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誓いの果て  作者: のの
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旅人

 テオグラード達は、故郷コッツウォートを出て、西に背を向けながら、斜め横断するように進む。


 商人なら、行き慣れた道。

 林や小さな丘をいくつか越え、比較的苦の無い道筋。


 最後に、高い丘を登ると現れる。


 エメラルという、太陽の輝きを浴びる海沿いの国。

 観光、漁業、輸出入で栄える国だ。




 活気溢れる街中を、ガタイの良い銀髪の男が進んで行く。


 黒髪ばかりのコッツウォートでは、銀髪がいれば目立つが、異国民が多いエメラルでは、多種多様な人種が行き来しているので違和感はない。

 船乗りが多いから、ガタイの良さも目立たない。

 ただ、片目の傷跡ばかりは 少々目立っていた。


 大通りから、脇道の細い通りに入り、小さく海洋亭と書かれた看板の店に、銀髪の男は入って行く。


「おっ、アディの旦那!久しぶりじゃないか?」

 小太りなおやじが寄ってくる。店の主人だ。


「景気はどうだい?」

 アディの低い声で、店の少ない客の注目を集める。


「店の中見ろよ!良いわけねぇだろ~。……西の話しを知ってるだろ。」

 ここで、店主は、小声になり話しを続ける。

「イリヤが堕ちて、あんたの国はどうした?国王と第一、第三王子は死んだらしいじゃないか。第二王子が王になるんだろう?大変な事になってるな。もう、盗賊リメルナのもんだなコッツウォートは……。」


 さすがに、早いな。

 情報はすでに、エメラルにも伝わっていた。


 店主は、アディをコッツウォートの商人付きのただの護衛だと思っていた。

 第三王子の兵は、国の兵でありながら、商人の護衛の仕事を多く請け負わされていた。


「偶然、国を出ていて無事さ。その後、西のみんなはどうした?なんか聞いてねぇか?」


「コッツウォートの第二王子とリメルナの軍でとりあえず追っ払ったみたいだが、またいつ攻めてくるやら。今は、コッツウォートがどれぐらい兵を出せるのか知らねぇが、このままじゃアブねぇから、他国へ打診中だろ。軟弱な兵でもいないよりマシだからな!」



 店主は、フレールを引き合いに出していた。

 エメラルもリメルナも、フレール国を含め、周りの国のほとんどを軟弱者呼ばわりしていた。

 リメルナが盗賊の国ならば、エメラルは、海賊の国と呼ばれ、口も腕も立ち、頭が切れ、エメラルの商人にかなうものはいないと言われていた。


「近く、リメルナの第三王子が来るらしいぞ!」


「そうか。おっと、いけねぇ、まだ仕事があるんだった。また、寄るよ。」

店主の言葉に、アディは店を出る事にした。


「ああ、ちゃんと金を落として行ってくれよ!」

店主は、大声でアディを見送る。


「分かってるよ。」

 アディは、ゆっくりと店を出ていく。

 街中は、いつも通りと見せながら、各所に私兵が彷徨うろついていた。


 脇道に目をやると、ほとんどが店を閉めている。

 宿に戻る途中、小さな酒屋が切り盛りする立ち飲み屋で、客の声に耳をすます。


「西の奴らと、連絡が取れなくなっているらしいぞ。船も乗り付けさせねぇらしい。」


「サティールへ行った商人の話しじゃぁ、途中、野犬に襲われるわ、天候はひどいわで、やっとの思いでたどり着いたってのに、商談は2日で終わらして、さっさと出て行けと役人に言われたらしくてよ。」


「なんだよ。商売にならねじゃねぇか!」


「役人だけじゃなくて、街のやつらもおかしいらしいぜ。なんか怯えて話しもろくに出来ないらしい。」


「昔から、西は、奴隷やら強制労働やらこえぇ国あったからな。最近は落ち着いたと思ってたのによ~。」


「フレールやリメルナは、どう動くかね。」


「こういう時は、盗賊のほうが、話しが通じるんだよな~。普段は、いけすかねぇがよ。」


 男達は、最後は笑って、また酒を飲み始めた。



 たしか、リメルナの第三王子は、リル王子と共に動いていたし、この分じゃあ、エメラルにも早々に来るだろう。

 先に、エメラルを出て、フレールに行きたいところだ。

 あのお嬢ちゃんを使って、なんとか居場所作らねぇと、旅人のままじゃ心身共に持たねぇ。

 特に、動物になったり、人になったりじゃぁ。


 冗談じゃねえ!

 狼の姿なんかで死んでたまるか!


 なんとか、うちの王子に考えてもらわねぇと。


 アディは、足早に宿へ戻ることにした。




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