表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

なんでこんなことに

作者: きりえ

なんとなくで書いたものなので、おかしいところもあると思います。温かい目で見てください。

「なんでこんなことに 裏話」をアップしました。よろしければご覧ください。

ざぶんっ


その音とともに全身に刺すような冷たさが襲いかかった。


あはははは、情けない。

そう笑ったつもりでも、水の中だとごぼごぼという音にしかならない。と言うか、せっかく吸った空気がなくなっちゃった。やばい、苦しい。しっかし、いくらもがいたとしても私が水面に上がることはできない。私の右足には重しがつけられているから。


ゆらゆらと太陽の光が揺れている。



そもそもなんでこうなったんだっけ・・・・・・?








私の名前は沙羅。地球と言う星の日本と言う国で平和に暮らしていた女子高生だった。そして私には親友がいた。名前は玲だ。私たちは学校から帰る途中、道に突然開いた大穴に落ちた。文字通り、落ちた。そういえばこの時も水の中に落ちたんだった。私は玲を引っ張って水面を目指した。すると


「おおっ!」

「本当に来た!」

「何か拭くものを!!」

「守護官まで!」


そんな声が頭上から聞こえた。なんでもいいから助けろや、こら。


しかしわけがわからなかった。だって周りにいた人たちの格好は中華風の服装で、建物も日本とは全く異なっていたから。


結果から言うと、レイがこの国の神と対話する役割を持つ神子姫だということが判明した。それでもって私が神子姫を守る守護官と言うものらしい。いやー、ほんとふざけんなって感じだった。家に帰せ。何かの間違いだ。異世界?そんなのは小説の中で十分だ。そういっても、神の印がついていると言われた。なにそれ。

私の顔には守護官を示す印がついていた。正確には右頬に青色で神のシンボルの鳥のマークだ。なんとなく中二病のようで恥ずかしい。玲には反対側にそのマークがついている。これで私たちの身分は確定らしい。


本の中じゃ読んでて楽しいけど、自分がその登場人物になるだなんて絶対いやだ。しかもだ、もう帰れないと言われた。両親が悲しむに決まっている。夢に出てきたこの世界の神に2人で文句を言った。たたりとかしらないよ。



神はごめんとあっさり言った。本当なら私たちはこの世界に生まれてくるはずだったんだと、手違いですまないって謝られた。



あんまりにも申し訳なさそうで、私達は口を閉じた。



玲は毎日儀式や神事について神官長から学んでいた。私はそれに加えて武芸を学ばされた。ただ、どうも神様加護によりチートにできているらしい。私は将軍と呼ばれる人間たちとも渡り合えるようになった。ずるしてごめんね、みんな。


半年くらいたってからか、自分を見つめなおす余裕ができたからなのかわからないが、感情がなくなっていたことに気が付いた。私は基本的に短気だ。思っていることはすぐに顔に出るし、口も悪い。悪口なんかいってくる奴にはすぐに切れる。でも、全く切れなかった。それどころか怒りすら感じなくなっていた。家族と過ごした日々の寂しさもない。いつもニコニコ?表現が拙いが、楽しいそんな感じだった。楽と言う感情以外が欠落した感じだ。


これはどういうことかと聞きたかったが、先代守護官は亡くなっていた。私は文献をあさってみたが特に書かれていない。神官たちに相談したら大変なことになりそうだしな・・・。あの人たちはとにかく大げさなのだ。何か知ってそうな神様は夢に出てこない。逃げやがったな。

玲はどうなのだろうかと思って話すが、どうやら感情は失っていないようだ。家族と会えずにさみしいという。頬には涙の後も見える。私はそうだね。さみしくなったらいつでも言って、そばにいるからと言った。感情共有はできないけど。


沙羅は強いのね。と玲は言うけど、違うよ、何も感じないだけだ。




私達はこの国の王子たちに会った。はっきり言って、くそ生意気で傲慢だ。第一王子がまともなのが救いだが、あの人は側室の子供らしい。継承権は王妃の息子の第二王子らしい。残念だ。本当に残念だ。

いつもならすぐに切れるはずの私は全く怒りを感じなかった。なんだったか、将軍の息子や、宰相の息子にお前さえいなければ、俺が守護官だったのにと言われた。女の守護官なんて前代未聞だと。しかし全くしめる気が起きない。

「そうか。」

としか言いようがない。まあ、守護官はエリートらしくその気持ちはわからなくもないと思う。でも、お前らのへっぴり腰では無理だ。あの子を殺す気かよ。




「守護官様、あなたは全く怒りませんね。」

私に面と向かって言ってきた奴がいた。


誰だ?

