世界観 -地理-
○リーべンガルド
本編中では語らなくても全く進行に問題なかったので意図的に表記を省きましたが、この世界は『リーべンガルド』と言います。現在自分が制作中の自作ゲームと同じ世界観を使わせていただきましたが、ストーリーの繋がりは一切ありません。
この世界は『平面』であり、『球体』ではありません。そのため世界には『端っこ』が存在しており、そこでは海が暗黒に向かって落ちていく光景が広がっています。また、この世界では『天動説』が真実とされていて、世界の全体像としては北欧神話の世界観のような、虚空に浮かぶお椀状の海があり、そこに大陸がある状態をイメージしてください。リーべンガルドに関するこれらの設定は覚えていなくても今後も全く問題ありません。
・ヴェルゲルミア大陸
リーべンガルドにある大陸の一つが『ヴェルゲルミア』。大陸の中央には『ヴェルゲラ山脈』と呼ばれる山岳地帯が広がっており、大陸北方の海には『ヴェルカ諸島』という小さな島々が浮かんでいる。
大陸本土は『ギリジア貴族共同体』という貴族連盟が自分たちの国土と主張。
北方のヴェルカ諸島一帯を領土とする『聖ノルウィステア帝国』は、大陸全土を手に入れようと躍起になっている、という状勢。
貴族共同体が強豪国の帝国に対して強気でいられる理由は謎。帝国の弱みを握っているのか、どうなのか、今後の展開でその辺が明かされてきます。
・ウラーヌの町
ヴェルガ山脈の南部、ウラーヌ連峰から流れるライム川中流に位置する『ウラーヌ領』という小さな領地にある田舎町。領地の南部に大規模な鉄鉱石の鉱山を持っていた。しかし、その実態は魔導石の原石である『鳴石』が出土する鉱山でもあったが、領主は公にはしていなかった。鉱山以外は目立った産業はとくに無い。
酒場はどこの店のどんな飲み物でもまずい事で有名。衛生管理が適当という噂が経っているが、実際のところ、酒の原材料となる領地南部の穀物農家などの土壌が、川上の鉱山から流れ出る無機廃棄物によって汚染されている事が原因。健康被害は特に出ていないから、領主は問題を先送りにしている。
かつては『ウラーヌス家』という貴族が領主だったが、ある事件に巻き込まれ失脚。以降はウラーヌ領で次に力のあった小領主、カサブランカ家が格上げとなり、領主を務める。
現当主は13歳。領民からは愛されている模様。
・トールの町
石灰を塗りたくった真っ白な壁が特徴的な、ウラーヌ領北端にある山間の町。ウラーヌの鉱山から出土する石材を加工し、町を作ったという歴史がある。町の名前『トール』は、曇天でも山間に白く輝いて見える様が稲光のようであった事から、文献に記されていた雷の名前を借りたという説が有力。真っ白な塗り壁の原料、石灰の抗菌作用は、水はけのいい山間の土地での新鮮な水資源の確保に一役買っている。
作中に登場する自警団は銃を持っていたが、通常、町民が勝手に銃を装備することは治安維持上考えられない。しかし、『ウラーヌ領』から大量に出土した鉄鉱石の存在と、『コネクション』の根回しも働き、トールの町民は非正規なルートから自衛の力として『銃』を手に入れるに至った。トールの町のような銃を装備した住民が潜む町は、共同体内でも少なくない。モナークはサラと別れた後の放浪期間でウラーヌ近辺を視察していたため、トールの町民の過剰な自衛意識は理解していた。リリーナが矢筒を奪ったときに反発を強く示したのもそのため。
・アブロテの村
ウラーヌ連峰の南端、エルド領、アセロ山のやや標高の高い位置にある集落。水はけのいい土壌と、通年涼しい気候であるから農業が盛ん。ある程度の温度管理は魔法でカバーできるため、標高に関わらず多くの種類の作物が栽培できる。地球で言う『秋』、『嵐の季節』には豊穣を祝うお祭りが催され、近隣の町からとれたての野菜を食べに訪れる観光客も少なくない。野菜以外にも、麦や雑穀を使ったパンや酒、川魚の燻製など、名産品が多い。
『コネクション』との関わりも古く、組織の『機密』を村の宝として何年も管理していた。『アブローテの泡』という宝がはじめから組織の機密の品だったのか、それともどこかの時代で本物の『アブローテの泡』を組織の機密にすり替えられたのかは今のところ不明。
・ウィクトルの町
大陸中部、エルド領に位置する大都市。大陸北端と南端の大きな港町を繋ぐ飛空艇の発着場があり、大陸の物流の中心地となっている。
町の東西には大きな国道が伸びていて、南北から輸送されてきた荷物はここ、ウィクトルを起点に陸路を通じて東西に運ばれる。町の東にはウラーヌ連峰の山々があるため、かつては山を避けるように南へ迂回するしかなかったが、およそ6年にも及ぶ大規模な掘削工事が行われトンネルを開通させたことで、スムーズにエルド領を横断できるようになった。
このようにウィクトルは、大陸の東西南北から集められる多種多様な品々と共に、文化が集まる町でもある。
