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一柱と三人の反逆物語  作者: 狐兎
死神の世界編
8/15

霊魂祭前日と妖精

 やっぱりダメみたいだ。観測者になる時に力を全部渡したようだ──でも自分のときはそんなことなかったような? 『創造』の力はもともと僕のオリジナルだ、前回の観測者は不親切なやつだったのかな。




 霊魂祭の前日、またラインがやって来た。

 「エルフはもう来ていますか? 最低でも五人は必要なのですが──」

 ラインの言い終わる前に三人とも部屋から逃げ出し、アリアのいる部屋に行って土下座になった。

 「「「どうか知り合いを紹介して下さい!」」」

 「と、とりあえず出ていけぇぇぇ!」

 顔を上げるとなぜかアリアが全裸だった。

 三人とも部屋を出てから数分後アリアが出て来た。

 「何のようかしら」 

 明らかにさっきのことを怒っている様子だ。

 この状態だと言っても意味がない気がする。

 「霊魂祭でのエルフが足りないから友達紹介して」

 リリエルがなんのためらいもなく言った。

 アリアは少し悩んでレオンと俺の服を指差して言った。

 「その服もくれるなら紹介してもいいわ」

 「「ぜひ!」」



 アリアが時間潰しに作った服をもらったが──さっきまで着ていた服と同じに見える。

 違うのはちょっとした装飾とか着てる感じが無いくらい軽いことだろうか。

 「それは風の妖精の力を込めて作ったから、ほらジャンプしてみて」

 言われた通りジャンプすると天井に頭をぶつけた。

 痛む頭に手を当てていると自分が空中に浮いていることに気づいた。

 「ちょ! これどうやって降りるの!?」 

 浮遊感に襲われ、パニックになりその場でジタバタしていた。

 「慌てなくてもゆっくり降りてるわよ」

 落ち着いて下を見ると、確かにゆっくり降りている。

 そして二人が笑いを堪えている。

 地上に戻ると二人に言われた。

 「「大丈夫?」」

 「うるさい! それより知り合いのエルフは?!」

 恥ずかしさを誤魔化すためアリアに矛先を向けた。

 「ええ、他のエルフは南の山を抜けた先の里にいるわ」

 「え、森にはもういないの?」

 「あそこは私が一人になるための家だから、他のエルフは大体里にいると思うけど?」

 どうしよう、エルフの里に行ってる時間はあるだろうか? いや、山を越えて帰ってくるとなれば一日では間に合わないだろうし──ぐぬぬ。

 「他にエルフくらい力があって霊魂祭で使えそうなの近くにいないんですか?」

 レオンが都合いいことを言い出した。そんなのいるわけ──

 「妖精なら東の洞窟にいるわ」

 「「「それだ!」」」

 最近、三人の息があってきた気がする。



 町を出て、東に向かうと確かに洞窟があった。アリアの案内で洞窟の最深部近くに妖精はいるらしい。

 「こ、これ、いきなり魔物とかきませんよね」

 「ここは妖精の縄張りだからそこに来るのなんていないわ」

 どんどん進んで行くアリア、何もいないならいいけど。

 急にアリアが足を止めると、暗闇の向こうから足音が聞こえてきた。

 「皆! 止まって!」

 足音はどんどん近づいて来る。

 「エアル! 火を向こうまで届かせなさい!」

 アリアが言うと洞窟内なので当然、風は無い。なのにいきなり突風が吹いて松明の火を暗闇の向こうまで照らした。

 だが、そこには誰もいない。

 今度は暗闇の向こうから氷の槍が飛んできた。

 「エアル! 防御しなさい!」

 氷の槍は真っ直ぐ飛んできているばずなのにアリアの前で方向を変えたり、落ちたりしている。

 それに小さい羽の生えた妖精のようなものもアリアの前に見える気がする。

 「今度はこっちの番!」

 「アリア! 遊びはこのくらいにして来たらどうなの!」

 「ん? もしかしてレイン!?」

 アリアが先に行くのについて行くと白いドレスを着た青髪で羽の生えたお姉さんがいた。

 


