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生きたがりの君と死にたがりの僕  作者: 飛鳥シンジ
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2024年4月①

 「お前何組だった?…B組?一緒じゃん!今年もかよ!」


 「C組の担任、田中じゃーん…マジ最悪」


 毎年どこの学校でも湧き起こるであろう会話が今年も聞こえてくる。今日は我が稲張(いなばり)高校の始業式だ。及川奏多(おいかわかなた)も自分の新しいクラスを探していた。


 「えーっと2年、2年と…あった」


 「奏多!お前A組だったぞ!今年は一緒だな!」


 「うわっ!危ねえな」


 後ろからばかでかい声が聞こえるとともに羽交い締めにされる。痛い。離れてくれ。朝から暑苦しいな。

 

 振り返るとやはり声の主は三枝和馬(さえぐさかずま)だった。こいつは小学校からの幼なじみだ。身長182cmの長身で、短髪のツンツン頭が特徴的。本人はワックス等は使っていないようだが自然とソフトモヒカンみたいになっている。制服のボタンの1番上は常に開いている。


 なぜやはりかというと僕にこんなことをしてくる友達は和馬一人しかいないからだ。普段クラスで話すような奴はそれなりにいるが、友達と呼べるのは和馬だけ。我ながら寂しい人生だ。もちろん彼女なんてできたこともない。


 「A組か…てか何で僕が見る前に言っちゃうんだよ…楽しみにしてたのに」


 「友達少ない奏多が何でクラス分け気にするんだよ」


 「いや一応さ、一年の運試しというか…おみくじみたいな」


 何はともあれ教室に向かおう。下駄箱で上履きに履き替えて、階段を登る。2年の教室は2階だ。ちなみに1年は1階、3年は3階と非常にわかりやすい。


 「さてさて、A組の女子のレベルはどうかな~っと」


 「ほんとに失礼なやつだなお前は」


 和馬が女子の品定めを始めたところでため息をついて自分の席に着く。和馬は贔屓目に見てもイケメンだし、バスケ部のエースだから女子人気は高い。しかし彼女ができたことはないようだ。和馬は女の子が大好きだしコミュ力も抜群なのに謎である。そんなことを思っていたらガラガラと扉が開き担任の後藤先生が入ってきた。


 「みんな、おはよう」


 「おはようございます~!」


 その後は毎年恒例の始業式からのオリエンテーション、自己紹介やらが進行していった。

 僕は自己紹介が苦手だ。コミュ障とまではいかないが何の部活もやってないし趣味らしい趣味もないから何を話せばよいのか困る。


 「はい、じゃあ次は及川」


 後藤先生に呼ばれて前に出る。好きなゲームは麻雀ですとか言えば意外と食いつかれるかなと思いながら口を開いた。最近流行ってるし。てか食いつかれたいわけでもないんだよな。群れるの苦手だし。


 「えー及川かな…」


 「遅れてすみませ~~~~~~~ん!」


 ドン、ガラガラという音を立てて勢いよくドアが開いて、クラス中の視線が彼女に集まった。


 「ヒーローは遅れて参上するものだ!はっはっは!」


 そこに現れたのは、とんでもない美少女だった。長い黒髪は腰のあたりまでサラサラと流れていて、目はキラキラと大きく輝いていた。身長は僕より5cm低いくらいで女子にしてはかなりの長身。

 

 何よりも纏う雰囲気がいい。はつらつとしてて見てる者を元気にさせる。そんな空気を醸し出していた。僕は思わずつばを飲み込んでしまった。



 それが彼女、間宮千歌(まみやちか)との出会いだった。


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