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誓いの果て  作者: のの
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55/77

リメルナ

 コッツウォートの早朝会議は、今までにない早さで終わった。


 リルは、端から戦略や戦術といったことを話し合うつもりはなかった。


 指揮は叔父のグレアムだ。

 その戦い方に置く陣営の厚さが問題だった。

 前回の戦いで、コッツウォートは、陣営が何度も崩され、挙げ句に突破された。

 あの戦いから、剣術の稽古を徹底させたが、小隊の指揮をとる者の力量も見極めが必要だった。

 目立った功績を挙げた者は、昇進させた。

 その中で、指揮に長けた者を中心に隊を編成させた。


 後は、叔父のグレアムの戦い方に陣営を置く、魔術師と兵数が問題だろう。


 リメルナ、コッツウォート、エメラル。

 頼みの綱は、圧倒的な兵数を抱えているフレールだ。

 彼らが、この戦いにどれだけ重きを置いているか。

 テオグラートの話しでは、クラウス王子が動くから大丈夫だと言っていたが、前回は参戦していない。


 どうしても、多くの兵が必要だ。


 しかし、叔父の余裕はどうしてだろう。秘策でもあるのだろうか。

 魔術師は、多くはないと聞いていた。


 リルは、森を抜けてリメルナに向かう道中、リメルナのことを考えていた。

 森を抜けて行くことで、圧倒的に近くなった、祖父の国。

 まだ、数回しか来たことのない国の森を抜けた先、小高い丘から、広大な土地をリル達は見つめていた。



 テオグラートは、初めてリメルナに入った。

 しかも、第二所領から、森を抜けて。

 子供のころから、入ってはいけないとあれほど言われていた森は、とても美しい森だった。

 テオグラートは、もっと散策をしたかったが、岩山に続く方向へは行かないように言われていた。

 森の面積もコッツウォートの森と同様に広く、入ったら出れなくなりそうだ。

 同じ森と岩山を共有しているのに、コッツウォートとリメルナは、今まで行き来することがずっと出来なかった。


 森を抜けた先は、広大な土地があった。

 コッツウォートのような森は、コッツウォート側にしかない。

 川があり、その回りに畑が多くあり、少ないが果樹園もあるようだ。

 のどかな風景が広がっていた。

 酪農も盛んで、小麦、大麦を大量に栽培。

 コッツウォートが果実酒なら、リメルナはエールで有名だ。


 リメルナの王都は、コッツウォートと同じく厳つい岩山を背にしている。

 その岩山から、川が流れてきていて、国を潤している。

 コッツウォートにも岩山からの川がある。

 リメルナの大きな川は、なだらかに湾曲を描き、フレールを通り、東側、遥か遠くまで延びている。


 リル達は、のどかな風景を見ながら、厳つい岩山に向かって進み始めた。


 森を抜けてリメルナに入ったので、すぐに町に入れた。リメルナもコッツウォート同様、親しみの感じる町並みだ。

 テオグラートは、リメルナの町も好きになれそうだった。前を行くナギをアーチが質問攻めにしていた。

 ナギや、リメルナの傭兵上がりは大した注意もせずに呑気に進んでいる。

 テオグラートは、ナギの案内役に耳を傾けながら、心地好く馬に揺られていた。



 町の人々は、リルに親しみを込めて頭を下げる。

 リメルナ全体が、国王になったリルを歓迎していることが伝わってくる。


 今までのリメルナとコッツウォートの仲の悪さが良く分かる。

 父上が、リメルナの前国王を老いぼれ、現国王は盗人と常に罵っていたことを思い出していた。


 リメルナの現国王リカルドは、リルを非常に可愛がっている。

 母上の話しでは、家族に過剰なほど愛情を注ぐ人、ハビや昔の仲間も家族で、今は、国民にも家族のように愛情を注いでいると楽しそうに笑っていた。


 確かに、家族にベッタリだった。


 自分の父親が、息子にまったく興味を示さなかったので、リカルドには、リルも面食らっていた。


 本当かどうか怪しいが、盗賊の頭だったと言われている祖父は、豪快で、話しが面白く、人を虜にする人で、やることなすこと驚くばかりだが、リルも祖父が好きだった。


 ただ、王族や貴族からしてみれば、豪快ではなく、がさつと言う言葉が使われ、あまり好ましく思わていなかった。



 これから行われる会議に、祖父も現れるだろう。

 リルは、まだ親族以外のリメルナの面々と話したことがない。

 テオグラート程では無いが、少しだけ楽しみだった。




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