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鉄板人生開始

自信満々で、ナニカを期待する神とやらに突っ込みを入れ、『そこはオリ主キターーー!?とかじゃないの!?』などと詰め寄られたのを落ち着かせ、様々な情報をやり取りした。


まず、『上位存在』とやらには『選ばれし者』しか成れない。素質?というのが在るらしい。これは、度重なる輪廻転生で培われ芽吹くものらしく、既に『終わった物』として扱われている私は、どの様な手を加えようが手遅れで、事前に察知する事も人成らぬ神の手でも無理な様で、対処法として『この世界の枠組みを超えた世界』つまる所の『異世界』に行くしかないと言う事だ。記憶を無くしてでの、産まれなおしでは無く、そのままでポイっと…。


フィクションは画面の向こう、自分とは違う所で起きているから楽しめるのであって、自分で体験するのは真っ平御免である。だから代案は無いのか?と当然問答したが、『最小単位』の『魂』は消すことも出来ず、現世に生き返す事も可能ではあるが、結局の所いつ死のうがこの場所に来るのは、何度か実例があるので判っている以上、認められない。ので代案なんて無いよ!と良い笑顔で言い切られた。現実は無常である。


「だ~いじょうぶだってば!ほら、担当に拠っては、本当にそのままポイっとするけれども俺ってば優しいから!仕事増えるけどや~~~ってやるぜ!って感じですよ!それに送る異世界の選定も、済ませてるから!」

「選定という事は幾つもあるのか」

「俺も知ったときは驚いたけどね『無限』というのが比喩ではなく使えるよ?」


その中から、探し出すのは疲れたぜ!と汗を拭う仕草をする、神?を見ながら思う。

―――――『目の前のこれ』が探した世界…大丈夫か…?――――――と言う気持ちで胸一杯だ。


「まて、出来れば私の要望も聞いてもらいたい」

「む・り」


語尾に音符が付きそうなくらい良い笑顔で言う奴に問い詰めようとした所で、気がつく。

周囲が…明るい?蛍のような光が揺ら揺らと上に向かって登っていく。


「もう、送り出しちゃってるし!いや~最初に言ったとおり仕事が溜まってるからさぁ、あんま、長居できないしさ?だ~いじょうぶだって!先も言った通りちゃ~んと俺TUEEEEのサポートはするし、住めば都って言うじゃん?俺も神様家業に慣れたし君もがんばれ!」


そんな、戯言をBGMに呆然と、身体から溢れ出す燐光を眺め、私は『平穏な日常』を諦めた。
















テンプレ乙が往くッ!        第一乙 【鉄板人生開始】

















風が頬を撫でる。


そんな感触に私は、現実を取り戻す。

雲の切れ間から覗いた、目を射る太陽の光に、時間にしてどれ程のやり取りが在ったか判らないが、そもそも時間的概念は、必要では無さそうな先ほどの神?との出会いが事実だと認識する。


それは、私が少女を助ける為にトラックに轢かれたのは、夜だったから…というのもあるが、もっと確定的な事実。有無を言わぬ証拠が、太陽光を遮る為に掌を翳した視線の先にあったからだ。


白亜の城壁に囲まれた街。


小高い丘というより、小さい山と称するのが良さそうなこの場所からでも見渡すことが出来ない。大きく広い城壁が一つの街を囲んでいた。

街と街の区切りが標識を見なければ不明確な現代の日本では、見ることが出来ない、『中』と『外』を明確に区別した作り。車らしき物は見えず、此処から見える門らしき所では、馬車か徒歩か…。


どうやら完全無欠に事実らしい。




「しかし、中世レベルとは…本当にテンプレ乙だ」



大体、あの神?の言動は少し現代チックというより俗世に染まり過ぎている。

若しかして、近しい年代の人間だったのだろうか?少なくともインターネットがある時代のような気がする。自分も依存とまでは、言わないが普通か?と聞かれたら即答で否なのだが…。


