■第2章: 不気味な坑道の深淵
壁の影が動き出し、広間に冷気が流れ込んできた。彼らは全員、呆然としたままその光景を見つめていた。
「何が起こっているんだ!?」健太が叫び、懐中電灯を動かしてその影を追いかけた。
影は急速に近づき、懐中電灯の光がその姿を明らかにした。それは白装束をまとった、かすかに透けた兵士の姿だった。彼の顔は静かで、深い哀しみを宿しているかのように見えた。
「これは…幽霊?」花子が恐れを込めて囁いた。
兵士は再び彼らを見つめ、そして坑道の奥深くに消えていった。その後に残されたのは、不気味な静寂と、戦争時の記録が刻まれた壁面だけだった。
「あれは…戦争中の兵士だったのか?」悠子が言った。
「たしかにそのように見えた。でも、なぜこんな場所に現れるのか?」太郎が不思議そうに尋ねた。
「この坑道には、まだ何かが隠されている気がする。私たちがここに来た理由が、もっと深い意味を持っているような気がするんだ」蓮が考え込む声を上げた。
彼らは警戒しながらも、再び探索を続けることを決めた。坑道の中を進むにつれて、不気味な出来事が彼らを待ち受けていることを彼らは予想していなかった。
進んでいくと、坑道は次第に狭くなり、曲がりくねった道が現れた。懐中電灯の光が届く先には、薄暗い部屋が広がっていた。
「あの兵士が消えた方向に進もう。何かがあるかもしれない」健太が提案した。
部屋の中には、古びた机や椅子が散らばり、壁にはさまざまな書類や地図が貼り付けられていた。彼らはこれがかつての日本軍の戦略的拠点であったことを確信した。
その時、部屋の隅に置かれた一つの小さな箱が目に留まった。箱の中からは何かが見え隠れしているようだった。
「あれを開けてみよう。もしかしたら何か重要なものが入っているかもしれない」花子が提案した。
彼らは緊張した面持ちで、その箱を開けることにした。