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一柱と三人の反逆物語  作者: 狐兎
本章スタート
4/15

神の力と少年の反逆

 ※今回は主人公のシンジ視点です。

 運命を動かす歯車は揃った。さぁ、物語が時を刻む頃となった。ここからだ⋯⋯あぁ、混ざりたかった。こんな面白いことになるなら観測者なんてやるんじゃなかった。




 幼い頃、夢を見た。

 それは深夜、突然目が覚めると夜なのに外が明るい。

 外に出ると、公園の辺りに金色に輝く方舟があった。

 急いで公園に行くと同じくらいの少年がいて一緒にその方舟に乗り、空を飛んだ。

 その時の少年の顔は覚えていないが手にハートのマークがあったのは覚えている。

 目が覚めると自分の手にもマークがあり、あれは夢ではなかったと信じていたが子供の頃の話だ。


 今はちょうど冬休みで春から大学生と良い感じに進路も決まり、毎日バイトしたりなど平和に過ごしていた。

 「シンジ君、梨花ちゃんが休憩だからまかないのパスタお願い」

 「はい、わかりました!」

 俺は秋月シンジ、家族は妹の雫と二人で親は事故とか病気でもういない。

 妹のため料理のバイトをしてるけど思ったより楽しくて長く続いている。

 「シンジさ~ん、カルボナーラにしてくださ〜い」

 空いた皿を持って来るついでに梨花はカルボナーラを注文してした。

 「はいはい、わかってるよ」

 数ヶ月前に入った坂内梨花はこの店カルボナーラが好きでバイトを始めたと言う。

 ピークも過ぎ、店の客もいなくなったところで終わりになった。

 「先輩、今日も遊びに行かないんですか?」

 「これから晩御飯の用意とか予定があるんだよ、俺以外に遊び相手いないのか?」

 「はぁ? いますよ。私、彼氏だっているんですから」

 「じゃあ、何で俺なんだよ」

 「先輩が面白いからです」

 梨花は最初あまりバイトに馴染めていなかったため、カラオケやらボウリングやらで皆と仲良くなろうと遊び、それで梨花もバイトに慣れていった。

 だが、計画したのが俺だとわかると遊びをよく誘ってくるようになった。

 「なら、遊びに行けない代わりに晩御飯でも食ってくか?」

 「何言ってるんですかさっき食べたばかりなんですよ、でも先輩のスイーツなら、まだ?」

 わかりやすくこっちをチラチラ見てアピールしている。

 「はぁ、何が望みだ?」

 「ケーキがいいです!」

 「材料無いからパンケーキな」

 「即答じゃないですか! さてはパンケーキ以外作る気無いんですね」

 「大当たりだ、そんな梨花には苺のトッピングだな」

 「マジですか! やったー!」

 ぴょんぴょん跳ねながら喜ぶ梨花、同じ高校生とは思えないな。

 「そうだ、一度家に帰ってから行きますね」

 「こっちも買い物だから、ある程度時間経ってからにしろよ」

 「了解です先輩、それでは〜」

 最近やたら絡んでくるようになったな、彼氏いるならそっちと食事とか行けばいいのに。



 梨花とわかれ、買い物を済ませて家に帰るとそこにはメイド服姿の梨花と妹の雫がいた。

 「お帰りなさい先輩」

 「お帰りなさい兄さん」

 「どうゆう状況だよこれ」

 いや、考えろ。こんな事になる前に何か予兆があったはず──まさか!

 「梨花、お前家に帰ったのはこれのためか!」

 「さすが名探偵先輩、謎が解けましたね」 

 「心臓に悪いからやめてくれ、雫もよくやろうと思ったな」

 「兄さんが喜ぶからって梨花が」

 「俺はそれでは喜ばねーよ、晩御飯にしよーぜ」

 内心喜びつつ、キッチンへ向かい料理を始める。

 キッチンからは二人のメイドが食器を運んだりしてくれているのが見える。

 金髪の梨花メイドと黒髪の雫メイド⋯⋯あぁやっぱり黒髪の方が似合うな!

 重度のシスコンである。

 


 晩御飯の鍋とデザートの苺のパンケーキを食べ終え、梨花は帰った。

 メイド服は失敗しないよう二つ作ったらしい、雫にくれた。

 何はともあれ今日も平和だった。




 「そろそろダ、始めよウ」

 