 それからアリアとレインの長い話が続き、ようやくこっちに気づいた。

 「そちらはどなたです?」

 「あぁ、ほらエルフを集めてその辺の魂を消すのあるじゃない? それの数が足りないから妖精の誰かを連れていきたいんだって」

 「そうゆうことでしたか、では私が行くとしましょう。アリアもいることですし」

 話が進んで何よりだ、こっちは何もしてないけど。

 「でも、他に妖精が三人は必要なのですが」

 「ふふっ、大丈夫よお姉さん。妖精はエルフより魔法を使ってるから。そうね、私でも数百人分にはなるわ」

 「あっ、はい」

 スケールが大き過ぎて何とも言えなかった。

 「先輩! ほら妖精たちがいっぱい来てますよ!」

 レオンの言葉で辺りを見回すが、何もいない。

 「見えないけど」

 「え? いっぱいいますよ」

 「あれ〜もしかして魔法の才能ないんじゃない?」

 リリエルの一言はいつも人をいらつかせる、じっくり見ているが──いた! 見つけると向こうから寄って来た。

 「私が見えるのですか」

 緑の瞳に緑の髪の妖精が目の前を飛んでいる。

 「ええ、もちろん」

 「先輩? 誰と話してるんです?」

 レオンはそう言い、リリエルも見えてないようだ。

 「その子は特別なの、私にもうっすらとしか見えない。その子はアナタを選んだみたいね」

 レインが妖精に触れると他に青と赤の髪の妖精が現れた。

 『私達はあなたと出会うために生まれたのかもしれない。あなたにしか見えないならあなたと共に行きたい』

 「うん。君たちも待っててくれてありがとう」

 勝手に口から出ていた言葉だった──でも、言えて良かったと思った。

 妖精達は杖、帽子、手袋に変わった。

 それを着けると一気に力が湧いてきてコントロールできるか心配なほどだ。



 「そろそろ行きましょうか」

 レインがそう言うと他の妖精達は一気にレインの周りに集まった。

 行かないでとか私も行くーとかそんなことを言っている。

 そういえば妖精が見えるようになっている、これもあの子達の力を受け継いだからかな。

 「ね〜私も妖精欲しい〜誰か来てよ」

 リリエルが言うと妖精達は一気にリリエルから離れた。

 「何で〜魔法少女にはマスコットがいるのに〜」

 「アナタは他と違う何かを持っているようですね、誰もアナタとつりあう妖精がいないのです」

 「じゃあいいや、さっさと戻ろ」

 急にテンションが変わるリリエル。レオンは何かしているようだが声をかけて戻ることになった。

 


 「止まって下さい」

 洞窟の入口前でレインが突然言い出した。

 入口には昆虫の魔物がいてかなりの数だ。

 「リリエルちゃんの出番だ〜」

 リリエルが妙にやる気だ。

 妖精が手に入らなかったことの憂さ晴らしにする気だろう。

 「いえ、お姉さん? アナタの力を試してみましょう」

 「え? ちょ、ちょっと」  

 無理やり前に出され、リリエルが不機嫌そうにしているのが見えた──やったことないのにできるのかなぁ。 

 「いいですか、入口に火の魔物が向かって行くのを想像して下さい」

 そんなこと急に言われても。 

 『聞こえる? 私達がサポートするからとにかくやってみて』

 頭の中にあの妖精の声が聞こえる、そうだ私は一人じゃない!

 横に炎の妖精がいるのをイメージする。

 目を開けると赤い髪の妖精の子が成長したような姿でいる。

 一度こっちに笑顔を見せると入口に向かい、魔物を燃やした──それはまるでダンスを踊るようだった。

 「貴方も特別のようですね」

 入口のダンスにみとれているとレインが突然言った。

 「アナタの魔力の器は大きいものは支えられる。逆に小さいものだと壊れてしまう面白いですね」

 言ってることはさっぱりだ、でも悪いことでないのは確かだろう。

 役目を終えた妖精は消えてしまった。

 入口の昆虫はもともとこの洞窟が住処で時々来るらしい。

 なんか悪いことをした気になった。



 屋敷に帰るとラインがいて、事情を説明して何とか屋敷を追い出されることはなかった。

 ついに明日、霊魂祭当日。

 デスサイズを見つけることそれを最優先にしなくては。



シズク→魔法使い

レオン→テイマー

リリエル→魔法少女


今回シズク以外何もしてない気がする

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