その8
冒険者ギルドを出て町の外にいる。
マップで周辺を探索してみるがこの辺りには魔物がいないようだ。遠くに行かないとダメかな。
居た。
「サンダー。」
そしてストレージに収める。
「結構いける。」
連続で魔法を使い続けたためMP切れをを起こした。そのためMPポーションを飲んでいる。
時間の経過でMPは回復するので今まで使用する機会がなかった。
うん、ポーションで回復したね。ゲームと同じで安心する・・・。
「討伐再開。」
かなりの広範囲に及び魔物を倒した。こんなもんかな。
「そろそろ戻りましょ。」
かれこれ6時間くらいやっていた。さっさとランクを上げねば。待ってろよ冒険者ギルド。
未読メールがある。いつのまに。
「クエスト「魔物討伐①」が達成されました。ストレージに景品が送られました。」
景品を開けるとスキルポイント2だった。
もっと討伐するとたくさん貰えるのかな?魔物の強さよっても変わるのだろうか。
「依頼完了しました。」
「どの依頼でしょうか?」
「これとこれとこれ。」
この辺り一帯の魔物を手あたり次第討伐したのである。
「失礼ですが討伐の証拠になる物お持ちでしょうか?」
「ストレージに入ってます。」
「・・・。出してもらえますか?」
「ここに出しても?」
「はい。」
そういって勢いよくストレージから魔物を出し始めた。
「ちょ、ちょちょ、ちょ、止めて!止めて下さい。」
少し意地悪をしてしまう。
「まだ半分くらい。出せ言われたから出したんですが。」
「・・・半分。すみません。少々お待ちください。」
「・・・。」
「お待たせしました。別の部屋でお話を伺いたいのですが。」
「いいけど。これでランクアップできます?」
「・・・出来ると思います。これ仕舞って頂けないでしょうか・・・?」
「わかりました。」
先ほど出した魔物をストレージに収める。
「ありがとう御座います。奥にいらして下さい。」
奥の部屋に案内された。
「こちらへおかけ下さい。」
「初めまして、冒険者ギルド支部長のライラックだ。」
「F級冒険者のレイン。」
「で、大量の魔物の持ち込みがあったそうだが、お嬢ちゃんが倒したのか?」
「そうです。」
「一人でか?」
「そう。」
「どうやって倒した?」
「剣と魔法です。」
怪しまれてるな。そりゃ怪しまれるよね。
「わかった。ランクを上げたいんだったな。Eランクでいいぞ。」
「え、いいの?」
「支部長!」
「口を挟むな。多少なら裁量権を与えられている。それに先ほどの収納スキル。それに嬢ちゃんの装備はすべてマジックアイテムだろう。これを見たら納得せざる得ないな。」
「・・・。」
「で、魔物だがこちらで引き取ってもいいのか?」
「いいよ。素材として売る予定。」
「わかった。レインのランクアップの手続きを頼む。レインは倉庫へ来てくれ。俺も行く。」
「よしここで出していいぞ。」
「出すね。」
勢いよく魔物が飛び出してくる。そして3つの山ができた。
立ち会ってる人みんなポカーンって顔している。
「低ランクの魔物だが、この量を一人で・・・。」
「すまんが、1山残して仕舞ってくれ。処理できずに傷んでしまう。あと、ゴブリンは引き取り出来ない。」
ゴブリンの扱いが酷いよ・・・。
「Dランクにしてやろう。ただし、実力を見てみたい。」
「どうすればいい?」
「模擬戦をしてもらう。」
急きょ、模擬戦をすることになった。Dランクをかけて。
「そうだな、武器は木刀でやってもらう。」
「魔法は?」
「もちろんいいが、殺しはダメだ。」
「では、はじめ。」
相手はDランクという事だが、こちらは初めての対人戦だ。とりあえず相手の出方を伺う。
「どうした、来ないのならこちらから行くぞ。」
ええ。
こちらから行く予定はありませんから。
切りかかって来たので剣で対処する。何合か打ち合うと、突きが来たので躱す様に後方へ逃れる。