 いつもの帰り道、バイトの時間が同じ梨花と一緒になった。

 「先輩、今日はどうです?」

 「バイト帰りでは行く気にならん、せめて休みの日にしてくれ」

 「は〜い。あ、今日も行ってもいいですか?」

 「あぁ、メイド服のお礼もあるしな」 

 「メイド服? もしかして先輩の家に忘れてました? どこ探しても片方無かったんですよ」

 「いや、あれは雫にくれたんだろ」

 「え? 雫って誰です?」

 「何言ってんだよ、俺の妹だよ」

 「先輩って一人っ子ですよね? それより彼氏がですね──」

 「は? お前彼氏なんていないだろ」

 「え?」 

 お互の意見が食い違い、二人で真実を確かめに行くことになった。 


 梨花を俺の家に呼び、雫の姿を見せると。

 「誰もいないじゃないですか」

 雫の目の前でそう言った。

 梨花は噓が下手ですぐに顔に出るタイプだ、それに本人の前でそんな事を言うはずがない。  

 「彼氏からのメールです、見て下さい」

 梨花はスマホを渡してきたが、そこには何も書かれていない白紙のメールだった。

 「何がどうなってんだ⋯⋯」

 「やっぱリ、ヒトは馬鹿ばっかりみたいダ」

 いきなり目の前に右は黒髪、左は白髪の奇妙な少年が現れた。

 「君達の彼氏も妹も偽物だヨ、全部ボクの創った人形サ」

 「いきなり何だ、雫はここにいるだろ!」

 「君にしか見えない妹なのにカ?」

 その一言で俺の怒りは留まり、考え込んだ。

 確かにこの少年の言うことは合っている。梨花に見えない雫は俺にしか見えないのかもしれない。

 「じゃあ、あなたは何なんですか」

 黙っていた梨花が口を開いた。少年は笑いながら。

 「ボク? 君達は知っているはすダ」

 右手を上げた。右手にはハートのマークがあり、俺はすぐにわかった。


 あの夜の少年だと。


 「君達は人形といるとそれが病気とかしたんじゃないカ?」

 そうだ、雫は体が弱く病気や風邪をひくことが多かった。

 「治って欲しいと思うたびにそれが実現シ、その後不幸があったんじゃないカ?」

 両親が事故を起こしたのも病気になったのも思い返せばそうだった。

 「それは君達に与えたチカラダ、望めば何でも叶うけどそれに合った代償を必要とすル」

 「つまり、お前は偽物の妹を渡して家族を殺させたってことか!」

 「今頃気づいたのかバーカ」

 テーブルにあった花瓶を持ち少年に投げつけた──はずだったが空振りになった。いや、すり抜けたの方が正しいのか?

 花瓶が壊れ、破片や中の花が床に落ちる。

 「アッハハハ! そんなんでボクに勝てるとでも? 本当に殺したいと思うなラ、もう一度あの場所に来てヨ」

 少年はそう言い残し消えてしまった。

 「せ、先輩。これはどうなって」

 「さっきの話通りだ。俺は先に行く!」

 「先輩!」

 「兄さん! 行っては──」

 俺は夢中で走った。あの少年は夢で会ったあいつ、それにこの手のマーク、一発でもいい──殴らないと気が済まない! 




 公園にはあの夜と同じ方舟があり、その上には少年がいた。 

 「さァ、来なヨ」

 方舟に続く階段を登ろうとした時だった。 

 「兄さん! それに乗ってはダメ!」

 雫がいた。急いで来たのだろう裸足で怪我もしている。

 「なんでだ、俺はあいつを殴らないと気が済まない」

 「あいつは兄さんを利用しようとしているの!」

 「うるさいナ、黙ってロ!」

 少年が手を振ると、雫が公園の壁に叩きつけられた。

 「雫!」

 目の前の少年への怒りが大きくなるが、体は一直線に雫の方に行っていた。

 「にい、さん。私は、自分がどうゆう役割なのか、さっきわかったの」

 「もう話すな! すぐに助けるから!」

 「聞いて、私は、兄さんの、憎しみを増やすために、送られた」

 息が途切れ途切れになっている。骨を折ったのかもしれない、早く救急車を!

 スマホを持つ俺の手をとって、雫は首を横に振った。

 「でも、兄さんと過ごした日々は、すごく楽しかった、偽物の妹だったけど、すごく楽しかっ──」

 雫がいきなり消えた。少年を見ると何かを握りつぶしたように手を固く握っている。

 「お前がやったんだな」

 「どーせ消えるんダ、いつでも変わらないだロ」

 これも俺の怒りや憎しみを煽っているのか、もうこいつの思い通りにさせてたまるか! 

 俺は涙を流しながら願った、この呪いのようなチカラを頼るのもダメかもしれないが今の俺にできるのはこれくらいだ!

 「俺はいつか雫の仇をとる! お前を殺す! そのためのチカラを俺に与えろぉぉぉ!」

 次の瞬間、方舟の輝きに負けないくらい右手のマークが光った。


 目を開けると周りは暗く、目の前にはゴスロリ服で紅茶を飲む少女がいた。

 少女は紅茶を飲み終え、決めポーズをとると。

 「ようこそ! アナタはどんな事をしてここに来たのかしら?」

 そう言った。

 俺の怒りはどこかへ消え、思った。

 俺には変な女子しか会えない呪いでもあるのかと。


 作者は本当はここから始めるつもりでした。

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