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塵芥僧

作者: 堀鴎斎

特定の宗教や団体を示唆するものではございません。

あの滝に打たれて清らなる竜と為りたい。修行に励めど私は唯だ秘匿することが上達するだけで根底は醜いままである。和尚ですら最近は私を警策しなくなった。座禅を組み邪念を捨て清らかなる僧と為った。仏は欲を無くせと言ふけれど人は本来欲がなければ生を感じられぬ。皮肉なことに私は優秀な僧であるやふだ。長らく下山しておらぬゆへこれが正しいかすら知らぬ。鯉は命を懸け滝を駆け上がり、やがて天空をひしめく龍と為る。厳しい修行も知らぬまま私を越えて鮮やかに為る。解脱した僧は滝を昇ることはできない。寺ではなく神社へ祈祷を捧げよう。とうとう私は寺を追い出されてしまった。気づけば私は鬼と為っていた。寺も和尚も僧達ももう会うことは出来ない。文化を捨てた猿どもは私を逃さないだろう。しかし私は自分がこれ程荒々しい心を未だに持っていたことに感動している。生きている証があったことに涙する。鬼であろうと構わない。私は必ず龍と為る。鬼は深い竹林の中に消えてゆく。

ご精読ありがとうございました。

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