・セントアロー号
ヴェルゲルミアが誇る4隻の飛空艇のうちの一つ。ウィクトル、エギルン間の航行を担当するうちの一隻で、名前のセントアローは『聖なる矢』を意味する。
乗客のキャパはだいたい100名ほどで、乗組員は25名。乗客は完全予約制の個室を利用できる一等船室か、大部屋に座席が備え付けられた二等船室を選べる。
飛空艇は魔導機関に備え付けられた風の魔導石によって防護膜を纏う。これにより船体がはじけ飛ぶことなく高高度を高速で移動することができ、最高時速は320km/hにも達する。
乗務員の業務は船の航行を維持すること。客室前連絡路などの船内見回り。ブリッジからの空模様の観測。機内食の調理、販売。魔導機関の整備、点検。貨物の安全確認など。それぞれに専門のスタッフがいるが、船長の性格なのか采配は割とおおざっぱ。
本編で船内放送された『急務第〇』について
第一:艦内設備の損傷などが発覚し、それが航行不能に繋がる場合に発令される。
第二:積乱雲や嵐といった航行不能に繋がる自然災害に遭遇した場合に発令される。
第三:空賊や魔物といった航行不能に繋がるトラブルに遭遇した場合に発令される。
第四:遭難者が発生した場合に発令される。
それぞれの対応として、何個かのプランがマニュアルとして用意されている。
『第21話:聖なる矢は放たれる』のサブタイトル解説
『MONARCH』の各話サブタイトルはわりと考えて決めています。
『第21話』のサブタイトルが指す聖なる矢は、この飛空艇セントアロー号のこと。『聖なる』とありますが、この『矢』は悪役アルナークが戦争を始めるために、多くの人達を殺すために放った矢です。しかしこの『矢』は結果的に最終回『第24話』でモナークが手に納め、戦争を止めるため、多くの人を救うためにアルナークに放ち返します。こうしてモナークの放った『矢』は、自分の保身のために協力者の逆徒を問答無用で爆殺した、という汚名を被る事になったアルナークに、政治家としての脚を折る社会的な致命傷を与えました。
一連の流れは『第7話:放たれた矢』で似たような戦いがありますが、ここのセルフオマージュでもあります。余談になりますがここで挙げた例のように、この物語では『7』という数字に何かしらのこだわりがあるので、『7』に関連した所に大事なテーマがあったりしますので、今後、この物語を読む上で参考にしてみてください。
・エギルンの町
大陸最北端にある大きな港町。北方の諸外国と交易をするための漁港や、大陸内に輸入品を運び出すための飛空艇の発着場がある。ウィクトル同様、たくさんの品や文化、人種が溢れる町。エギルンは貴族たちが住む高級住宅区画と、労働者や浮浪者が住む大衆住宅区画があり、大衆住宅区画は早朝、出勤する労働者でごった返しになる。男たちの叫びや、商店のお上の売り文句、それらが貴族たちの正確な管理にまとめられることで気骨ある町の空気が育ってきた。
大陸内の他の土地にはあまり見られない発達している産業は、性産業。港町にすむ労働者は、国内外問わず移動が多くなることから家庭を持たない者も多い。さらに、外国から長い船旅を経てこの町に商売に来る者達にとっても、癒しは不可欠。こういった要因があって、エギルンには大陸最大規模の歓楽街が出来上がった。様々な『需要』に応えるためのお宿が完備されている。
・オハーナの村
誰にも知られていない、地図にもない村。説明のため書いときました。大陸の西、南北から流れてくる海流がぶつかり潮目となって、大陸の大地を削り、できあがった海岸に遠洋から逃げてきた民族が住み着き、閉鎖的な村が生まれた。しかし百年の歴史も築くことなく、誰にも知られることなく村は消えることになる。
盗賊の頭、ゴルトはなぜ流れ着いたか?
オハーナの北には、ヴェルガ山脈のふもとを源流とする大河、アテモ川(3つある河川の内真ん中のもの)が流れています。あらかじめ持っていた風の魔導石によって偶然この川に着水し、意識があるうちに流木に捕まり、河口から海に放流、そして北からの海流に乗って朦朧とした意識の中オハーナのあった海岸に流れ着きました。一週間と経たずに横浜から京都くらいの距離を漂流してますが、気にしないでください。
彼はきっと、数々の奇跡をはねのけるほど強大な、オハーナの村人たちの怨念に呼び寄せられたのでしょう。
・エルドールの町
本編では名前が登場しなかった町。サラとモナークが約半年滞在していた場所。軍務卿アルナーク・エルドが統治するエルド領にある大きな町で、山に囲まれた大鍋のような盆地に位置することからこの名がついた。
山々にトンネルが開通したことで、東西への移動が楽になった。北はヴェルガ山脈によってさえぎられている事、そして南方には大河ライム川が流れている事から、天然の防壁が北にあり、東西南への物資や人員の移動がスムーズに行える、『北からの脅威』に対する強固な砦となっている。