幼馴染がカルパッチョ飼い始めたって言ってるけど、料理じゃね?
中身のない作品ですので、頭空っぽにして読んでいただければ幸いです。
なお、設定は相変わらずざるですので、ご容赦ください。
チュンチュン。スズメの鳴き声がして目が覚める。俺は目が覚めると一番初めにやることがある。それはカーテンを開け、窓を開けることだ。
カーテンを開けるとその向こう側には幼馴染の北田乃蒼の部屋があって彼女もカーテンを開け、窓を開けてくれる……ってことになってるんだけど、今日も開くことがなかった。
これで3日目。それまでは窓を開けて第一声が「おはよう!純也君!」なんてとびきりのスマイルで言ってくれてたんだけどな……。
ああ、挨拶が遅れた。俺の名は石田純也。バリバリの高校1年生だ。高校では珍しいハンドボール部に所属している。本当なら乃蒼と朝一緒に登校して朝の大事なルーティンについて聞けるんだけど、残念なことにハンドボール部には朝練がある。
そういうわけで俺はすぐに準備を済ませて学校まで行かないといけない。じゃあ学校で聞けばいいじゃないかってなるんだけど、俺と乃蒼の関係ではそうはいかないんだ。
というのも乃蒼は可愛い。だから人気がある。常に周りに陽キャがいる。一方の俺はハンドボール部にしか友達がいない陰キャ。乃蒼のような陽のオーラを放つ場所に近づくことはできない。
加えて乃蒼と俺のクラスはだいぶ離れている。俺の学年は20クラスあって乃蒼は1組で俺は20組。昼休みのような長い休み時間でないと、短い休み時間では行って帰ってで終わってしまう。
俺はこの3日間でかなりモヤモヤしている。とりあえず理由だけでも教えてほしい。そんなことを思いながらの昼休み、購買で昼飯を買って中庭のベンチへ行こうとしていた時だった。
ちょうど俺の後ろを乃蒼を入れた陽キャ女子三人組が通りながら話していた。
「最近、あたしカルパッチョ飼い始めたんだよね~」
「へ~、やるじゃん」
「いいな~」
ん?カルパッチョ?飼い始めた?カルパッチョって料理じゃね?
もしかして俺の聞き間違いか?
「最近、あたしカルパッチョ(という料理を)習い始めたんだよね~」
「へ~、やるじゃん」
「いいな~」
これだったら分かる。でも明らかに「飼い始めた」って言ってよな?え?何?カルパッチョって飼えるの?
この3日間のモヤモヤと乃蒼の謎の発言に俺のストレスはMAXを迎えた。こうなったら乃蒼の部屋に乗り込んで聞き出すしかない!
※
部活も終わり、家に帰って風呂と夕食を済ませた俺は乃蒼の家に向かった。
ピンポーン!
「はーい!あら、純ちゃんじゃない!ほら、入って入って」
「お邪魔します。乃蒼はもう部屋にいます?」
「ええ、もちろんいるわよ。顔を見せてあげてちょうだい」
俺くらいの幼馴染ともあれば、こうやって顔パスで行ける。俺はすぐさま乃蒼の部屋のある2階まで上がった。
「こら~!それは噛んじゃダメって言ってるでしょ~!」
ドアの向こう側から乃蒼の声が聞こえた。「噛んじゃダメ」、明らかに何かを飼っていないと出ないワードだな。
バン!
俺は勢いよくドアを開けて乃蒼の部屋へ入った。
「おい乃蒼!なんで朝のルーティ……、って何その生き物!?」
部屋には手乗りサイズの青い竜のような生き物が乃蒼の大事なぬいぐるみを噛んでいた。
「あちゃ~、見つかっちゃったか~」
「見つかったも何もない!なんだよその生き物は!」
「ドラゴンだよ。やっと飼えることができたんだ~!」
はあ?ドラゴン?いやいや、ドラゴンなんて空想上の生き物だろ?
「何寝言言ってるんだよ。ドラゴンなんているわけないだろ」
「見りゃ分かるじゃん!あ!ドア閉めて!閉めないと逃げちゃうから!」
言われた通りに俺は急いでドアを閉める。
「ほら~、はいこれ!どう見てもドラゴン!可愛いでしょ?」
振り返ると乃蒼の掌の上に青いドラゴンが乗っていた。
「うん、確かに……。これは……、ドラゴンだな」
「でしょ~?本当は純也君を驚かせようって思ってたんだけど、先に見つかっちゃうとはね」
「もしかして朝のルーティンをしなくなったのは……」
「ごめん!そうなんだ。この子を飼い始めたからだよ。窓を開けたら逃げちゃうからさ。あとは純也君を驚かせたくてカーテンも開けなかったの~」
それなら、まあ、いいか。いやそうじゃない!何かパッとしないんだよな……。
「ていうかドラゴンなんていたの?」
「何言ってるの。ドラゴンテイムは最近の流行りじゃん!JKの間じゃマストペットだよ!」
ええ……、何それ……。全然聞いたことないんだけど。
「昼休みカルパッチョ飼ってるって言ってたじゃないか。それがなんでドラゴンなんだよ」
「本当に知らないの?あたしが飼ってるこの子は一番有名なカルパッチョドラゴンじゃん!」
紛らわしいんだよ!何だよ!カルパッチョドラゴンって!ネーミングセンスよ!
「いやいや、カルパッチョって聞いたら料理しかないじゃん!」
「今はカルパッチョって言ったらドラゴンなんだよ~!純也君はいつでもそうだけど、ハンドボールのことしか考えてなさすぎ~」
なんだと?今のはカチンときた!
「そんなことはない!ハンドボール以上に乃蒼のことはいつも考えてる!」
「ふえっ!?」
「俺はな!乃蒼の朝のあのスマイルがないと調子出ないくらいにお前にぞっこんなんだよ!大好きなんだよ!そこんとこよろしく!」
何か釈然としないんだよな…。まあでも朝のルーティンがなかった理由が分かったからよしとしよう。俺は家に帰った。
※
Side:乃蒼
ぷしゅ~!ってなるくらい顔が熱い。何!?いきなり愛の告白!?さらっと言って帰っていったけど、こっちはそれどころじゃないよ!
「まあなんだ、変な奴ではあったが素直に好きっていうのは好感が持てるではないか」
「その知能の高い喋り方やめてって言ってるじゃん!きゅ~んでいいんだから!」
「ふざけるな!我のことを可愛いと言いおって!我は誇り高きドラゴンぞ!」
そんなことどうでもいいよ!それより純也君のあのセリフ、どう考えても愛の告白だったよね!?
「どうしよう~!純也君から告白されちゃった~!明日から愛妻弁当作らなきゃじゃ~ん!」
「主よ、我のことを放っておいて懸想するとは許さぬぞ!ちゃんと責任を取って面倒を見よ!」
口では偉そうに言ってるけど、この子もこの子で甘えたさんなんだよね~。純也君に嫉妬するなんてやっぱドラゴンは可愛いな~。
「どうせ付き合うならお揃のドラゴンで合わせたいよね!それでドラゴン連れてデートなんていいよね!」
「いや、あのタイプは我のようなカルパッチョドラゴンよりかはエッグベネディクトドラゴンの方が相性が良いぞ」
「なるほどね~!そっちもありか~!じゃあ今度純也君誘ってテイムデートだね!」
あたしは知らない。このあとドラゴンを巡る恋のテイム戦争が始まるなんてことを。
お読みいただきありがとうございました。
今後の参考にしたいと考えていますので、感想をいただけると幸いです。