剣筋も見えるし対処できる。突きを剣ではじくことは出来なかったが・・・。剣スキルが低いからかな。
なんて考えていると、さらに攻勢をかけようとこちらに向かってくる。
「サンダーショック。」
・・・うん。運よく麻痺が発動したね。
動けない事を確認すると近づいて、木刀を首のあたりに触れさせた。
「そこまで。」
これでDランクだ。
新しいギルドカードと報酬(金貨26枚)を受け取った。
報酬の内訳は、クエストが銀貨2枚、素材は手数料や解体費を差し引くと銀貨5枚程であった。見ての通り、かなりの回数をこなしたと思う。
Dランクになって受注可能なクエストの幅が広がった。危険なクエストを受けれるようになったのである。
Cランク依頼の金貨5枚か。え?自分のランクの1つ上まで受けられるよ。
ここから5日程の離れた場所にオスカラ村があって、そこで1~2週間程滞在して魔物20匹程を駆除して欲しいという依頼だ。滞在中の宿と食費は依頼者持ち。
20匹なら3日もあればこなせるんじゃなかろうか。
「これ、お願いします。」
「オスカラ村の魔物討伐ですね。えーと・・・、報酬は村から頂く事になっていますね。完了したら村から受け取って下さい。街道沿いに2日ほど進んで北へ3日ほど進んだ場所にあります。北に進むと道も険しくなって魔物も出ますからご注意ください。」
簡易の地図を見させてもらい、この辺りから魔物が出るかもといった説明を受けた。
さすがに一から十まで面倒は見てくれない。地図も簡易すぎる。この説明で他の冒険者は目的地までたどり着くんでしょ。正直凄いと思う。
そろそろ暗くなってくる時間帯であるが出立する事にした。
「ライラック様。レイン様ですがオスカラ村の魔物討伐へ向かいました。」
「ふむ。そうかわかった。」
あの年齢であの技量・・・。さすがに上へ報告せねばならんかのう・・・。
だいぶ暗くなってきた。ランプで明かりを灯す方法もあるが、これって周りからするとここに人が居ます。ってアピールするようなものである。そこに不安を感じた。治安良くないし。
ナイトホークという名称の弓がある。ゲーム内では命中補正アップ大で、他はめぼしい効果はなかったが、武器のテキストに暗闇でも外さないとある。これをサブウェポンとして装備する。
うん。問題なく進めるね。
明け方、街道から少し離れた所で休み、次の日も歩き続けた。前方300m先に荷を運んでいる一団がいて追い越す事もできず、にかれこれ長い間追いかける形になっている。
あちらもこちらに気が付いてるようだ。あまり近づいてもあれだし・・・。
なんなのこの微妙な距離感・・・。電車で見知らぬ人と相席になってなんとなく気まずい感覚だ。
まさか、荷運びとこんな関係になるとは思わなかった。・・・一本道だからしばらく続きそう。
む、進展があったようだ。前方の荷運びが停止している。これは追い越すチャンスである。
「あの。旅のお方でしょうか。」
びく。声をかけられました。何をびくついているんだか。
旅・・・。そうだな・・・。毎日が旅してる様なもんだわ。
「まあ、そんなところです。」
「方向も同じの様ですし、よろしければ娘に旅のお話でもお聞かせ願えませんか?」
「へぇ。オスカラ村に・・・。村へは何の御用で?」
「魔物退治に。これでも冒険者なの。」
「おお、冒険者の方でしたか。これは心強い。」
「冒険者かっこいい!」
娘さんには、ウルフを倒した話とかをしてあげた。
「魔法・・・。おねえちゃん、魔法を使えるの!?」
目を輝かせている・・・。
「ま、まあね。食べる?」
串焼きを取り出した。
「美味しい!」
そうだろう。町の中で美味しいものを買い溜めしておいたのだから。しかも作り立ての状態である。
「わしにも頂けないかのう?」
あげるよ。
「この辺りですかな。北に進むとオスカラ村に・・・お気をつけて。」
「うん。いろいろありがとう。」