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俺の悪魔  作者: モンチャン
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5 パパとママ

パパとママ



朝、いつも通りに二人で朝食を済ませ、愛妻弁当を持ってユタカが出掛けた。


ユタカが出掛けると、みすずは洗濯と部屋の掃除。


適当に昼食を済ませ、庭の雑草取りをして、夕食の買い出し。


夕食を準備して、ユタカを待つ。



ユタカが帰って来ると、みすずは抱きつく。


「抱きつきたいから」だけでなく、他の女にちょっかいを出されていないかのチェックも含んでいる。

匂いを確認するのである。



「年齢イコール彼女いない歴」のユタカだった。

みすずが一緒になってくれるまで。

悪魔だけど。



心配し過ぎであるが、みすずはマジである。



テレビのワイドショー番組で「不倫」の話題が多く、みすずは自分の旦那が心配で仕方がないのである。


みすずにとってユタカは、世界で一番格好良い男なのだから。



「あたしのユタカにちょっかいを出す女は、ぶっ殺してやる。」

みすずは悪魔なのである。





「婚姻届、貰ってきたよ。」

ユタカがみすずに書類を見せる。


1枚は白紙。

もう1枚は夫の欄の方が記入してある。



「本当は、うちの親父を保証人にしようと思ったんだけど、現場の所長に書いて貰ったんだ。 早く届出したかったし。 良いかな?」


「う、うん、良いよ。」

「あたしの方は、うちのパパにする。」



悪魔に親などいない。

しかし、思わず言ってしまった。


「パパもママも海外の仕事が多いから、なかなか会えないけど、丁度東京にいるんだ。」

こうなれば、何でも言ってやる。

みすずは悪魔なのである。



「あ、明日、新幹線で東京に行って、パパにサインして貰ってくる。」


そういう事になった?




