6話 魔大陸の決まり
現代の日本には法律があり、人々はそれを守って生きている。それが社会である。しかし、魔大陸において、今まで明確なルールはなく、弱肉強食な世界だった。
「例の件、あれから反発はあるか?」
裕真は目の前にいる半魔の美少女に尋ねる。
「特に、大きな反発はないですね。」
半魔の美少女『イリア』が長い黒髪を耳にかけながら答える。色っぽい仕草に、スーツっぽい服装がまた良い。などと裕真は考えながらイリアの話を聞いた。
例の件とは、魔大陸の法律についてだ。
裕真が魔王になってから魔大陸に法律を制定した。法律と言ってもいきなり難しいルールを守らせることは出来ないだろう。という訳で大きく簡単なルールをいくつか作っておき、問題が起きれば適宜、追加修正を行っていくようにしている。
魔大陸で現在定めているルールは以下のものだ。
1つ。魔大陸の住人である他者を傷つけたり殺してはならない。
1つ。魔大陸の住人である他者の所有物を奪ってはならない。
1つ。魔大陸の住人である他者の領土を侵略してはならない。
1つ。無抵抗な多種族を傷つけたり殺してはならない。
1つ。無抵抗な多種族から所有物を奪ってはならない。
1つ。無抵抗な多種族の領土を侵略してはならない。
1つ。上記のルールに背いた場合若しくは、ルール以外でも問題だと判断された場合、魔王の判断にて裁量を決定する。
1つ。このルールは適宜魔王判断にて追加修正を行う。
これら8項を『魔大陸絶対事項』として魔大陸全土に交付している。
「いろいろ、文句言ってくる奴が出ると思ってたが案外あっさり受け入れたな」
裕真は肩透かしを食らった気分である。また、反対派を倒してこれ以上悪い異名をつけられてはたまったものではない。そう思う裕真だが、今以上悪い異名もないだろう。
「流石に虐殺魔王ユマフェル様が決めたルールに逆らうのは命がいくつあっても足りませんからね〜」
ふふふとイリアは笑った。確かに殺されるとわかっていてルールを破る奴は少ないか。いや、初めから殺す前提ってわけではないが。裕真自身分かっていても、それを人に言われると傷つくものがある。
(お仕置きだな)
裕真はこれからイリアをどうしてやろうか考える。
「イリア、お仕置きだ。来い。」
裕真はそう言って立ち上がり寝室へ向かう。その後ろをイリアが小走りでついていく。
「お仕置き楽しみです。ユマフェル様がしたい事なら何でもして良いですよ?」
そんな声が遠く微かに、玉座へと漏れ聞こえていた。
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