天使
恋したのは聖人じゃなく堕天使だったから
今日もぼくはきみの背中を守る
誰かに連れていかれないように
また羽根が生えて飛んでいってしまわないように
時折うんざりするようなことが起きるのは
きみに愛される幸運の代償なのかもな
だってひどく人間的なやりかたできみを手に入れるとき
ぼくはこの世で一番しあわせで
天にも昇る気持ちなんだ、皮肉にも
くだんのきみは地上の水にもすっかり慣れて
みんなの心を奪ってまわる
水晶の声や蝶がはばたくみたいなウインクで
でも夜にはぼくのベッドに戻ってきて
やわらかく小さな子猫に戻る
愛したのは替えのきかない堕天使だったから
今日もぼくはきみを抱きよせる
どこかに連れていかれないように
ぼく以外のひとが目に入らないように
ねぇ、山は空が近くて危ないからさ
やっぱり明日は海に行こうよ