「それにしてもアレは、無いな」


一人頷きながら反芻する。あれがゲーム脳、インターネットの弊害か…。




~~~~♪~~~~~~♪




「んんんんん…?」


明らかな電子音が鳴り響き、周囲に木霊する。しかも聞きなれた、私の携帯で使っているメール着信音だ。

慌てて、音源である自分の携帯電話を探すと、背後の切り株の上に鎮座していた。


「ぅぅぅむ…メール受信…From神様モバイル…」


中世の世界で生きて行くのか、と諦めていた矢先にこの時代には、『オーバーテクノロジー』であろう自分の携帯電話を見つけてしまい、なんだかなーと言う気分になり、宛名を見て更に萎える。

多分、サポートがどうとか言っていたので、それの事なのだろうが、もう少しやり方があったのでは無かろうか?テンプレらしく勇者補正掛けるとか、今はあれか?異世界補正とでも言うのか?


「愚痴を言っても仕方が無いっとッ」


そんな誰に対する愚痴なのか?と取り留めの無いことを考えながら、メルメルっと携帯を操作してメールを開く。



[やあ (´・ω・`)


ようこそ、ゴッドメールへ。

このチートはサービスだから、まず良く読んで落ち着いて欲しい。


うん、「また」なんだ。済まない。

仏の顔もって言うしね、謝って許してもらおうとも思っていない。


でも、このメールを見たとき、君は、きっと言葉では言い表せない

「ときめき」みたいなものを感じてくれたと思う。

殺伐とした世の中で、そういう気持ちを忘れないで欲しい、そう思って

このメールを送ったんだ。



じゃあ、注文を聞こうか。


神様ネットへ →kamisama.co.jp                ]



「………」


クリッククリック




[ ようこそ!神様.netへ!

 このサイトへアクセスした方の携帯電話は、自動的に神様.netの会員に登録され

 ご使用の携帯電話のアプリケーションが更新されます。

 それでは、良いチート人生を!                      ]



          ダウンローーーーーーーーード 100%





勝手に登録されて、勝手にダウンロードされた…。

投げ捨てたくなる衝動を、多大な労力を使って押さえ込みチャララーーンと軽快な音を発てた携帯を握り締めるが、ミシリとも言わなかった。



多大な疲労を与えたこのツールが生命線になるのだろう…。

一度死んで、なんの縁もゆかりもないこの世界に未練は無いが、態々死ぬほどの反骨精神も無い以上、便利で在ろうこれを手放すのは得策ではない。


そう言い聞かせ、力を緩めながら使い慣れた携帯を弄ることに専念する。


通話、不通。そもそも電波が0だ。

何をダウンロードされたのか、不思議だったがそれは、アプリの欄に在った。


「これで君も英雄の仲間入りDA!ツール…」


ネーミングセンスが最悪だ…。


こんなネーミングセンスの奴が神の一柱になってると考えると、こちらに来たのは良いことかもしれないと思う事にして、ツールのアプリを開く。


[ ようこそ、これで君も英雄の仲間入りDA!ツール、通称KENツールへ!

  まず、幾つかのコンテンツを紹介しよう。]


[これが1つ目のコンテンツ、ステータスだ。

上から

君のLV 1

   HP 300

   SP 150

力 20

   魔 20

   防 20

   速 20

   運 20

   EXP 5


装備:なし


  となっている。これは、そのまま君のやっていた数あるゲームと一緒だと思ってくれ。

  因みに、基本値は才能が在る者、つまり『勇者・英雄』と言われる位の人間で10前後だ

  パラメーター配分が面倒だったので20で均一化させて貰った。

  このコンテンツは、ステータスの確認、次のLVまでの必要EXPが正確にわかる、そして

  才能ある者を越える才能を確認して貰うコンテンツになっている。

  ようするに俺TUEEEEの大事な部分『勇者補正』が見える仕様だな!]


[さて、次のコンテンツはこれだ!アビリティシステム!

これは様々なスキルを付け替える事が出来る素敵システムになっている。

