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【1話読切!超短編】たそがれ!木林春夫 #丈夫な収納ケースを探すの巻

作者: 薫 サバタイス

木林春夫という伝説の男を知っていますか?


たぶん誰も知らないと思います。


私もよく知りません。


はっきりしているのは、木林春夫が伝説の男だということだけ。


ですが「伝説」となっているからには、何かしら根拠となるエピソードがあるはずです。


これからお話しする出来事が、木林春夫をして、伝説の男たらしめたかどうかはわかりません。


判断は皆さんにおまかせします。


では、聞いてください。




【#丈夫な収納ケースを探すの巻】



新年1発目から、こういうのもどうかと思いますが。


去年の年末の話。


あと数時間で年が明けるという、大晦日の夜。


木林春夫さんは、お家で必死に掃除していました。


なぜなら、まだ年末の大掃除が終わっていなかったからです。


今年の汚れは、今年のうちに。


木林春夫さんにとって、これは至上命題。


絶対にやりとげなければなりません。


たとえ大地が裂け、その割れ目に家がのみ込まれても、です。


頭がおかしいですね。


いくらなんでも、気合が入りすぎじゃないか。


そんなことを周りの人が言ったところで、きっと木林春夫さんの耳には届かなかったに違いありません。


だって、今も夢中になって、お風呂のタイルをブラシでこすっているのですから。


森の木こりみたいに大きな体をちぢめて、せっせとカビをこすりとっています。


なかなかきれいになりませんねえ。


あと数時間で除夜の鐘が鳴り出しますよ。


でも、なんとかかんとか、キレイになりました。


隅の方に、少しだけ残った黒い染みは、見なかったことにします。


さて、もう作業は残りわずか。


部屋にちらばった本を、箱へ入れるだけ。


机の上や枕元、あるいは床に積み上げてあった本を、空いているダンボール箱へしまいます。


画像を拡大表示

余計な隙間が空かないように箱へ入れるだけだから、簡単ですね。


読み終わった本はダンボール箱①へ、まだ読んでいない本はダンボール箱②へ。


読み終わった本は、思ったより大量にありました。


2リットルのペットボトルが12本入っていたダンボール箱が、パンパンです。


さあ、これで全部入れ終わりました。


ところが。


ダンボール箱①を押し入れへしまおうと、持ち上げた瞬間。


なんと底が抜けてしまったのです。


入れていた本が全部、床へぶちまけられました。


泣きそうになる木林春夫さん。


さらに。


つけっぱなしにしていたテレビから、除夜の鐘が鳴り出しました。


そうです。


残念ながら、大掃除を年内に終わらせることはできませんでした。


木林春夫さんの不屈の闘志も、そこで尽きました。


膝がガクッと落ちます。


新年もクソもあったものではありません。


ガムテープの貼り方がよくなかったのでしょうか。


それとも、あまり丈夫でないダンボールだったのでしょうか。


イヤな予感がします。


最悪の1年になりそうです。


と、テレビ画面にある光景が映りました。


ある神社の巫女さんが、初詣の参拝客向けにお餅を運んでいました。


木林春夫さんの目が、ある一点に釘付けになります。


雪のように真っ白いお餅を運ぶのに、巫女さんが使っていたもの。


それは、プラスチック製の箱でした。


木林春夫さんは雷に打たれたような衝撃を受けました。


そうだ、変なけち臭い考えから、ネットで注文した品の入っていたダンボールを再利用していたけれども、ちゃんとした収納ケースを買えばいいんだ、それなら簡単に壊れたりしないし、底が抜けたりすることもないだろう、かわいい収納ボックスを買えば、部屋の見た目もおしゃれになるし。


さっそくパソコンを開き、アマゾンの検索窓に「収納 箱」と入力する木林春夫さん。


どんな箱があるのでしょうか。


結果はまたの機会にゆずります。



    ↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓

教訓☞資源の再利用という点では、悪くないですけどね。

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