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誓いの果て  作者: のの
1/77

始まり

 暗雲漂う中、振り始めた季節外れの雪が、惨たらしい戦いを消していく。


 その中をひとりの少年が、狼達に先導され、大通りを横切るように歩いている。


 狼達は、死者や障害物などを、避け少年を先導していく。

 大通りには、横倒しになった馬車などが見える。


 少年の傍にぴたりと寄り添う黒い狼が立ち止まる。

 少年は仕方なさそうに雪をかき分け、使われることなく戦いが終わった新品の短剣とお金を死者から譲り受けた。



 先頭を行く銀色の狼が立ち止まり少年を見ている。


 左目に大きな傷があり、残った右目で鋭く回りを確認すると危険を知らせる遠吠えをあげる。


 銀色の狼を先頭に狼達が、大通りを横切り疾走しはじめ、少年も黒い狼と共に走り出す。


 冷えきった空に、馬の嘶きが響きわたる。

 街に続く道には、泥で汚れた旗と同じく、弓矢を構える勇者の旗がひるがえる。


 弓で狙うには遠すぎるのに、2本の矢が少年に向かって空を切る。


 黒い狼が少年に体当たりし、少年は顔から雪に滑り込んだ。

 矢は力強く、少年の少し先の雪を掻き分け地面に突き刺さった。



 狼の悲痛な鳴き声に、少年が起き上がる。

 一匹の狼の肩に矢が突き刺さり、前のめりに倒れ込む。

 すぐに赤茶がかった狼が傷をおった狼の前に立ちはだかり、遠い兵士に向かって威嚇している。


 兵士がまた弓矢を構えるのが少年には見えた。

 少年はすぐに何かを唱えると、兵士がいる方向に向けて手を挙げた。


 風が地面の雪を舞い上げ、大きな竜巻となり広がると白い壁を作り、弓矢を射る兵士の邪魔をする。

 少年は苦しげに、傷ついた狼と赤茶がかった狼に、手を向けると力尽きて雪に倒れ込む。


 黒い狼が咆哮をあげると、服に食らい付いて、少年を引きずるように引っ張る。


「任せろ!」

 突然現れた青年が、少年を担ぎ上げ、後ろを振り向く。

「カイ、行くぞ!」


「ああ、すまん。」

 後ろを行くカイの肩には矢が突き刺さり、顔をしかめながら赤茶がかった髪の青年の後を追った。



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