見たことがない。蒼髪に青い瞳、服まで蒼。しかし顔はかなりのイケメンだ。素晴らしい。日本で出会ったらみんながほおっておかない。が、今の私の心には響かない。

「失礼ですが、あなたとどこかでお会いしましたか?」

「いいえ?今日が初めてです。私はシン帝国第三皇子テイエンと申します。第一王子から許可をもらいました。」

げ、王子様かよ。そういえば教育係が言っていた気がする。今、どこぞの王子が来ていると。でも、神殿には来ないと言っていたからすっかり忘れていたのだ。なんだって許可出したんだ第一王子。


シン帝国と言えばこの世界最大の領土と軍事力を誇る国らしい。怒らせたら面倒に決まっている。

「失礼しました。」

頭を下げた。教育係から神の使いの神子姫、そして守護官は王族に対して頭を下げる必要はないと言われた。私達がこの世界で一番位的には高いらしい。

「頭を上げてください。…本当に律儀な方なのですね。」

「律儀と言うか、失礼でしたから。それより、怒らないとは?」


「訓練場にいらしていたでしょう?」

ああ、見られていたのか。守護官として神子姫を守れないなんてありえないので、私はよくあそこで相手をしてもらっている。私が将軍に頭を下げたのだ。が、時々納得しないものもいる。特に将軍の息子。

今日も面と向かって嫌味を言われた。私は笑顔で聞き流した。なんか、女性差別発言を言われた。同僚でさえ言い過ぎだと言っていたくらいひどい言葉。私の心は傷ついたかもしれないが、全く怒る気になれなかった。

「見られていたのですか。お恥ずかしいですね。それより、こちらにいらしたということは玲・・さまに用なのですよね。今は勉学の真っ最中でして、お会いできません。」

私は今その館の真ん前で警護中だったりする。基本的に私たち神子姫と守護官は一緒にいるのが決まりだ。


「いえ、後日お時間をいただきますので大丈夫です。私がお話したかったのは守護官様ですよ。」

「私ですか?」


「守護官様。」

ものすごく真面目な顔をされたのでどんなことを言われるのか私は衝撃に備えた。


「私と結婚してください。」



「・・・・・・・・・・・・・は?」



私はしばらくフリーズした。何も感じなくても、脳が言葉を理解するまで何秒かかかる。血痕?結婚!?


「ななななななななななな・・・・・・。」

言葉にならない。

「あ、初めて動揺しましたね。」

「あ、遊びですか!?」

こいつほかの感情がないか確かめるためにいったのか・・・。


「違いますよ。本気です。」

「女の敵・・・・・、え?」


「私の帝国に嫁いでください。」

「無理です。」

私は即答した。だって私守護官だし、そもそも何も感じないのだ。人を好きになんかならないから。

するとこういってきやがった。


「贅沢できますよ。たくさんの宝石と色とりどりの絹が買いたい放題です。」

「十分贅沢してますので結構です。」

興味ないから。と言うか宝石は動き回るのに邪魔。私は守護官なので、どちらかと言うと男に近い恰好をしている。髪も短いし。女官たちは残念がったのを覚えている。しかし、一部女官いわく、なんかいい!!らしい。



