ぬいぐるみにはきまりがある
ぬいぐるみには きまりがあるんだ。
だれかを えがおにすること。
ぼくは きみを えがおにするんだよ。
ぼくは うれしいんだ。
いっぱい なでてくれてたね。
あったかいおふとん かけてくれたね。
かわいいって いってくれたね。
ぼくも きみも わらってた。
ぼくは かなしいんだ。
なげられて いたかった。
みずがかかって つめたかった。
もうすきじゃないって いわれた。
ぼくも きみも ないてた。
でもね。
ぼくは いいんだ。 きみが かなしくないのなら。
ぼくは いいんだ。 きみが えがおになれるなら。
きみが いたくないのなら。 いっぱい ぼくを たたいていいよ。
それで わらってくれるなら。 きみが しあわせなら ぼくもうれしいんだ。
けど こわれちゃったら たたけなくなるから ちゅういしてね。
だけど ぼくにも いやなことが ひとつだけあるんだ。
きみと おわかれは いやなんだ。
もっと きみに えがおに なってほしい。
もっと きみに しあわせに なってほしい。
けど こわれちゃったら おわかれなんだ。
こわれた ぼくじゃ きみを えがおにできないから。
ぬいぐるみには きまりがあるんだ。
きみを えがおに できないぼくは おわかれしなくちゃいけなんだ。
それできみがしあわせなら ぼくはおわかれするよ。
だけどやっぱり おわかれはいやだから。
ぼくも きみも えがおであそびたいな。