検討2
さらに考察を進める。
(徳島市バトルゾーン。マージンは約5km)
頭の中がこんがらがりそうな図だった。
「……マスター、勝利の条件を確認させてほしい」
『了解しました。説明します。
本図において、左側・西方向に延びているのがリョム様のセーフゾーンです。
右下・南東方向に伸びているのが、まりん様のセーフゾーンです。
基本は、自分はセーフのまま、相手をゾーンアウトさせることです。
すなわち、バトルゾーン中央から見て――
リョム様はまりん様を、
(1)北東領域に押し出すこと。
(2)南西領域に押し出すこと。
(3)北西領域に押し出すこと。
が、勝利条件となります。
一方、まりん様はリョム様を、
(4)北領域に押し出すこと。
(5)南領域に押し出すこと。
(6)東領域に押し出すこと。
が、勝利条件となります。
ただし――
(3)(6)に関しましては、自分は勝利しますが、相手方にもゴールを許す、という結末になります。
以上でございます……』
「相手を無視して、単独でゴールしようとしたら?」
『障壁が形成され、通過できないようになります』
ま、そうなんだろうな。
「ありがとう――」納得する。
僕はその上で聞くのだった。
「――なんで、単純明快に、両者とも“バトルゾーンからのアウト”が絶対アウト、にしなかったんだい?」
『さぁ。ワタクシにはお答えしかねます……』
ゲームマスターの声は、笑いを含んでいるようも聞こえたのだった。