「ふられましたね。みんなこういうと喜ぶのに。」

そりゃ、今まであってきた女どもが残念だったんだよ。

「お言葉ですが、私は興味ないのです。それに私の世界では妻一人、夫一人です。複数の婚姻関係は重罪です。」

こいつ既婚者にちがいない。なんてことだ、絶対にありえない。

「そうですか。では離縁しますので結婚してくださいね。」

そしてさらっとひどいことを言う。今の奥方を大切にしやがれよ。

「しませんから。大体それは今いらっしゃるお妃様に対しあまりにも無責任です。最低です。お帰りはあちらです。」

出口を指さす。とっとと帰れ、とにらんでやった。すると奴は嬉しそうに笑い

「私にそんなことをしたのは君が初めてです。また、来ますね。」

来るな。

彼はそれから何回も来た。たくさんの宝石と絹を持って。私はもちろん断った。しかし、押し付けてくるので、全部売った。そして神官に預けて、孤児の養育費にあてさせた。そんなことをしても奴はにこにこがおで やってくるのだ。どMかよ。


それから間もなく彼は国に帰って行った。さようなら。今思うと久しぶりになにか感情と言うものを感じた。なくなっているというより、かなり薄くなっているのかな。



思えばこれが私が穏やかに暮らせた最後の記憶だ。




玲が倒れた。

神殿に激震が走った。なんでもお茶に毒が入っていたらしい。私としてはあやしい奴に目星がついていた。

カレンと呼ばれる女だ。彼女はもともとは玲がいなかったら、神子姫になる女だったのだ。しかし私から言わせれば


あんな下品な女が神子姫になったら国が滅ぶ。


アイツの男に対しての媚が私はどうも好きではない。しかもだ、最悪なことにアイツは第二皇子や将軍や宰相の息子たちを骨抜きにした。言い方はあれだがアイツはプロポーションがいいのだ。それに美人だ。でもそれ神聖な神子姫としてどうなんだろうか。


正直言って私は奴らのことを気にしている暇はなかった。玲は茶の毒にあたったのだが、それだけではない。その毒を媒体に呪詛が仕掛けられていたのだ。私はその呪詛を浄化するのに手いっぱいだったのだ。それが私の命とりだったと気が付いたのは奴らに捕まったときだ。



守護官が呪詛を行った。


神子姫の容体がよくならないのは守護官のせい


守護官が女であったことが神の怒りに触れた。



何をバカな。と言いたいが、この世界は宗教的なものの力が強い。その噂はあっという間に広がった。玲が治らないのも噂に拍車をかけた。仕方ないだろうが、呪詛が強力なんだよ!!くそ、誰だこんなのかけた奴。



神官たちは気にするなと言ってくれたが、私に面と向かって言ってくる奴もいた。本来ならば死刑だろうに。


「守護官 沙羅。」


どたどたと音を立てて入ってくるのは第二とその私兵、それでもってあの女。おきれいな顔が汚い笑みを浮かべて歪んでいるぜ。



「貴様を神子姫を呪った嫌疑により捕縛する。」


「何バカなことを!!そんなわけがない!」

「今沙羅様に離れられるわけにいかない!!」

神官たちが叫ぶが、兵士たちにふっとばされる。


「やめろ。」

私は彼らの前に立った。これ以上傷ついてほしくない。


「捕まえろ。」


私は両腕をつかまれた。その私の顔の前に書類を突き出すのは宰相の息子。近すぎれ見えんよ。


「あなたの部屋から、呪詛に使ったと思われる蟲壺が出てきました。

知らん。そもそもしばらく部屋に帰ってないっての。

しかし、そんなことを言っても無駄だと思った。玲を振り返る。

青白い顔。彼女の中に神気の塊を入れた。しばらくは私がいなくても持つだろう。



私は馬鹿どもの目を見た。にごりきっている。これは、奴らこそ何らかの呪詛にかけられているに違いない。王や宰相たちはどうしたのだろう。この状況をあの聡明な人間たちが許すはずもないのに。たとえ、息子たちには節穴だとしても。



「陛下たちもお前の罪を認めたぞ!!」

「ああ、これでやっと厄災を払える!」

「おかわいそうな玲様。守護官に裏切られるなんてぇ。」

「おそらく、もう持たない。君が次の神子姫だ。カレン。」


こいつらあの子を殺すつもりだ。とっさに暴れるがどうにもならない。神官たちが守ってくれるといいが。と言うか王たちはどうなっているんだ。



「おい、どこに向かっている。」

牢屋はあっちだろうが。

すると、奴らはにやりと嗤った。うわ、気持ち悪い笑い方。


「うわ~。」

思わず声が出た。そこは湖だった、私達が最初に現れた。


ガシャン。脚が重くなった。見ると重しが片足につけられていた。


「泣きたきゃ泣け・・。泣けよ!!!」

怒鳴るな、うるさいな。

展開が早すぎんだよ!ついて行けてないんだよ!!


