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ブレイブリングとか言う腕輪について(仮)  作者: 白乃ひまわり
ダンジョンへ
16/26

その16

ぶらぶら食べ歩き中である。


「あら、レインちゃんじゃない。」


その声は・・・。

以前、護衛のクエストでパーティーを組んだユーリさんに声をかけられた。


「こんにちは。」


「よかったわ。探してたのよ。ちょっと話を聞いてくれない?」




「ダンジョン?」


「そう。近くにダンジョンがあるのよ。よかったら一緒にどう?危険はあるけれど、最下層のダンジョン主を倒せばお宝が手に入るかもしれないわ。」

目を輝かせている。


「行ってみようかな・・・。」


「いいの?」

「はい。」


「決まりね。レインちゃんが来てくれたら百人力よ。」


今から向かうダンジョンはアリの巣と呼ばれている。その名の通りアリ型の魔物が生息している。全2階層からなり、地下1階は働きアリがメインで小域だ。


対して地下2階はかなりの広域になっていて危険な兵隊アリが生息する。そして最奥にダンジョン主が居るのだという。

魔物からのドロップはほとんど期待できないが、その分ダンジョン奥の宝は期待できるそうだ。

そして、奥の宝は訪れるたび、質が下がっていくのだという。


もしかして、初回はレアドロップ率アップのようなものがあったりするの・・・?




ちょっと遠かったよ。1日半かかってしまった。


もう夕方だ。ダンジョンの入り口に到着すると、冒険者なのだろうか周辺にテントが張られていて夕飯の支度をしていた。雑貨を並べて商売をしている人もいる。


「そこのお方、このポーションは如何だい?それにこの剣は切れ抜群だぜ。」


「ポーションは幾ら?」

「銀貨2枚だ。」


や、安い・・・。アルトライトでは金貨1枚だったような。


「止めておけ。これは恐らく粗悪品(そあくひん)だ。」

「そうなの?」


「・・・。」


「今夜は休んで明日ダンジョンへ入る予定だ。周辺を探索してもいいが警戒は怠るなよ。俺達は夕飯の準備をしている。」


ピシ。敬礼のポーズで答えた。


「別に粗悪品だからといってダマしたつもりはねえ。」

え?どういう事?


「銀貨2枚だろ。その値段がこのポーションの適正価格って意味だ。」


「なるほどね。どんな所が粗悪品なの?」


「効果が低い点と時間経過で劣化しやすい点だな。普通のポーションは数か月は持つが、これはせいぜい1週間だ。それ以降になるとガクッと効果が下がる。」


「買う。」


「ん?」


「買うって言ったの。そこに並んでる5本頂戴。」

「いいのか?」


「いいよ。金貨1枚ね。」


うん、ストレージに入れるからデメリットなんて無かった。

実はポーションの手持ちが少ないのだ。ゲーム内でポーションは何処の町でも安く売られていた。

わざわざ保管してないよ・・・。




「ただいま。何か手伝いましょうか?」


「あら、お帰り。それじゃあ、皮むきお願い出来るかしら?」



皮むき?この野菜の皮をむけばいいの?


どれも見たことない野菜でやり方がわからない。


例えばの話になるが、ジャガイモならば皮むきと芽があれば芯まで取るが皮むきだ。芽に毒性がある事を知らなければ芽を取るまで至らない。


玉ねぎならば、外皮を1枚剥がせばいいのだが、調理方法を知らなければ2枚剥がすかもしれないし、わざわざナイフを使って剥がそうとするかもしれない。ナイフを使うと手でむくと比べ何倍も手間がかかるし、所々に傷がつくだろう。


そして、正解の手で皮をむくに辿り着けたとしても、むき続けると・・・びっくり、無くなってしまうのである。


知らなければ、玉ねぎに含まれる成分で目が痛くて涙が出る事に対してどの様な反応を示すのだろうか。

この様に、野菜の皮むきだけでも、数々のトラップが待ち受けているのである。


けっして、料理ができないわけじゃない。


お分かりいただけたと思う。



「1度、見本を見せてくれると助かります・・・。」


「ぷ。」


あ、笑われた。


「ごめんなさい。馬鹿にしたわけじゃないの。可愛くて思わず。」

そう言って見本を見せてくれた。



ふと、これらの事が頭の中をよぎった。



「野菜に初見殺しされる・・・だと。」


まさか野菜が初見殺ししてくるとは思わなかったわ。


普通、ゲームのボスとかが初見では対処できない攻撃をしてくる。ただ2回目以降は対処方法もわかって何とかなる。そんな感じだよね。




翌朝、さっそくダンジョンへ入る。

中は灯りが点っていてわりと明るい。


「レイン。では道案内を頼むぞ。」

「任せて。」


「前方に1体きてる。」

「まずは俺が。」


ロイドさんがアリに向かって行き剣を振り下ろす。カキン、カキンと音がする。


「さすがに硬いな。これならどうだ。」


剣を持ち替えて同じように剣を振り下ろす。


「これなら攻撃が通るな。それにしても、この剣にはいつも驚かされる。」


「レインちゃんから貰った魔剣よね。」

「うむ。これのおかげで命拾いしたことがある。ありがとうなレイン。」


「いやあ、それほどでも。」


「また来る。今度はやらせて。」

遠距離からサンダーショックを撃つ。効いた!続けてシャドウバインドで拘束する。


「レインちゃん・・・?それはなに・・・?」


「ちょっと動けなくしただけだから。」


麻痺からは回復してしまったが、シャドウバインドは自力で解除できないらしく5分間動けずにいた。

拘束が解けるとシャドウバインドをかけ直してインセクトキラーで切りつける。

うん。楽勝だね。


「レインちゃん、なんか強くなっていない?」


「そうかも。」


「次はユーリさんの番ですね。」

「あ、あまり自信ないわ・・・。レインちゃん、さっきの魔法で動けなくしてね。」



「来たよ。サンダーショック。シャドウバインド。」

麻痺も必中っぽいな。恐らく耐性0。


カン、カキン、カキン・・・。


「ハアハア・・・。ちょっとムリみたい。矢が弾かれちゃうわ。」

何発の弓を撃っただろうか。どうしてもアリの装甲を破る事ができない。



「これ使います?マジックシューターと言って魔力で矢を飛ばすので矢もいらないし。」


「いいの?」


「どうぞ。魔法をかけ直しますね。シャドウバインド。」



「おお!」


「やったわ!矢が要らないだなんて便利ね。」


「打ち過ぎると魔力切れ起こしちゃうので注意して下さいね。」


「わかったわ。この勢いでさっさと次の階へいきましょ。」




主はお料理できますよ!



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