11 ちょっと
ちょっと
新潟から帰ってきたみすずは、たくさん買ってきた海産物を、お土産でマリやおばあさんの家に配った。
ワンコのタロウとニャンコのクロにもお土産を買ってきた。
タロウもクロも、喜んで食べてくれた。
「やっぱり、缶詰よりも美味しい。」
大絶賛である。
喜んで貰えると、買ってきた甲斐がある。
みすずは仕事が趣味であった。
悪魔の館の維持管理、悪魔の生徒の教育。
しかし、ユタカと一緒に車で戸隠や新潟に行って、旅が好きになった。
自宅の近くから路線バスで長野駅に行くだけで楽しかった。
路線バスで距離の長いところはないかと探してみたら、あった!
善光寺の大門から信州新町へ行く路線バスである。
信州新町より先の犀峡高校等へ行くバスもあるのだが、昼間の本数が少ないので、諦めた。
みすず、本当は諦めてはいない。
いつか乗ってやろうと目論んでいる。
悪魔の館に行かない日に、早速信州新町に行ってみた。
夫のユタカとマリの夫光司が出掛けた後、みすずも出掛けたが、ユックリだった。
結構遅い出発なので、掃除洗濯は終わらせた。
パソコンでの仕事はニャンコのクロに任せた。
玄関は鍵を掛けたが、庭の方はワンコのタロウに任せた。
信州新町に行く名目は、ジンギスカンの購入である。
まず、長野駅までバスで行く。
もう少し速いバスなら、学生や車を利用しないサラリーマンやサラリーウーマンで混んでいるのだが、ちょっと遅めなので座って長野駅へ。
長野駅から、早足で善光寺へ向かう。
善光寺の大門発の始発に乗るためである。
長野駅も通るのであるが、始発の最初の停留所から乗りたかった。
10時20分発の信州新町行きである。
これより前のバスは、7時10分発と7時40分発で、早過ぎるのでこのバスとなった。
このバスなら、犀峡高校までいけるらしいが、ちょっと早すぎる。
早朝の7時台のバスは混んでいるであろうが、この時間はそれ程の混雑ではなく、立っている人はいない。
大門を出発したバスは、かるかや山前を通って長野駅に。
バスターミナルを過ぎて小市団地を過ぎて国道19号線を進む。
路線バスで車高が高い。
まして、みすずは一番後ろの運転席側を陣取っている。
犀川が右側に来ると、景色は抜群である。
車で酔う人には苦痛であるが、結構左右に揺れる。
みすずはこれが好きである・・・楽しい。
「わ~い!」と騒ぎたい気持ちを我慢する。
昔、スキーバスの事故があった大安寺橋を過ぎ、白馬方面への有料道路の信更町安庭を右に見て、道の駅信州新町を左に見る。
街中に入ってきて、信州新町美術館を過ぎると終点である。
昔は輸送トラックや観光バスも、この国道を通っていたが、長野自動車道が出来てからは通行量が減り、ほぼ時間通りの11時15分の到着となった。
料金の1,250円を払ってバスを降りた。
普通の車から降りた時するのだが、それと同じ様に、両手を伸して伸びをした。
「楽しかった~!」
思わず、大きい声が出た。
みすずはもう、バス旅行を考えていた。
「松本まで行ってみよう。」
そんなことを思いながら、散策開始。
犀川に向かい、新町橋の真ん中で犀川を眺める。
上流で雨など降っていないので、水が綺麗である。
国道に戻って、美術館方面に向かう。
美術館近くの焼肉屋さんに入ってジンギスカンを頼む。
取り敢えずビール!
ツマミはお新香、野沢菜が美味い。
ジンギスカンでもう一杯。
当然、ご飯もいただく。
ジンギスカンを一人前と思ったが、もう一人前追加してしまった。
ついでにビールも追加した。
飲んで食べて、大満足!
