・立法関係者、政治家など、国家構造に深く関わる人物であった。また、ユルダ=オルの記憶抽出技術によって、処刑対象者の知識・業務記録はすべてデータ化され、後継システムに転用された。》
《国家統治AI〈イェルゼ=オルス〉がユルダ=オルから供与され、国家運営の中枢を完全自動化。日本は「信仰と契約に基づく合理国家」へと再編される。この統治体制移行を受け、世界中の主要国家が日本との外交関係を一斉に断絶。外務・通商ルートはすべて閉鎖され、日本は名実共に地球に属しながら地球外文明に属する孤立国家となる。》
《2038年:人工子宮制度「ネスト」稼働開始。精子バンク提供者の遺伝子を元にした第1世代「ネストα世代」が誕生。》
《2040年頃:ネスト制度が本格運用に入り、日本国内出生の約80%がネスト由来に。性比は調整され、男性比率が多数となる。》
映像の終わりと共に、再生窓が閉じる。
「……ふうん」
ハルオはつぶやいて席を立った。報告動画の視聴は義務ではないし、感想を求められることもない。
けれど、彼の足取りはどこか軽やかだった。
知っていたことの再確認。それだけだ。
だが、船の上ではそれで十分だった。
ユルダ=オル側は日本への“指導”をアフリカへの人道支援みたいな感覚で行っています。