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1話白い世界

「ここは……?」

 真っ白な世界に一人の男が佇んでいた。

 

 男は周りを確認するがそこにあるのは『白』のみだ。

 

 天井も床も周りの景色すべてが『白』。


「あぁ、夢か……」

 男は思考を巡らし、結論にたどり着く。

 先程まで、『聖域』にて『聖魔戦記オンライン』をクリアするため徹夜していたこと。世界初のオールクリアを成し遂げベッドに倒れ込んだことを思いだし、この白い空間は自身の夢であると結論付けた。


 この男、高校2生の引きこもり兼ゲーム廃人という嬉しくもない肩書を背負った田中裕真である。見た目は平凡。身長172cm、体重59キロ。顔は中の中の上あたりだろう。黒い髪が目にかかっている。その目にはゲーム廃人の特徴とも言える濃いクマがついている。服装は先程までゲームをしていた上下ジャージ。靴も履いておらず裸足である。


「でも、ずいぶんリアルな夢だな……」

 夢だと結論づけたこの状況だが、裕真の五感か感じる感覚は現実の変わらないものだった。足をついている感覚も、目から入ってくる白の刺激も、全てがリアルな感覚だ。


「来たか」

 ふと、裕真の頭に声が響く。


「!? 誰だ!?」

 裕真は響く声に向かって問いかける。神経を張り巡らせ、次の行動に備える。ゲーム廃人として鍛え上げた脳の反応速度はあなどれない。


「私はすべてを司る者。お前らの言う神といったところか。」

 声が裕真の疑問に答える。その声はどこか感情がなく、機械的な印象だ。電話の音声ガイダンスのような声と言うとわかりやすいだろうか。


「神が俺の夢になんのようだ? 俺は疲れてるんだが?」

 裕真は更に問いかける。裕真は口では『俺の夢』と言ったが、本当は違うと本能が理解している。神と名乗る者が現れてから、自身の持つ危機感がささやくのだ。これは夢ではない。危険だ。気をつけなければと。


「ここは聖域。 お前は現実の世界に未練があるか?」

 今度は神が裕真に問う。


「聖域とは俺の部屋のような所を言うんだぞ? 現実に未練? 目標の一つはクリアしたからな。 今の所無いんじゃないか?」

 裕真はどうでもいいといった風だ。


「そうか。なら、話は早い。お前にはある世界で生きてもらう。」

 裕真は唐突に神から異世界生活を宣告されてしまった。それはもうなんの前触れもなくだ。


「なんで俺がそんなことしなきゃなんねーんだよ!?」

 裕真は目に見えない神を睨む。


「我々神にも楽しみが必要なのだ。 神の娯楽は世界の観察。 その世界がどうなっていくのかを見るのが楽しみなのだ。」

 神は悪趣味な娯楽を説明する。例えるなら夏休みの自由研究とかでも見る蟻の巣ができるのを観察するといった感じなのかもしれない。


「それで、俺にパンダになれってか?」

 裕真の視線は依然鋭いままだ。


「そう怒るな。お前としても楽しめる筈だ。なにせ、お前が先程までしていたゲームの世界を生きてもらうからな。」

 先程までしていたゲーム。思い当たる物は一つしかない。


「聖魔戦記オンラインの世界か?」

 裕真だけでなく世界中のゲームファンの間で大流行しているオンラインゲームの世界で生きる。つまり、某有名ライトノベルのS○Oなどと同じ経験ができると言うことだ。ゲームファンなら一度は妄想する実体験できるゲームをプレイ出来るのである。


「そうだ。お前には特別にゲームでお前が培ったすべてを持った状態で転移させる。」

 悪い話ではない。俗に言う、最強状態での異世界転生だ。厨ニ心をくすぐる。上手い取引だな。


「わかった。いいだろう。ただし! 覗き見は制限させてもらう!」

 裕真は条件を提示する。

「セクシャルな状況になった場合は覗くな! 以上だ!」

 制限は大事だ。なにせセクシャルな状況なのだから。


「わかった。それで良かろう。」


神が了承すると白い世界が裕真を中心に圧縮されていった。音はなく、白が迫ってくる。眩しいわけではないただ、白が近づいてきて全てが白になった。

ご覧いただきありがとうございました。

第2話も近日公開しますので是非御覧ください。

また、誤字脱字等ありましたら随時修正していきます。

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