気分良くお店を出て、近くの信州新町美術館に行く。
悪魔相手ではあるが、一応教師である。
少しは美術にも親しむのである。
まあ、酔い覚ましが半分以上であるが・・・
洒落た建物の美術館に入る。
栗原信の北アルプス遠望、、好きなタイプの絵で、暫く眺めてしまった。
松村外次郎の東天紅 (ブロンズ)、同じポーズをしてしまった。
シッカリ美術館を楽しんで、喫茶コーナーでホットコーヒを飲む。
まあ、酔い覚ましかな・・・?
コーヒーを楽しんでから、もう一回りして外に出た。
直ぐそばの犀川を眺める。
いつも行く犀川とは違う顔である。
ノンビリと川沿いを歩いて、国道を新町のバス停方面へ向かう。
バスの時間は14時45分なので、の~んびりと歩く。
田舎なので、殆ど歩いている人はいない。
100m先のコンビニでさえ、車で出掛ける人が殆どである。
東京のようにゴチャゴチャしたのは好きではない。
やっぱり田舎は最高だと思う。
バス停先のスーパーでジンギスカンを購入。
「タレ漬け込みタイプ」である。
マリの家とおばあちゃんの家用にも購入する。
生の羊肉があったので、ワンコのタロウとニャンコのクロのお土産も買った。
大盤振る舞い・・・支払いは、パパ大魔王である。
お土産が結構な量になった。
みすずは、新町橋近くの人のいないところで指を鳴らした。
現れたのは自宅の冷蔵庫の前である。
ササッとお土産を冷蔵庫に入れると、再び犀川の近くに戻ってきた。
そのまま帰ったりはしない。
帰りも路線バスに乗りたいのである。
14時45分のバスに乗る。
座るのは、来た時と同じ運転席側の一番後ろの席である。
お土産は冷蔵庫に入れた・・・ショルダーバッグ一つで身軽である。
同じルートではあるが、行きと帰りでは見る方向が違うので、楽しい。
昼にビールを3杯も飲んだのに元気である。
しかし、長野駅前でバスを降りるつもりであったが、安茂里辺りから記憶がなくなり、結局、善光寺の大門まで乗ってしまった。
15時40分到着。
折角なので、大好きなお戒壇巡りもやってしまった。
何回巡っても楽しい。
みすずも多少酔ってはいるが、スケベったらしいほろ酔いの様なオヤジが先にお戒壇巡りをしていた。
少し経ってから、ミスズも入った。
みすずは暗闇でも見えるのである。
悪魔だから・・・
件のスケベオヤジが通路の途中に待ち構えていた。
みすずからは丸見えである。
このスケベオヤジ、こんな事をするのは初めてでは無いだろう。
多分、以前にお姉ちゃんに触れた事があるのだろう。
人間、暗闇でも人の気配は分かるものである。
みすずが近づくと、胸の高さに手を伸してきた。
土日の混雑しているときならいざ知らず、平日の空いている時間帯である。
「ほら来た」
みすずは指を鳴らした。
その途端、スケベオヤジは消えていた。
消えたオヤジは善光寺裏の池の中に立っていた。
立ち入り禁止の池である。
側を通っていた警察官に捕まって、散々怒られたらしい。
バカなスケベオヤジを撃退して、気分良くお賓頭盧さんの頭を撫でた。
善光寺から長野駅前までノンビリ歩き、デパ地下で買い物をして、駅前からバスで帰宅。
路線バス旅行もして、ジンギスカンも食べて、ビールも・・・最高の1日であった。
お土産を配って、今日の夕食はマリの家と一緒にジンギスカンとなった。
昼食は一人だったが、みんなと食べると、一段と美味しかったので、大満足。
勿論、ワンコのタロウとニャンコのクロにもお土産の羊肉を食べさせた。
みんな満足で、大成功のバス旅だった。
本当は松本まで行きたかったが、調べてみたら信州新町辺りが最長だった。
みすずはマリと後片付けをしながら、次のバス旅の構想を話した。
「今度、ヒカルちゃんも一緒に、茶臼山の動物園に行かない?」
「車で行った方が楽じゃない?」
「それはそうだけど、普段、車では通らない色んなところが見られて楽しいよ。 今度の土曜日に3人で行こうよ。」
普段は夫達は土日は休みだが、今度の土曜日は二人とも現場で事務作業をやるらしい。
マリはヒカルを動物園に連れて行きたかったので、みすずの提案通りに土曜日に行くことにした。
土曜日当日の朝、夫の分だけでなく、みんなの分のお弁当を作って準備OK!