怖くはない。が、息できないから苦しそうだ。


「今から神に反逆した護衛官の処刑を始める。」

裁判もない。と言うかこいつらしかいないし。どうなんだよ、それ。


その時だった。


ガシャンっ

何かが割れる音。振り返ると空にヒビが入っていた。こいつら結界で外部と遮断していたのか!!

「はやく落としちゃいなよぉ。」

アイツの顔がめちゃくちゃうれしそうだ。


別に怖くなかった。感情がなくなって、それはラッキーだと思った。


「沙羅!!」

名前を呼ばれた。振り返ると第一王子が剣を持って走ってくるところだった。


「すまない!!」




どんっ、と背中に衝撃が走った。馬鹿どものゆがんだ笑み、バカ女の高笑いが聞こえる。え、そんなの見せて大丈夫なの・・?



私はそのまま湖に落ちた。






最初に戻る。


苦しい。底なし沼のように地面につかない。もう・・・、息がもたない。玲・・・・、ごめんね、一人にしてしま・・・う・・・。



































「あ、目が覚めた?」

私が目を覚ましとき目の前にあった顔に、思わず頭突きしてしまったのは間違っていない。だってキスするくらい近かったんだ。しかし、頭痛い。



そもそも、ここどこ。



私はふかふかの寝台に寝かされていた。ここはどこかのお屋敷のようだ。右を向けが開け放たれた窓に広い庭が見える。


「死の国ではないよ。」

「あなたがいる時点でそうでしょうね。私は死んだはずだけど?」

「うん。死んだよ、あの国の守護官 沙羅はね。」

言っていることがわからん。


「説明していただけますか?」

「僕に敬語はいらないよ?だって君はこのシン帝国の神子姫だから。」

「は?」

何言ってんだこいつ。

「その頬のマークを持っていて神殿の泉から出てきたんだから当然だよね。」

「話が見えない!なんで、この帝国の神殿の泉に私が出てくるの!!?」

「僕が神に頼んだから。」

さらにとんでもないことを言われた。

「は?なんでそんなことができるの!?」

「シン帝国王族は神の直系子孫なんだ。」

うそ・・・・・・。倒れたくなった。


「で、きみがほしいんだけどだめ?って聞いた見たら。別にいいぞって。」

かるっ!!神様、夢で逢った時も思ったけど軽いな!!

「でも、私には巫女姫の力なんて・・・。」

2人とも女だったのでどちらが神子で、守護官なのかわからなかった。神殿で何か石のようなものに手を置いたら、神官長があなたは守護官ですと言われたのだ。何らかの力の差があるのだと思う。玲は確かに時々何かここではない何かを見ているときもあったので不思議な力があったに違いない。私もなんとなくだがあった。説明しにくいが。


「それなんだけど。なんか。間違えたらしい。」

「は?」

「なんでも本当は玲様と君2人も神子姫だったんだ。」

どういうことだ。

「でも二人とも召喚するとき手を離さなかったでしょ。だから別々にできなかった。本当はあの国とこのシン帝国両方に神子姫は召喚されるはずだったんだ。でも今更取り上げるといろいろと問題が出る。だから、神は君の力をほぼ封印した。感情とともに。」


「・・感情・・・。」

感情が薄くなったのはそのためか。

「感情で力が発動してしまうこともあるからね。だから君から強い感情を奪ったんだ。心が凪いだようになっていただろう?」

なんだそれ、勝手な。ふつふつと怒りがわいてきた。怒り・・?

「あ、戻った?君は神子姫になったからね。もう抑えなくていいんだ。」


すると目から暖かいものが出た。これは・・・、涙?


