【築城】
【築城】
とある資産家が、自身の私有地に大河を思わせるスケールの「城」を築き上げていることでメディアやネット上の話題を集めている。
とある記者がその資産家に「なぜお城を建てているのか? 」と質問すると彼はこう答えた。
「私はホテルを経営しているのですが、その件で法律的な問題が生じまして、私は一体どうしたらいいのか弁護士の先生や有識者に相談したのですがコレだ! といった答えを得られませんでして……それで、藁をもすがる思いでとある高名な占い師さんに相談してみたんです」
「占い師……? 」
「はい。それでその先生は私にこういったんです『築城』しなさい……と。それを聞いた瞬間私の頭にビキーン! と電流が走ったような衝撃を受けましてね。なるほど! 城は古来よりも権力の象徴であり、龍脈といったパワースポットの上に建っていることも多く、その力にあやかって問題解決の糸口を掴め……! そういうことだと解釈したんです」
「だからこうして城を作っていると……」
「はい! 完成までまだまだ金と時間が掛かりそうですがね。でもいいんです。私は今とても気分がいいのですから。お城を建てるなんてこと、子供の頃の夢でもありましたし、童心にもどって気持ちが若返った心地なんですよ! 」
「は、はぁ……」
資産家へのインタビューで今一つ釈然としなかった記者は、後日例の占い師の元へ赴き、資産家へのアドバイスについて質問してみると、占い師は自らを笑い飛ばすような、しかし歯の奥に鶏胸肉の筋が挟まったような口ごもった表情でため息を一つついた後、記者にこう漏らしたのだった。
「私はね……『築城』しろだなんて言ってないんですよ……まず、その抱えている法律の問題について『逐条』してくださいと言っただけなんです……」
ちくじょう【逐条】
[名]
条文などを一つ一つ順を追って取りあげること。
「逐条解釈」
THE END