現状は、『経験値2倍』『剣技補正』『危機感知』『拾得金額2倍』『スキル修練速度2倍』がデフォルトで付いている。アビリティ修練度が上がり白地から青地になれば、スキル修得となり、必要アビリティポイントが減る仕様だ。アビリティポイントというのは

察しの良い気味なら理解しているかもしれないが、付ける事の出来るアビリティの上限になる。占有するアビリティポイントは各種違うので、新しいアビリティを覚えたら確認すると良い。新しいアビリティの修得方法は他のコンテンツと共に後で紹介しよう。]


総AP 100     余りAP 0

アビリティ名   占有AP

経験値2倍      20

剣技補正       20

危機感知       10

拾得金額2倍     20

スキル修練速度2倍  30

 


[三つ目の素敵コンテンツはこれだ!

その名も!スキルシステム!!!!

これは、その名の通り【スキル】というファンタジーな現象を補佐するシステムだ!

君の想像する【魔法】も【技】も果ては【調合】【演奏】なども【スキル】という括りに成っている!これは、前のコンテンツ二つと違い、君の居る世界全てに適応されるルールだ。だ・け・れ・ども!どんなスキルを持っているのか?という程度しか分からず、それに対して君は、何がどの程度育っているか?消費SPの固定化?というのも判断がつくようになっている。前のアビリティシステムと連動して使ってくれたまえ、覚える条件は様々!楽しんで探してくれたまえ!]


剣技スキル ファストブレード 習熟度0 消費SP5

魔法スキル ディア      習熟度0 消費SP3


[さて、四つ目、残すところ後二つだ。ダレずに聞いてくれたまえ。

これは、二つ目のアビリティシステムと連動していると思ってくれて良い。

その名も称号システム!特定の条件を満たすことで、称号を得、そしてその称号を得ることで自動的にアビリティシステムで付ける事が出来る物が増えるという寸法だ。その条件も様々で、楽しめながら異世界ライフを送る事が出来ると言う寸法さ!]


所有称号


異世界の迷子



[さて、これが最後だ!

その名もCPシステム!!!!!これも簡単、時々携帯に送られてくる神様モバイルを利用して溜まったポイントを使ってお買い物が出来る俺TUEEEEEには欠かせないシステム!神話級の武器から、ペットの餌まで!なんでも取り揃えています!でもお高いんでしょ?いいえ!そんな事はありません、原価ぎりぎりでご奉仕させて頂きます!]


初回キャンペーン 100CP


スクロールを下に降ろすが終わりが無さそうだ…。

機能ボタンが使用出来るみたいなので押してみたら、武器、防具、アクセサリー、アイテム

、雑貨の種別に飛べるみたいだ。


十握剣 2000CP…


マンダラ衣 1000CP…


ゴールド(通貨) 100G=1CP



エリクサーだとか、おぃ?と突っ込みたくなる名前が沢山在ったりしたが、取りあえず通貨と書いてあるのを10CP分交換してみた。


チン、ジャララーーーーありがとーございましたーー!


そんな音声と共に、ドジャっと片手でギリギリ持てる位の袋が落ちた。携帯の画面から…。

人目の付かない所で使用しよう…。


[さて、以上で、KENツールのコンテンツ紹介は終わりだ。

説明不足な点もあるが、ノリとテンションだけで作ったに等しいので不明な点は頑張って

解明してくれたまえ。

補足しておくと、君の携帯は、君にしか見えず、他人には唯の板にしか見えないし、音も聞こえない。CPで買った物が画面から出てきても、気にすることは無い。そしてバッテリーも大気中の魔力、君の魔力などを吸っている為切れない上に、壊れる事が無く、何処で無くしても、念じれば手の中に戻ってくるという不思議携帯になっている。

存分に使ってくれたまえ。

それで、君の勇気と、その他諸々が世界を救うと信じて!!!通信を終わり!おーばー]



ブツンと音声案内だと思っていたツールヘルプが終わったと同時に、携帯を青空に向かって投げ飛ばした。





 




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