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推しうさぎと月の姫になるまで〜二十歳の誕生日に助けた迷いうさぎは電撃引退した推しのアイドルでした〜  作者: 四片霞彩
翠色冷光、すれ違う二人の従者

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72/117

【72】

「これって久慈川学園の案内ですよね?」

「久慈川グループでは教育事業の一環として久慈川学園を経営しております。幼稚舎から大学院、更には研究機関まで揃っており、全国に分校も複数あります」

「久慈川学園のことは知っています。でも姉が滑り止めで受験しようとして書類審査で落ちたって……」


 大学受験の際に爽月は滑り止めとして芸能人や子息子女が通う知名度が高くておしゃれな私立大学を受けようと、全国各地の大学から入学案内を取り寄せていたが、その中に久慈川学園のパンフレットもあったのを覚えている。

 年に数回受験生向けに開催されている大学説明会と見学会にも足を運んでいたが、その際に久慈川学園は入学金が高いことに加えて家柄も重視していると入試担当者から説明があったらしい。由緒ある家柄でもなくどこにでもあるような平凡な彩月の家庭では明らかに入学は無理だったが、負けず嫌いの爽月は半ば意地になって入学願書を送り、やはり最初の家柄の審査で落ちたと話していた。

 その後、他の大学もいくつか検討したらしいが、結局滑り止め受験はしないで現在通っている大学の入試だけを受験することにしたので、彩月も真似して滑り止めなしで同じ大学だけを受けたのだった。


「表向きは家柄を重視して子息子女のみ入学が許されていることになっておるが、実際は久慈川学園全体が月の民の血を引く者と月の民に協力する者のために作られた機関なのじゃ。学生以外にも学園を運営している理事から教職員に至るまで、大半が月の民に関係する者ばかりじゃ」

「月の民は《超常力》を生かして富を築いている者が多いことから、子息子女ばかり入学していると思われたのでしょう。見目麗しい者が多いのも特徴です。姫様のご家族は月の民として目覚めておらず、月の民との関わりが無いことから、入学資格が無いと判断されたのかもしれませんね」

「そんな大学に私が入学できるのでしょうか……?」

「何を言っておる。月の民のための教育機関に月の長たる姫様が入学できないなどと言ったら、恥以外の何物でもない。無論、入学金も不要じゃ。必要なものは全てうちで用意させよう」

「姫様は学力も申し分ありません。編入学されても、久慈川学園のカリキュラムに充分ついていけるでしょう。大学卒業後は久慈川グループの会社に就職して、来たるべき日に備えて月の姫として覚醒なさってください。勿論、学業を終わらせて就業したいということでしたら、すぐにでも久慈川グループに姫様の席をご用意させます」

「えっ!? 就職先まで用意していただけるんですか!?」


 響葵と出会う直前に最終面接を受けた会社からは早々に不合格の連絡がきていたので、次の就職先を探さなければと考えていたところだった。ただこれまでとは違って、響葵たちと気軽に会えるように天里のマンションから近くて条件に合うところを探していたので、なかなか見つけらずにいた。


「姫様の保護は月の民の世話役である久慈川家の役目でもあります。万が一にも月に昇るまでの間に姫様の御身に何かありましては、他の月の民たちに申し分がありませんから」

「でも……同級生は苦労して就職先を探しているのに、私だけ楽していいのかな……」


 彩月と同じ大学に通う同級生たちの大半は、今でも就職先が決まらずに難儀している。江原は教員採用試験を受けると言っていたものの、試験に不合格だった時は就職をすると話していた。

 中には四年制大学への編入学や専門課程が学べる学校への再入学を決めた子もいるらしいが、両親からの援助も無くてお金が無い彩月には無縁の選択であった。

 どうしたらいいのか迷っていると、膝の上の響葵が久慈川学園の封筒を示しながら助言してくれる。

 

「せっかくなのだ、彩月。今すぐここで決めないで、まずは久慈川学園の見学に行ってみてはどうだ?」

「それはいいかもしれないね。実際に見てもらった方が通学する時のイメージも浮かびやすいだろうし。その上で編入学か就職のどちらか決めたらいいんじゃないかな?」

「そうだね……じゃあ今度の大学見学会の時に行ってみようかな」


 次の大学見学会の日程を確認しようと彩月が封筒の中からパンフレットを取り出そうとしたところで、「その必要はございません」と犀原に止められる。


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