みすずは考えた。

誰をパパとママにするか。


思い浮かんだのは、大魔王と教育担当である。


適当な人間を騙くらかして何とかするより、確実な人?を選んだ。




次の日の朝、ユタカが出掛けるとき・・・

「車で送っていこうか?」


「大丈夫。 バスも乗ってみたいから。」


「じゃあ、行ってくるね。」

愛妻弁当を助手席にのせ、ユタカは出掛けていった。




いつもは自分でシッカリやるのだが、今日は急いでいたので、みすずは魔法で洗濯と部屋の掃除を終わらせた。


やる事はチャンとやる・・・みすずの信条である。




黒のリクルートスーツに着替え、黒いパンプスを履いて、玄関で指を鳴らすと、久しぶりの悪魔の館の前に立っていた。




門番がチャンと居る。

一応、大魔王や教育担当が住んでいる建物である。


みすずは、ここの維持管理を担当していた。

門番よりも位は上である。


門番に挨拶をされて、軽く会釈をすると、最上階の大魔王の部屋に向かった。

みすずは悪魔だけど、律儀である。




律儀な悪魔、みすずは大魔王の部屋の扉をノックする。


悪魔の館である。

居るのは悪魔ばかり。


ノックする様なまともなヤツはいない。


結果、大魔王は勝手に扉を開けられないように、鍵を掛けている。



しかし、みすずはこの館の維持管理担当であった。

「マスターキー」を持っている。


まだそのままにしている、みすずの部屋だったところの壁にぶら下がっていたのである。



大魔王の部屋の鍵である。

普通の悪魔の持つ魔法では、開ける事は出来ない。


しかし、「マスターキー」である。

みすずは簡単に扉を開けた。




扉を開けると、大魔王と教育担当が、仲良く向かい合ってお茶を飲んでいた。



大魔王の部屋と、教育担当の部屋は隣同士である。

扉はそれぞれにある。


しかし、大魔王も教育担当も一緒にいたくて、間にあった壁を取り去ってしまった。


それを知っているのはこの部屋にいる3人だけである。




「パパ、ママ、ちょっとお願いがあるんだけど。」

娘が実家に帰って来たような感じである。



教育担当がすかさず聞いた。

「何しに来たの? 人間に憑依したんじゃなかったの?」



「パパ???」 大魔王は訳が分からない、アワアワ呻いているだけである。



「色々あってさ。 人間と結婚することにしたんだ。」


「まあ、それなら憑依してなくても良いか。」

大概の事では教育担当、驚かない。



「相手は、例のワルのヤクザなの?」


「あれ? ママが普通の人間のところに送り込んだんでしょう?」



ママ、いや、教育担当は考えた。

「普通の人間って誰?」


下手な事を言ってはいけない。

何か、危険な感じがした。



「だって、人間界に行ったら、ワルのヤクザ屋さんはとっくに死んでて、普通の人のところに行ったんだよ。」

「ママがそういう風にしてくれたんでしょう?」


「そ、そうよ。 あなたの為にそうしたのよ。」


「そ、その前に、、ママって何?」



「人間界って面倒臭くって、身分証明書が必要なの。 マイナンバーとか言うのもあるんだけど、どうも担当者に悪魔が憑依してる人がいるみたいで・・・」


「どんな状態なの?」


「セキュリティが不安なのよ。 悪魔だってバレたら困るじゃん。 だから運転免許証にしたの。」



「それで、何で私がママなの?」


「運転免許証を取得するのに、戸籍もないと駄目なのよ。 それで、私の両親を大魔王様と先生にしたの。」



やっと、大魔王が会話に加わった。

「それで、俺がお前のパパか?」


「そうよ。 お二人には沢山「貸し」もあるし・・・」



教育担当が確認する。

「お前の名前はどうしたの?」


「みすず、 みすずにしたの。 可愛いでしょ?」



大魔王が余計なことを言った。

「お~! 俺の好みの名前だな。 可愛いよ、みすず!」



いきなりみすずが大魔王に抱きついた。

今日のみすずは「キス魔」である。

大魔王とキスをした。



年齢が離れた悪魔同士がキスをすると、親子のようになってしまう。

悪魔の禁止事項というか、注意事項である。



パパ、いや、大魔王はみすずの頭を撫でながら言った。

「可愛い娘の為なら、何でもしてあげるよ。」


「じゃあ、パパ。 この婚姻届に署名捺印、お願いね。」


「当り前だよ。 大好きなみすずの為だ。 直ぐやるよ。」



パパ、いや、大魔王、気持ちはみすずの親になっていた。

「ちょっと待て! 大事な娘を、知らない男にくれてやるのは気に入らないな・・・」



呆れかえって二人を見ていた教育担当が口を開いた。

「みすずはもう、その男とやっちゃったの?」


「やだ~! ママったら。  え~と! 何回やったっけな?」


みすずは指折り数えたが、両手の指では足りなかった。

「私って凄い! 沢山やっちゃった。」



ため息をつきながら、教育担当が言った。

「じゃあ、もう結婚しても良いわね。」



「ありがと~! ママ~! 」

今度はみすずが教育担当に抱きついた。

教育担当とキスをした。



教育担当は、パパ、いや、大魔王に言った。

「パパ! 早く署名捺印してあげなさい。 大事な私たちの娘のお願いなのよ。」



「お、おう! しょうがねえなあ。 そうだ、今度、ホテルのディナーに、そいつを連れてこい。」


教育担当、いや、ママが言った。

「もう、パパったら。 自分が行きたいだけでしょう?」



「ははははは・・・」

3人の笑い声が部屋中に響き渡った。

3人、仲良しである。




みすずが水鏡を見た。

