その14
「じゃじゃーん。これからよろしくにゃ。マイマスター。」
そこには、2足歩行で太っているようで太っていないようなスリムに見えるようでようでもないようなフォルムの美猫さんが立っていた。
かわいい・・・。
「よろしく。これからコキ使って・・いえ、たくさん活躍してもらいますからね。にゃん先生。」
「いま、これからコキ使ってっと言いかけたにゃ。」
ナイスツッコミ。
「言ってませんよ。さっそくだけどちょっと触らせて下さいね。」
「マスターは本当にしょうがないにゃ。」
そう言ってこちらに近寄ってくる。
ナデナデ。ゴロゴロ言ってる~。
サイズは普通のネコちゃんより大きいね。うん。かなり。
「レイン様、それは一体・・・?」
「AIと言ってもわからないか・・・。あの、とても賢い使い魔です。」
「そうにゃ。よろしくにゃ。」
「そ、そうですか。とてもかわいいものですな。」
「その通りにゃ。おぬしは見る目があるにゃ。」
「使い魔は何ができるので?」
「色々できるのにゃ。例えば、今はアクティブの状態にゃ。これだと物理世界に干渉できるのにゃ。」
なんですと。
「いま、物理世界に干渉といいましたよね?にゃん先生は戦えるの?」
「ムリにゃ。口出しがメインにゃ。」
「そ、そうですかー。」
そういえば、アクティブの他にオン・オフがあったな。オンに状態を変える。
にゃん先生の姿が消えた。
「マスター。ここから出すのにゃ。シャバの空気が吸いたいのにゃ。」
なるほどね。頭の中で声が聞こえる。オフ。
・・・。
声が聞こえなくなった。
アクティブ。
「ふぅ。やっと封印が解けたのにゃ。もうダメかと思ったにゃ。」
もうダメって、あなた。せいぜい1分くらいだったよね。
翌朝、クエストの報酬を頂いて村を立ち去ろうとしたところ、村の復興の資金としたいと族長さんに懇願された。家畜の多くは魔物にやられてしまったし、村の外の田畑は荒れて作物は育っていないのだ。今から作物を育て始めても寒い季節が来てしまい収穫できるか怪しい。本来は今の季節にたくさんの食べ物を備蓄して寒い季節に備えなければならないのだ。
「にゃん先生、何かいいアイデアありますか?」
「あるのにゃ。」
え、あるの?
「その前に、マスターの荷物を見せるのにゃ。」
「うむむ。こんな物まで・・・。コスプレ装備はマスターが使うのかにゃ。」
「それ、クリスマスや正月のイベントで手に入れて限定品だから。メインの方では使わないから移動しただけだから。」
「今回はこれを使うのにゃ。」
「これって魔高炉?」
「そうにゃ。これで鉄を作って売るのにゃ。」
低性能な魔高炉をストレージから取り出す。大型の釜土の様な見た目。
「ここに薪を入れて火をつけるのにゃ。そして鉱石を入れるにゃ。すると下から貴重金属と不純物に分離されて出てくるのにゃ。」
なるほど。使い方はわかります。
「材料は?鉄鉱石が必要ですよね?何か当てでもあるんですか?」
「任せておくにゃ。ばっちりにゃ。」
ほ、ほんとうに?
もしかして、最初に課金ポイントを使うべきは、にゃん先生だったか?
「善は急げにゃ。さっさと探しにいくのにゃ。」
「わたしも同行してよろしいですかな?」
「どうぞにゃ。」
鉄鉱脈ってすぐに発見できるものだろうか?
にゃん先生の自信は一体どこから・・・。
村を出る。
「ついてくるにゃ。」
半信半疑でついて行く。もちろん族長さんも同じ心境であろう。
「あれにゃ。」
「「!!」」
村の外に出て、ぐるりと周り最初に視界に入った山が鉱脈って。
いやいや、そんな都合よく見つかるだなんて・・・。
そうなの?
まさかそうなのか・・・?
もしかして、
「にゃん先生、探索系のスキルか何かですか?」
「スキル?そんなのがあったら苦労しないのにゃ。」
そ、そうですか。
つまり・・・、どういうことです?