ギュッと温かいものに包まれた。テイエンの腕だ。


「泣いていいんだよ。悲しんでいいんだ。もう、笑えるよ。」


そんなにいっぺんにできないよ。

私はしばらく涙が止まらなかった。



「それより、玲は?あのバカどもは?」

泣いてすっきりした私は気になっていたことを尋ねた。


「巫女姫は無事だよ。もとから死ぬようなものじゃないからね。馬鹿どもは廃嫡されたよ。」

「・・・・・。」

「当然だよ。第一王子が後継者だ。これで両国間の関係も安泰するよ。第二王子がなっていたらあの国を滅ぼそうと思っていたからね。」

恐ろしいことを聞いたかもしれない。

「あの女は・・・?」

「・・・あれは負の集合体だよ。ヒトですらない。」

「負の集合体・・・?」

邪悪な感じは下が人でなかったことに驚いた。

「あの女という入れ物の中に、さまざまな怨念や情念が宿ったんだ。神子姫になれなかった神官とかのね。」

「・・・・人ではなかったの?」

「そういうことだね。入れ物は人だけど・・・・。」



「玲は・・・、私がここにいることを・・・。」

「知らない。でも話したいなら話していいよ。内緒でね。基本的に神子姫はその国から出ないけど、水鏡は仕えるから。」

あの子はさみしがり屋なのでそれはありがたい。きっと悲しんでいるに決まっている。


「そうそう。」

「?」

「そうやって笑っている方がいい。あのときの君はなんだか笑った顔の能面を被っているようだったから。・・・・・・・そうそう、これからのことなんだけど、俺、皇帝になるから。」

「え?確か第三・・・。」

普通は第一皇子がなるのではないのか。

「そうだけど、みんな側室の子供なんだよ。俺が正妃の子供だから語句が継承権一位なんだ。あと、奥さん方はみんな国にお帰りいただいたから、安心して。」

「はあ?!!」

「もちろん帰るところがない子は兄様たちの妃や、弟たちの妃になってもらったから。」

「いや、まて。私神子姫でしょう?結婚できるの!?」

イメージ的にこういうのはだめな気が・・・。生涯独身!みたいな。

「できるよ。ちゃんと真実愛し合わないとだめだけどね。皇帝が神子姫を妃にするときは側室たちはいなかったことになるんだ。」

何てことだ。

「僕は約束を守ったよ。…僕と結婚してくれる?」

ここでいやって言ったらどうするんだろう・・・・・。

「ふふ・・・、君は感情を取りもどしたばかりだからまだわかんないかい?」

「あなたのこと、まだよくわからない。」

好きでもないのに結婚とかいやだ。今のとこテイエンのことはよくわからないのが本音だ。


「君はまじめだね。まあ、今すぐ皇帝にならなくてもいいし・・・・・・。半年だね。半年の間に君を落としてみせるよ。沙羅」

その時の私はいろいろと混乱して、ひどい顔だったに違いない。











「おやおや、ご執心の割にあっさり引きましたね。」

テイエンは目線を上にあげた。

カレンか・・・・。」

そこには女、いや、男がいた。その顔はどこぞの国の負の集合体の顔そのもの。

「ただ今帰りましたよ。いや~、引っ掻き回すの楽しかった~!!」

「邪魔者とバカどもは全部蹴落としたからな。これで叔父上もやりやすかろう。」

「そうですね。かの国の陛下も将軍も頭を痛めておいででしたからね・・・。弟たちの方がはるかに優秀です。楽しみですねえ。でも、神子姫様たちは引き離されて少しかわいそうですね・・・。泣いておられましたよ。」

かの国の神子姫を思い出す。目を真っ赤にして泣きじゃくっているのだろうな。

「いずれ水鏡で合わせてあげるよ。」

「直接と言わないあたりいやらしいですね。」

「嘘はつきたくないからね。」

「きっとあなたの神子姫様は怒るでしょうねえ。すべて、仕組まれていたと知ったら。」

「ばれなきゃいいんだよ。ばれなきゃね。」

すがすがしいまでの笑顔であった。



「だって、ほしかったんだ。」

仕方ないでしょ。




読んでくださってありがとうございました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