「ママ! チャンとお掃除とかしてないでしょう? もう、水鏡のお水が緑色よ。」


「ご免ね、みすず。 ママがズボラだったわ。」


「もう、しょうがないな。 私が週に2,3回、掃除に来てあげる。」



「流石、私の娘だわ。 みすず、何か欲しいものはない?」


「大丈夫よ。 前にママから貰ったカードがあるから。」


「ああ、あのカード? どうせ最後はパパが支払うんだから、ドンドン使いなさい。」


「うん。 ありがとう、ママ。」



婚姻届の記入が終わったパパ、大魔王が言った。

「あのカードは、マフィアやヤクザ、政治家の賄賂から入ってくる金だから、幾ら使っても良いぞ。」


「パパ、ありがとう。 大好き!」


「ま、ママ! 聞いたか? みすずが俺の事、大好きだって。 生きてて良かった~!」



ママ、教育担当がみすずに耳打ちした。

「男は単純だから、いまの言い方は大正解よ! 旦那にも使ってみなさい。」


「うん、 ママ。  今度やってみる。」



母親と娘なら、悪魔で無くてもこんなものかもしれない。





「みすず、 ちょっと会議があるから待っててね。 どうせ内容なんて無いから、直ぐ終わるから。」


そう言って、パパとママ、大魔王と教育担当は出て行った。




会議は「悪魔全体会議」である。


どうせ内容の無い会議である。


大魔王と教育担当は、サッサと終わらせるつもりであった。



何故か、今回に限って「ロシア担当」が突っかかってきた。




「ロシア担当」は、悪魔界のナンバー2を狙っていたのである。



ナンバー2になる為に邪魔なのは「教育担当」なのである。



大魔王と教育担当の仲が怪しいとにらんでいた。


部屋が隣り合っているとはいえ、いつも一緒である。



女の勘なのである。


「ロシア担当」は女型悪魔なのである。




教育担当はナンバー2とはいえ、実質的にはナンバー1である。


大魔王が教育担当に、何をやっても敵わないからである。


東京のホテルのディナーに行ってからは特に・・・




ロシア担当は教育担当と、真っ向から勝負しようとは思わない。


何故なら、ロシア担当の先生も教育担当だったからである。



全ての事について、ロシア担当よりも教育担当の方が優れていた。



ただひとつ、ロシア担当が教育担当に勝てると思っているものがあった。



自分の方が美人だと思っていたのである。




確かにロシア担当の方が教育担当よりは年齢は若いが、実際は悪魔の見た目は20代から歳を取らない。



何故、大魔王と教育担当の見た目が「初老」なのかをロシア担当は知らなかった。



「若作りの逆」の魔法を、自分達に掛けていたのである。


格好付けなのだが、ロシア担当は知らなかった。



それに、ロシア担当は授業態度が悪かった為、魔法の勉強を殆どしていなかった。




多分、「若作りの逆」の魔法が解けた時の教育担当を見たなら、ロシア担当も自分の方が美人だとは思わなかっただろう。


それ程に、教育担当は美人なのである。

悪魔なのに。




この教育担当に匹敵する美人が、「悪魔ナンバー 0123456789」、みすずなのである。


みすずも魔法は得意である。

自分で鏡を見た時、美人過ぎるので、少し魔法を使って調整している。


何をしたのか?


可愛くしたのである。

そのままでは、クールビューティ過ぎなのである。



みすずは魔法の授業でも、予習復習を欠かさなかった。


結果、みすずの方が教育担当よりも魔法は上手だった。

教育担当の「若作りの逆」魔法が寝る前に解けるのに対して、みすずの「可愛い」魔法は長期間続くのである。




ロシア担当は、何とかして大魔王の気を引こうとしていたのであるが、根がバカなので何をして良いか分からなかった。


その所為で、悪魔全体会議が長引いたのである。






みすずは、折角、両親?の部屋にいるので、部屋の掃除をした。


勿論、水鏡の水も綺麗なものに取り替えた。



掃除や雑然となっていたパパ、大魔王の机の上を片付けたが、両親?大魔王と教育担当は帰ってこない。



大魔王の部屋で、みすずがイライラしていた。


サッサと長野に帰りたかったのである。




イライラの限界を超えた。

みすずは会議室に走った。


会議室の扉を開くと、大声で言った。

「パパもママも遅いんだから! もう、みすず、帰るからね!」




パパとママ、大魔王と教育担当以外、入ってきた娘が誰だか分からなかった。



他の地域担当は、訳が分からなかったが、ロシア担当だけはこう思った。

この娘は、大魔王と教育担当の「隠し子」?




大魔王が、やたら優しく言った。

「ご免ね、みすず。 ちょっと会議が長引いてるから。 帰るなら気を付けて帰るんだよ。」


教育担当もこう言った。

「みすず! パパが記入した書類、忘れないようにね。 また遊びにおいで。」




この二人の言い方で、ロシア担当は確信した。

「みすず」って、本当に「隠し子」なんだと。




大魔王の部屋に戻ると、婚姻届の書類を鞄に入れ、みすずは指を鳴らした。


直ぐに、みすずは長野の家の玄関に立っていた。



みすずがブツブツ文句を言った。

「もう! スーパーのタイムセール、始まっちゃうじゃない!」



TシャツとGパンにみすずはチャチャと着替えた。



みすずは、この前ホームセンターで買ったお気に入りの「ファットバイク」と呼ばれるタイヤのぶっとい自転車に乗って、スーパーにダッシュした。


「今日は、おばさん達に負けないぞ~~~!」


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