夫二人が出掛けた後、みすずとマリは準備した通りにバスで長野駅に行った。
土曜日なのでバスは混んではいなかった。
地方なので、遊びに行くときは自家用車が多いのである。
長野駅でバスを乗り換え、8時30分発の篠ノ井駅行きに乗った。
土曜日で早めなのでバスは空いているし、道は混雑していない。
3人で一番後ろの席を確保。
車高が高く眺めが良いので、ヒカルは外の景色に興味津々。
時間通りの8時57分に篠ノ井駅到着。
土日だけ走っている「ZOOぐる」に乗る。
車体に動物が描かれた車で、ヒカルは大喜び。
9時15分に篠ノ井駅を出て、9時25分に茶臼山動物園北口前に到着。
ヒカルがZOOぐるのバスに手を振って、動物園に入った。
象さん、レッサーパンダさんと色々な動物さんを見て歩く。
昔はレッサーパンダが沢山いたが、3匹に減ったようだ。
動物が好きなのか、ヒカルは機嫌が良い。
土曜日であるが、一番乗りなのでまだまだ空いている。
小動物とふれ合ったり、大人も大はしゃぎ。
こぢんまりした動物園なので、客も働く人もノ~ンビリしていて、気分が良い。
ヒカルの授乳は、レッサーパンダ舎の近くにある授乳室を利用。
おむつ替えのベビーベッドも有り利用させて貰った。
皆、綺麗に使っていて清潔。
ベンチがある広い場所でお弁当を食べる。
早めなので、広々と使えた。
早く来て正解である。
南口に向かって少し登り坂のようだ。
お猿さんや、ライオンさんを見る。
虎さんはライオンさんより大きい。
ライオンさんは遺伝的に大きさが抑えられているらしい。
最後に階段を上がって、南口に到着。
近くの売店でクリームパンを購入。
南口を出て、待っているZOOぐるに乗る。
勿論、ヒカルは大喜びである。
13時35分に南口を出発。
来た時の北口を経由して篠ノ井駅に、時間通りの13時50分に到着。
篠ノ井駅から、しなの鉄道で長野駅へ。
14時17分から14時30分の短い鉄道旅である。
長野駅から出ると、帰って来たように感じる。
駅前のデパ地下で買い物をして、いつもの路線バスで帰宅。
マリの家に3人で転がって、伸びをする。
マリが言った。
「車の方が楽かも知れないけど、バス旅、楽しかった。」
みすずが提案する。
「今度は平日に車で行って、北口のモノレール、乗ってみたいね。」
「それも良いね。」
ヒカルが可愛いお手々で拍手。
「決まりだね。」
3人、仲良しである。
土曜日出勤の代休が取れる。
次の日、マリ姉に会ったら東京の光司さんの実家に遊びに行くらしい。
来週の金曜日に代休を取る事にしたという。
東京だと、渋滞は反対車線だし、3日間あるから行こうと言うことになったらしい。
「うちも、東京のユタカの家に行こうか?」と聞いてみた。
マリ姉と一緒に行こうと思ったら、二人同時に代休は取れないらしい。
仕方がないので、その次の週の金曜日に代休を取ることになった。
「ユタカのお母さんに会えるの、楽しみだな~。」
善光寺のお戒壇巡りの通路には、暗視カメラが複数台設置されています。
間違えても、文中にある様なスケベオヤジと同じ行為はお止めください。
みすずも、次のように言っておりました。
「同じ事をしやがったら、今度は池に頭から突っ込んでやる。」
あの池はドロドロの底なし沼的な池ですので、命の保証は出来ません。




